敗因と

  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334975128

感想・レビュー・書評

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  • 読みながら泣きそうになり、非常に辛くて、
    これは電車の中では読めないと最後は自宅で読みました。

    自分が彼ほどの天才だとはけして言いませんし思いもよりませんが、
    どうしてもヒデに感情移入してしまいます。
    良くしようとしているのに、うまく伝えられなくて
    却って憎まれ口になってしまって反感を買ってしまったり
    リーダーと仲が良いとかよく思われているせいで、
    「だからおまえはいいよな」ってなってしまって、どっちの態度を取ろうと
    取り敢えず悪いようにしか解釈されなかったり
    こんなんじゃ駄目だって現状を打破したいのに、理解してくれる人は少なくて
    今が駄目だから、じゃなくて自分のひとりよがりで変えたがっているように見られてしまう。
    読んでいて正にこういう状況に自分が陥って苦しかったことがあったので
    すごく辛くて。

    しかもそんな高校生レベルの、言ってしまえば低レベルなことが、
    「大人」たちの、しかもワールドカップという重要な舞台でも起こってしまうという
    人間の性というか危うさというか

    ジーコとヒデが喋っていて、日本語と英語しか分からない自分には
    何を話しているか見当もつかない
    そんな状況の中で、ヒデに嫉妬したり嫌悪感を覚えて彼の行動を悪くばかり取ってしまう
    ”国内組”の気持ちも物凄くよく分かる。
    誰が悪いというわけでもないし、犯人を捜して吊るし上げれば解決する問題でもない。

    それでもどうしてワールドカップであんなことに。
    と見ているだけでファンは感じたはずだし、内情をこうして知ってしまうと
    より一層なぜ、と思ってしまう。
    読み手に対して敗因を模索して示してくれた三人のライターさんはどれだけ苦労したことか。
    でも少しだけ、ああそうか・・・という気持ちにはなれた。

    やっぱり自国開催のときほど、ファンのエネルギーが違ったのは否めない。
    お祭り騒ぎは同じでも、当然優勝ぐらいの雰囲気だった日韓のときに比べて、
    前回のW杯は『絶対』という気持ちが
    ファンにまず欠けていた。
    ジーコのことは好きだけど、正直やはりまずかったし(今のチームに合っていなかった)
    それに対して更迭を望むほどの強い声を、国民があげられなかった。
    ごく一部だった。

    ヒデの涙がパフォーマンスだったとか、そんな悲しい言葉が出るくらい
    荒んでいるチームで、一丸となって戦うことなんてできるわけがない。
    それでも一丸となるのがプロだと言ってしまえばそれまでだけど
    やっぱり人間だから。そういう感情ってコンディションにも影響してくるから。

    次のW杯こそ。
    そしてカネコさんに、惨敗とか敗因とかじゃなく、歓喜とか勝因とか優勝とか
    happyなタイトルで本を書いてもらえるような結果を望みます。
    一ファンとして変わらず応援していくので。

  • まさにミネルバの梟は黄昏に飛び立つ。
    そして、著者群が持つギラギラした功名心の塊りを読ませられた気分。確かにあの時何が起こったのか、興味があることはあるし、知りたいといえば知りたい。ただ、そのようなことは週刊誌などで暴かれるべきもの。そう、ここに書いてあることは、週刊ポストとかがすべき仕事だと思った。

  • 誰か1人だけを敗因の戦犯に仕立ててしまう論調はおかしい。監督の責任は重いとも言えるが。
    ボタンの掛け違い。噛み合わない歯車。
    パフォーマンスを発揮できなかった主力選手。
    集大成とも言えるワールドカップで戦う集団ではなくオールスター選抜のように甘く結束力に欠けた集団に成り下がった日本代表。
    2022年現在に於いてもオブラートに包んだ発言しかしていない代表選手の中で、本書の取材時点から内部で何が起こっていたかを語った土肥は、もっと評価されるべき。
    風間や城の発言も、当時の代表を的確に指摘している。
    ジーコ監督時代の中田英寿は実績も残していないし、一部過大評価され過ぎているとも思う。それ以外の特定の試合でのパフォーマンスは素晴らしいものがあるが・・・。
    戦術論が発展した今、改めて振り返ると尚更である。
    団体競技であるサッカーに於いて中田英寿の功績や結果は、功罪含めてムラと振れ幅が大きくステレオタイプに良し悪し決めつけてはいけない。

  • オリンピックでサッカー日本代表がスペインに敗れて決勝進出を阻まれ、そして3位決定戦でもメキシコに敗れ、改めて何年振り(10年以上振りかもしれない)にこの本を手にした。

    ◆ワールドカップに挑む選手たち・・・・

    一読して、読み進めている途中で、
    え?
    あなた達、それでいいの?
    なんでそんなに自分勝手なの?
    チームメートと話し合って、相手の話に耳を傾けて戦術って決めるもんじゃないの?

    などという素朴な疑問が湧き上がる・・・



    というか、それ以前に、
    これじゃ、勝てっこない。
    場はワールドカップの本選の場、どの国も国を背負って4年に一度の闘いに臨んでくるのに、

    仲間割れ?
    してる場合じゃないだろ?
    こんなんじゃ、勝てるわけないだろ?

    若い、余りにも若い・・・というより、幼稚とすら感じられてしまった。

    これが、私たちの想いを託した代表選手たちの内情、真の姿だったとは・・・

    ◆敗因と・・・

    この本のタイトルであり、唯一にして最大のテーマは「敗因」である。
    著者は第一線のサッカー雑誌の記者たち。
    日本で一番目の肥えた連中だ。
    その著者が最後に語ってくれた「敗因」は・・・

    私にとって、衝撃だった。

    そう、ドイツワールドカップで日本代表が3戦全敗で、仲間割れの末、あっけなく敗退したのは、

    ほかならぬ、この「私自身」に原因があった・・・・
    と、彼らは言うのだ。



    私たち、(あえてサポーターとは言わない)日本代表を応援する日本人全員が、

    「高く厳しい目標を設定し、勝つことを強いる」

    この熱量が圧倒的に不足していたのだと、著者たちは言うのだ。

    確かにそう、かもしれない。

    2021年のサッカーオリンピック代表の連中に、私たちは本気で「メダルを求めた」、私などは本気で「一番色の美しいメダル」を求めた。

    私だけでなく、マスコミをはじめ、国中がサッカー日本代表に(も、なのだが)メダルを本気で求めた。

    そう、メダル奪取はノルマであったのだ。

    だから、そのノルマを肌身に感じた選手たちは、メダルを取れなければ、終われない。そういう気持ちで戦ってくれた。

    だからこそ、4位に終わった瞬間に、久保建英は「大泣き」したのだ、メダルを取れなくて悔し泣き・・・だ。

    世界4位。そう、ベスト4に入れたのに、胸を張っていいはずなのに、彼らは「悔し泣き」したのだ。





    ドイツワールドカップ。

    私たちは日本代表選手たちに、どんな「ノルマ」を課しただろう・・・・?

    ブラジルも、クロアチアも強い、オーストラリアも強かった。

    まあ、決勝トーナメントまで行けたら御の字?

    そんなものかな・・・

    国中が、やはり、そうした「ぬるさ」があったことは否めない。



    から、私たち応援者が、選手たちに課すノルマがぬるく低いと、

    彼らも緩んで、仲間割れなど、自分勝手なところにはしったわけだ。


    2021年のサッカーオリンピック代表のように、(メダルを取って当たり前と言う)途方もなく高いノルマを課せられ、

    誰もが、選手たちだけでなく、私たちを含めたすべての人々が、

    「勝ちたい、勝って欲しい」

    そのためにはどうしたら良いのか?

    そう考え、語り合う事で、選手たちと私たちも自然に一つになっていたわけだ。

    2006年ドイツワールドカップの敗因は、間違いなく、私たちサポーター、国民が高く厳しいノルマを課さなかった事。

    これが敗因の一つであることは間違いない。
    と、本書は結んでいる。(勿論すべてではないだろうが・・・)

    そして、本のタイトルは「敗因と」である。
    「敗因」「と」の次に浮くるのは、

    今後私たちは彼らに、高く厳しいノルマを課し続ける・・・・

    と、結べるのではないかと私は考えるのだ。

    だから、次のワールドカップ・カタールでは、私は「ベスト4以上」を求める。

    それは、もう来年の11月に迫っている。

    私の読書日記
    http://www.yo4.jp/nikki/cat16/

  • サッカードイツW杯における日本代表の戦いの検証している本。マスコミやネットで話題になったクロアチア戦前の選手だけの食事会とそこでの日本国旗へのサインの話、ヒディンク監督へのインタビューなど興味深い話が載っている。

    本当にサッカーが好きなスポーツライター達が書いているので、スポーツ新聞に代表されるマスコミによって面白おかしく脚色されたものでも、日本サッカー協会による責任逃れで誤魔化されたものでもない。もちろん当の選手達の直接の話ではないが、多くの取材に裏付けされた信頼できる内容だと思う。

    本書を読むと、確かに、ドイツW杯における日本代表チームには一体感が欠けていたように感じる。マスコミで言われているほどの確執があったかどうかはわからないが、アジア杯のときのようなチーム一丸という姿勢でなかったことは間違いなさそう。その要因のひとつに監督としてのジーコの経験値の低さが大きな影響を与えていたと思うし、そしてそれを放置してしまった日本サッカー協会、特に川淵キャプテンの責任は大きいと思う。

    それにしてもこれだけのメンバーを揃えていながら、今回の戦いぶりは本当に残念。本書を読み、その悔しさ、残念さが再び込み上げてきた。

  • 結果がすべて。
    ただ改善点は無数にあるということだろう。

  • 今更だけど読んでみた。
    ドイツワールドカップの惨敗って何だったんだろう、と思って。

    色々思ったことはありますが、ひとつあげれば監督の問題が大きかったかな、と感じた。

    サッカーの監督って、はっきり言って何をやっているのかよくわからないし、誰がやっても同じじゃね!?なんて思っていましたが、考えが甘かった。

    ジーコはまだ早かった、っていう意見を目にしたけど、そうかな!?選手としての功績は言うに及ばずだけど、監督しては全く未熟だったんじゃないかと思いました。

    日本代表という特異な環境ではるあるが、人間関係が上手くいかないってことは誰にでもあることで、毎回ワールドカップの出場チームの1チームくらいはこんなことが起きているのかもしれない。学校にだって上手くいかないクラスがいつもある訳で、人間の集団ってそんなもんかな、なんて事も考えたりしました。

  • 2014/7/12 ここまで考えるサポーターっているのかな?スポーツライターのニーズってどんな人にあるんだろう?とにかく、まずは自分の見たことを書きたい。その上で、参考になるかもしれない。

  • 2002年は仲間割れしてたってことは分かりました。

  • 意外と赤裸々に書いてあって面白かった!中田ガンバレ!

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