絶対貧困

著者 :
  • 光文社
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本棚登録 : 702
レビュー : 124
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334975623

作品紹介・あらすじ

スラム、物乞い、ストリートチルドレン、売春婦の生と性…1日1ドル以下で暮らす人々と寝起きを共にした気鋭のノンフィクション作家が語る。泣けて、笑えて、学べる、ビジュアル十四講。

感想・レビュー・書評

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  • 何十カ国と途上国を回り、そこで生きる人々と暮らしを共にしながら取材をした著者が語る、テレビでは伝えられない貧困地域に生きる人々の生活と問題。


    世界全体の中で、一日一ドル以下で生活している人が十二億人(五人に一人)、二ドル以下になると三十億人(二人に一人)にもなるそうです。百円(一ドルとして)と聞いてまず浮かんだのが一〇〇円ショップ。「気に入らなければ捨てればいいか」くらいの軽い気持ちでついつい買ってしまう商品一個分です。じゃあ、あのお店一軒で何人の人が暮らせるのだろうか?そんな疑問と後ろめたさがごちゃまぜになった気持ちになりました。
    さて、そのような人々が暮らすスラムとはどのような所なのか?一般的なイメージとしては、不衛生かつ危険な所で、やせ細った子どもたちがバタバタと死んでいく・・・そんな感じでしょうか。確かにそれは事実でしょう。でも、そこで暮らす人にとってはそれが日常であり、その中でお金を稼ぎ、食事をして、性の営みがあり子どもを育てているのです。ときには身の危険もありながらその暮らしを体験した著者は、いろんな意味で凄い人ですね。
    彼らがなぜこのような生活レベルにあるかと言うと原因は色々あるでしょうが、私が一番問題だと感じたのが『負のスパイラル』でしょうか。貧しいが故に教育を受けることが出来ないのでろくな仕事にもつけない。当然そこで生まれた子どもたちも同じ道をたどり、犯罪の被害にも加害にも近い環境下におかれてしまうのです。この悪循環を断ち切るためには、もちろん社会制度を整える必要があるのと同時に、彼らの目線で日々の問題を考えていくことも大切だと著者は説きます。未来への希望がなければ今を生きられないし、今を乗り切らなければ未来はやってこないということなんだと思います。
    しかし、考えれば考えるほど自分には何もできないと情けなくなります。それでもせめて無関心にだけはならないようにしなければと思いました。

  • 今までメディアで見てきた貧困のルポとは毛色の違う書き方に戸惑ってしまった。悲惨、可哀想から一歩踏み込んで、作者はスラムに寝泊まりして、そこで起きている日常をありのまま伝えているのだろう。物乞いが儲けをよくするための工夫(障害を重く見せたり、赤ちゃんを借りたり)売春婦のヒエラルキー、そういうの知って、どう考えるのか?どう感じるのがいいの?と、どうしろっていうの?と消化できず。遠い国の出来事と片付けられる時代でないのはわかったのだけど、ただ知っただけで、何をしたらいいかなんて考えられない私が残った。

  • 貧困国の現在が見えてくる。
    筆者は発展途上国である、インド、カンボジア、タイ等様々な国を自らの足で周り、体験し、目にしてきたものを事実として生々しく写真を添えて語っている。貧困地域の生活感や暮らし方がこの本を手に取ることで見えてくる。
    お金がないからお金を稼ぐために、仕方なく薬に走ってしまう人たち。売春婦も同様だ。もちろん、教養などないから頭を使う仕事には就けないし、知識もない。
     この暮らし様を知って、同じ人間として胸が痛むのだが、果たして私のできることは何なのだろうかと考えた。

  • 世界の最下層の人たち、例えばスラム街、浮浪者、売春宿などに暮らす人たちの生々しい実情が書かれている。人間について深く考えさせられる。貧困により人間性が破壊され、さらに弱いものを傷つける。人間の見たくない部分を軽妙な語り口で書いている。
    驚くべきは、危険でもある現場に入り込み取材する筆者の行動力。すごい人がいるもんだな。麻薬・薬物についての言及あり。大麻に関しては、文化圏によっては容認されており、ヘロインなどハードドラッグとは一線を画すものであるとはっきり述べられている。

  • 最貧困の環境で過ごす人々の真の実態。

  • 石井氏の本はいつもぐっと引き込まれる。
    著者の本は衝撃的な内容が多く賛否が分かれることが多い。
    今回は貧困層を幅広く講義形式で説明(?)している。
    とても分かりやすく、ぜひとも若者層に読んでもらいたい一冊。やたら性についての記述が多い。そんな不純な動機からでも良いので、是非とも若い人にも読んでもらいたいな〜と思う本。

  • p.112まで読了。

  • 生活がよくわかってすごく興味深い。

    売春編に関しては、著者が完全に「買う側」の視点になるんだなーと思った。「女性が陰性の検査結果を持っていても、それが百パーセントである保証はない」「性感染症になったと言って股からでてきた膿の匂いをかぎあったり」前者は男性にうつされる可能性あるからそりゃそうだし、後者は自分がかかったときに判断できるようにかなあ、とか思うよ。講義形式だから、もしかしたら買う側の男性聴講者が多くて? それに合わせたのかもしれないけど、「同性愛の売春婦で問題なのは、犯罪率の高さです(p251)」と客が被害者になる場合のみ犯罪率が高いって言ってて、立ちんぼうをやってるメリーが殴られたり、売春婦が被害者になって殴られたり強姦されたりするのは(検挙されない、泣き寝入りになるとしても)犯罪率に入らんのかーい、とは思う。

    ストリートチルドレンの子どもがレイプ(男の子なのにって意味だからか、わざわざ"強姦"されるって書いてあったけど、レイプか強制性交でよくない?)の被害にあって、ケガすると襲われないから夜な夜なパニックに陥って自傷行動をくり返すというところ、つらすぎる。

  • 途上国のスラムなど貧困地域で実際に生活を共にした著者でしか書けないものだと思った。
    世の中には知られてない実情、当事者たちの思いなど、本当に知らなかったことだらけだ。
    特にレンタルチャイルドの話は本当に酷くて胸が苦しくてたまらなかった。

    現地での物売りや物乞いなどにはキリがないから無視するようにとかよく言われていることに対し、著者はその瞬間にたった数十円をケチることはどうなのか?ギリギリの生活をしている人はそれでその日をしのげるかもしれないのに、と発言していてなんだかとても救われた。本当にそうだよな。根本的な解決にならなくとも、目の前のことに対して自分が思う当たり前の行動をしていいんだよなと思えた。
    でも、一方でそれがマフィアなどの利益に回ることもあるかと思うと一概には言えないということも分かってしまったわけだけど。

    あと、読んでいてとても怖くなったのは、講義形式での文章のせいか、遠いどこかの世界の同じ人間ではないものたちの話を聞いてるような感覚に陥ってしまう自分がいたことだ。著者はこんなにも現地の人の目線で話してるのに私はどんな立場でどこからそれを聞いているんだろうと。

  • 「絶対貧困」といわれる人々の生々しい日々の生活の様子が描かれています。貧困の問題を考えるとき、「貧しい人々」と一括りに考えてしまいがちですが、当然のことながら、多様な事情、価値観を持つ人がいることに気づかせてくれます。また、我々が写真やドキュメンタリーで植えつけられてる貧困層への「イメージ」と現実の乖離、裏の話まで書かれており、とても興味深いです。

    中には、このような話を苦手と感じる方もいるでしょうが、読みやすい文章ですし、一読する価値はあると思います。

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著者プロフィール

作家。
1977年東京都生まれ。大学卒業後にアジアの貧しい国々をめぐり、ドキュメンタリー『物乞う仏陀』(文春文庫)でデビュー。その後、海外の貧困から国内の災害や事件まで幅広い執筆活動を続けている。NHK「クローズアップ現代+」などにも出演。
著書に、児童書に『ぼくたちはなぜ、学校に行くのか。』『きみが世界を変えるなら』(共にポプラ社)、『みんなのチャンス』『幸せとまずしさの教室』(共に少年写真新聞社)、『おかえり、またあえたね』(東京書籍)がある。一般書として、「新潮文庫の100冊 2015」に選ばれた『絶対貧困』『遺体』(共に新潮文庫)、『原爆』(集英社)、『43回の殺意』(双葉社)など多数。

「2020年 『地球村の子どもたち 途上国から見たSDGs ③平和』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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