絶対貧困

  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334975623

作品紹介・あらすじ

スラム、物乞い、ストリートチルドレン、売春婦の生と性…1日1ドル以下で暮らす人々と寝起きを共にした気鋭のノンフィクション作家が語る。泣けて、笑えて、学べる、ビジュアル十四講。

感想・レビュー・書評

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  • 何十カ国と途上国を回り、そこで生きる人々と暮らしを共にしながら取材をした著者が語る、テレビでは伝えられない貧困地域に生きる人々の生活と問題。


    世界全体の中で、一日一ドル以下で生活している人が十二億人(五人に一人)、二ドル以下になると三十億人(二人に一人)にもなるそうです。百円(一ドルとして)と聞いてまず浮かんだのが一〇〇円ショップ。「気に入らなければ捨てればいいか」くらいの軽い気持ちでついつい買ってしまう商品一個分です。じゃあ、あのお店一軒で何人の人が暮らせるのだろうか?そんな疑問と後ろめたさがごちゃまぜになった気持ちになりました。
    さて、そのような人々が暮らすスラムとはどのような所なのか?一般的なイメージとしては、不衛生かつ危険な所で、やせ細った子どもたちがバタバタと死んでいく・・・そんな感じでしょうか。確かにそれは事実でしょう。でも、そこで暮らす人にとってはそれが日常であり、その中でお金を稼ぎ、食事をして、性の営みがあり子どもを育てているのです。ときには身の危険もありながらその暮らしを体験した著者は、いろんな意味で凄い人ですね。
    彼らがなぜこのような生活レベルにあるかと言うと原因は色々あるでしょうが、私が一番問題だと感じたのが『負のスパイラル』でしょうか。貧しいが故に教育を受けることが出来ないのでろくな仕事にもつけない。当然そこで生まれた子どもたちも同じ道をたどり、犯罪の被害にも加害にも近い環境下におかれてしまうのです。この悪循環を断ち切るためには、もちろん社会制度を整える必要があるのと同時に、彼らの目線で日々の問題を考えていくことも大切だと著者は説きます。未来への希望がなければ今を生きられないし、今を乗り切らなければ未来はやってこないということなんだと思います。
    しかし、考えれば考えるほど自分には何もできないと情けなくなります。それでもせめて無関心にだけはならないようにしなければと思いました。

  • 今までメディアで見てきた貧困のルポとは毛色の違う書き方に戸惑ってしまった。悲惨、可哀想から一歩踏み込んで、作者はスラムに寝泊まりして、そこで起きている日常をありのまま伝えているのだろう。物乞いが儲けをよくするための工夫(障害を重く見せたり、赤ちゃんを借りたり)売春婦のヒエラルキー、そういうの知って、どう考えるのか?どう感じるのがいいの?と、どうしろっていうの?と消化できず。遠い国の出来事と片付けられる時代でないのはわかったのだけど、ただ知っただけで、何をしたらいいかなんて考えられない私が残った。

  • 貧困国の現在が見えてくる。
    筆者は発展途上国である、インド、カンボジア、タイ等様々な国を自らの足で周り、体験し、目にしてきたものを事実として生々しく写真を添えて語っている。貧困地域の生活感や暮らし方がこの本を手に取ることで見えてくる。
    お金がないからお金を稼ぐために、仕方なく薬に走ってしまう人たち。売春婦も同様だ。もちろん、教養などないから頭を使う仕事には就けないし、知識もない。
     この暮らし様を知って、同じ人間として胸が痛むのだが、果たして私のできることは何なのだろうかと考えた。

  • 世界の最下層の人たち、例えばスラム街、浮浪者、売春宿などに暮らす人たちの生々しい実情が書かれている。人間について深く考えさせられる。貧困により人間性が破壊され、さらに弱いものを傷つける。人間の見たくない部分を軽妙な語り口で書いている。
    驚くべきは、危険でもある現場に入り込み取材する筆者の行動力。すごい人がいるもんだな。麻薬・薬物についての言及あり。大麻に関しては、文化圏によっては容認されており、ヘロインなどハードドラッグとは一線を画すものであるとはっきり述べられている。

  • スラム、路上生活、売春という枠組みから貧困生活に窮する人たちを捉えたルポ。表面的な報道と異なり、実際に日常をその場やその仕事で生き抜く人たちは凄まじい。

  • 淡々と事実が書かれている印象。この手の本にありがちな読みにくさが薄いので、世界を覗く意味でも一読の価値はあるかと。

  • 視野はひろまる

  • 講義形式になっており、「スラム編」「路上生活編」「売春編」で構成される。
    アジア、中東、アフリカがメイン。
    統計上の話ではなく、筆者が直接現地で入り込んで見聞きした話なので、臨場感があり、本質を突いている。また、リアルな生活として、人々の出産、恋愛、セックス、結婚、葬儀などにも触れている。
    物乞いにお金をあげたらキリがないのか?そのお金で彼らが一日でも食べ物が手に入るのであればいいのではないか、そんな疑問提起もしている。暗いばかりではない、最貧困の中を生きるリアルな日常。

  • 世界の貧困をスラム、路上生活、売春の3つの視点から講義する。
    普通、当たり前という価値基準が大きく異なっているのかなと。他人と比べない限り、自分が不幸であり恵まれてないことを認識しないのでしょう。そういう意味では、インターネット、スマートフォンを知らない人は自分の見える範囲での当たり前の価値観で生きているのでまだマシだろう。しかし、ここまで世界が縮んでしまった今、多くの人が身の回りが世界の当たり前との乖離が大きい事を知ると絶望するんだろうな。
    大きなトピックとして売春がある事に違和感があったのだけど、路上生活している女性がいない、少ない理由がここにある事が分かり、このトピックが大項目たりうる事に気づいた。
    日本は給料が延びずに貧しくなっていってると思っているのだけど、国全体を見ると社会福祉はある程度機能しているので幸せな国なのだなと外を見て思った。

  • 配置場所:2F書架
    請求記号:368.2||I 75
    資料ID:W0153110

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著者プロフィール

1977(昭和52)年、東京生れ。国内外の文化、歴史、医療などをテーマに取材、執筆活動を行っている。ノンフィクション作品に『物乞う仏陀』『神の棄てた裸体』『絶対貧困』『遺体』『浮浪児1945-』『「鬼畜」の家』『43回の殺意』『本当の貧困の話をしよう』『こどもホスピスの奇跡』など多数。また、小説や児童書も手掛けている。

「2022年 『ルポ 自助2020-』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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