経済を動かす単純な論理

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334975647

作品紹介・あらすじ

世界経済の動きをとらえることは、難しいことではない。本書にある、2つの「単純な論理」を理解すれば、一見複雑そうにみえる経済の本質が明快になり、自分の頭で思考し、判断できるようになってくる。

感想・レビュー・書評

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  • 感想
    経済のモデル化をモデル化した一冊。実際はこんなに単純ではないという反論は意味をなさない。モデルとは本質だけを抽出したエッセンスなのだから。

  • 1

  • 非常によくまとめられている。
    大学生の金融論授業のサブ教科書はこれでも良いような気がする。

  • 本当はそんなに単純じゃないけど、単純に書くとしたらこうだ!みたいな本

  • 本人が喋ってたけど、経済を動かす論理は、そんなに単純じゃないそうです。
    出版社の人に言われて、本を売るために、この題名にしたんだって。

    経済の本は、外国の本が特にそうだけど、「売るため」にこの題名にしました、みたいなのが多い。

  • 経済学の仕組みを理系なら理解しやすいはず

  • 昨今の金融システムを翻弄してきた証券化とバブルの本質を、複雑な数式を使わず平易な言葉で紹介。大数の法則、市場の効用・限界、情報の非対称性が故の銀行の存在意義、担保融資と経済成長、価格とExpectation、美人投票等、補助ロジックの選択が的確で自己理解の確認や知識の定着化に最適。デリバティブの失敗は情報の非対称性や原証券の債権管理責任を甘く見過ぎ、リスク分散可能と幻想したためという分析は共感。担保主義や消費性向と関連付けたバブルの安定という喩えやバブル総和一定、バブル代替(土地→国債)も直感に合致。ただ日本の金融は弱いという結論は残念。金融強化なくしてイノベーション立国は無いと思う。

  • バブルとはどのようなものか、リスクの分散の重要性とかが書いてあった。
    わかりやすく書いてあっても、難しい。
    株価とは今後の成長見込みだったんですね。
    どういう仕組みで株価が変わるのかが、わからないが、わかってきた、気がする。

  • マクロ経済学の本ですが「複雑そうに見える物事の本質は単純である」とあとがきにあるように専門用語はほとんどなく読みやすいと思います

    気になる小さな点としてP.50の
    「例えば1000万円の預金を複利で1%の金利で5年間回していくと、約1050万円です。
    一方、同じ1000万円を3%複利で回せば、約1150万円です。
    金利の違いで車1台買えることになります。」
    車1台は変わらないけれど複利ならば1%で1051万円。3%で1159万円でしょう?これでは単利です

    面白い点としては「資産価値の決まり方」での株価の簡単な計算式

    今期の株価=配当/国債利回り

    これはかなりザックリとしているが興味深い
    理論株価の計算式は決算書の数字から求めるものばかりだけど債券の利回りをここでは用いている
    もちろん万能ではないと思う・・・高配当銘柄なら株価が高く内部留保する成長株銘柄だと株価が評価できない

    応用としては

    (一株当たり当期利益×市場平均配当性向)/国債利回り

    更に応用としては

    (一株当たり営業利益×税率0.6×市場平均配当性向)/国債利回り

    こんな感じでも妥当な株価が出るかも知れません
    個別株投資に興味あるひとは一度計算してみて使えそうかどうか教えて欲しいところです
    この本では「収益還元価格」または「ファンダメンタルズ価格」と呼ばれます。

    基本的には「リスク」と「バブル」についての内容ですが一読の価値は十分にある良書です

  • バブルというものがわかりやすく書いてある。題名にセンスはないが内容は濃い。教授の授業とる時はあとがきも読んだ方がいい。

  • 経済はリスク分散とバブルで構成されているということが良くわかった。わかりやすいが、少し難しい

  • 学生時代、桜川先生の授業を採った人間なのであまり言いたくないが・・・この微妙っす、先生。 経済学アレルギーを起こさない様に、丁寧に丁寧に書かれた、高校生向けの啓蒙書って感じ。(そう考えれば、★3つは付けられるのだが)

  • キーワード:「バブル」「リスク」

    証券化によってリスク分散はされたが、その回収を誰がするべきなのかが問題になる。また、日本経済が土地バブル→国債バブルに移行した歴史の経緯が分かりやすくて、なるほどと思った。

  • 『経済を動かす単純な論理』は、慶応大学の先生による著作ですが、著者はたったふたつのキーワードで世界経済は説明がつくと言います。それは『リスク』と『バブル』だと言います。リスクを理解するには大数の法則を理解することが鍵であり、それがわかれば証券化の意味が理解できてきます。一方、バブルを理解するには『利子率』と『成長率』の関係を捉えればよいと言います。

    証券化は理想的には信用リスクを低減させるものとして考えられていましたが、結果的には原証券(例えば住宅ローン)の債権回収といった基本的な機能がモラルハザード・情報の非対象性などの問題により崩壊してしまいました。よく言われているように格付け機関の不適当評価も問題を極大化させました。この辺の論点は既に言われ尽くしていることでもあり、目新しいことはありません。

    一方、利子率と成長率でバブルを捉えるというのはあまり類書ではない視点で興味深い論点です。単純に言えば、金利が利子率より低い状態がある程度続くとバブルが発生するということです。G7各国における各種金利とGDP成長率の関係を見ると中々面白い事象があります。2000年頃まではほとんどの金利が成長率を上回っているのですが、この時期を境に金利が成長率を下回るようになります。04年以降になると全ての金利が成長率を下回るようになります。まさにバブルの生成→開花の時期と一致していることがわかります。

    この直感的な説明としては、もし金利が(経済ないし資産の)成長率より低ければ借金して資産を買えば必ず儲かるので、人々が市場に殺到してバブルが起きるというわけです。

    また、本書には出てきませんでしたが、あらゆる資産の価値は、

    資産価格=(キャッシュ・フロー)/(期待収益率-成長率)

    の基本公式で表されることを思い出すべきかもしれません。この基本公式は期待収益率が成長率よりも高いことが前提で、そうでないと式が発散して収束せず、成立しないことになります。バブルとはこの基本公式が成立しないような状態がある程度続いているような事態だとも説明できるかと思います。

    金利(期待収益率)と成長率の大小関係がおかしくなるには、期待収益率を低く見積もり過ぎるか、成長率を高く見積もり過ぎるという両面の可能性がありますが、一般にはバブルがおきているときには両方ありうるのだと思います。

    前者に関しては、例えば企業価値評価の現場などでも、どんなにある企業が高い成長率を実現していてもそれが永続的に持続することはないと考えるので、この基本公式は成立します。それはそれだけ高い成長率が達成できるような業界では新規参入が多発し、当該企業の成長率が低下していくと考えるからです。(激しい)競争が企業の超過利潤を極小化するというミクロ経済学的な思考ですが、現実の企業を観察しても妥当な前提だと思います。例えばグーグルでも毎年成長率は低下していますし、永遠に高い成長率を維持できると考えるのは難しい。これをネットバブルのときのように永続的に高い成長率が続くと勘違いするとバブルになる。

    一方、不動産等の評価でも基本的には同じ話で、やはり永続的に期待収益率が成長率を下回るという前提は成り立たないと考えるべきでしょう。確かに不動産の場合、一時的な需給関係によって、キャッシュフローの成長率が比較的長い期間にわたって高くなるという事象はありえます。たとえ景気全体がある程度スローダウンしても特定のエリアの需給が極めて逼迫し、賃料に上昇圧力がかかり続けるという事態は生じえます。問題はその効果の発現の期間の見極めでこれがなかなか難しいわけです。

    後者に関しては、期待収益率が『無リスク金利+リスク・プレミアム』で成り立っていることを考えると、期待収益率を過度に低く見積もる=リスク・プレミアムを不当に低く見積もってしまうケースです。つまりリスクの対価として適切なプレミアムを要求していないケースです。ただこれも実際には経済の状態や各資産の基礎的条件、投資家のアニマルスピリット等によって変動するものなのである時点でのリスクプレミアムが適切かどうかというのは中々言えるものではないと思います。

    だからいずれにしてもバブルを捉えるのは現実にはなかなか難しいと思うのですが、ただ著者が言うように、金利(期待収益率)と成長率に注視するというのは今後のバブルの見極めに当たっても非常に重要な視点でしょう。

    あと、非常に興味深いのは本書で出てくる『バブルの代替』という論点です。これはフランス人経済学者であるティロールが発表したものですが、簡単に言うと、経済には一般的に複数のバブルが存在しており、それぞれのバブルが経済成長率と異なるスピードで変動することがあるとしても、全てのバブルを足し合わせた総額が経済成長率と同率で成長すればバブルは長期的に維持可能であるということです。つまりひとつのバブルがはじけても別のバブルが取って代わる、バブルが代替するという話です。

    これは実は日本の場合非常によく当てはまるというのが本書でも示されています。日本の地価・株価・政府債務(国債)の合計額(バブルの総額)は90年前半からほぼ2500兆円で一定の値を維持しています。これは地価及び株価が下がったものの、国債という政府債務バブルが増加しているからです。

    ちなみに、元ゴールドマンサックス投信の社長であった山崎養世氏は金融危機もつかの間、すぐに次のバブルが発生するという趣旨の本を書いていたと思います。彼の予測はそういう意味ではティロールが示した分析と整合的です。

    これはアメリカでも同様の問題で、多くの投資家が米国債への不信・懸念を表明しています。長期金利も上がっています。ジム・ロジャースも米国債は最後のバブルだと言っています。アメリカは特に日本と違って対外投資に依存している部分が大きいので日本よりも、『アルゼンチンタンゴ』を踊る可能性が高いかもしれませんね。日本ではアルゼンチンタンゴはないかもしれませんが、事実上の徳政令で、国債を買った庶民と金融機関が馬鹿を見て、『阿波踊り』でも踊るんでしょうか。

  • 「バブルの代替」、バブルは終わっておらず、不動産から国債へ。
    確かに国債が異常に評価されている実態があると納得。
    銀行の利子が低いこと、証券化が産んだ弊害。
    納得の解説でした。

  • 「たった2つのキーワードで世界経済は説明がつく」らしい。
    そのキーワードは「リスク」と「バブル」。
    金融工学でリスクを減らしたが、設計ミスによりリスクが拡大する結果になった。
    バブルとは、本来価値のない物なのに、みんなが価値があると思うと価値が出てくるという現象だ。貨幣は最も身近なバブルだ。
    「利子率<成長率」となればバブルが発生する。そしてバブルは別のバブルで代替される。
    今は国債バブルらしい。えー、弾けたら日本終了なんですけど…。

  • 経済学部の教科書レジュメらしく、分かりやすく読みやすい。
    日本のバブルは崩壊しておらず、土地バブルから国債バブルへ移っているという議論が面白い。

  • ・リスク、大数の原理、証券化
    ・土地バブルから国債バブル
    ・利子率<成長率
    ・GDPとバブルは、同じ率で成長する。
    ・バブルは代替できる。
    ・IT => 住宅 => 資源(原油、金)
    ・経営収支 = 貯蓄 - 国内投資
    ・利子率

    ト、2009.6.25

  • 前半は証券化に代表されるように大数の法則によってリスク分散を図ること、「情報の非対称性」(取引に際して一方だけが知っていて、もう一方が知らないことがあると、その「リスク」が価格として上乗せされる)が説明されるが、あまり見るべきものはない。後半のバブル論がちょっと特異。この人の定義では、実態以上の価格になっているものは全てバブルだという。通貨自体、本来50円程度の一万円紙幣は九千数百円のバブルであり、土地・通貨・国債それぞれの間でバブルが行き来しているのだという。成長率が金利を上回る(国債発行が許される根拠として一時期議論になっていたような記憶が、、、)経済では、本来的な価値のない財の価格が上昇し、それがバブルなんだとか。そうは言っても、そうやって効率のよい財にシフトしていくのが経済なんだと思うが。。。

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著者プロフィール

慶應義塾大学経済学部教授。

「2023年 『現代金融と日本経済』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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