ディレクターズノート もうひとつのプロフェッショナル

  • 光文社 (2009年10月16日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (312ページ) / ISBN・EAN: 9784334975937

感想・レビュー・書評

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  • NHKの人気番組で特集されたプロフェッショナル達の仕事に対する姿勢や考え方を、再度ディレクターの目線でとらえている、いわば「プロフェッショナルの舞台裏」をみることのできる本。プロの仕事に対する姿勢に圧倒されるとともに、そのプロに真剣に向き合うディレクターのプロ根性も感じられ、プロ同士が熱くぶつかる仕事ぶりに感動します。
    (人間環境システム専攻 M1)

  • 鈴木さんが仕事の流儀として大事にしてるのが公私混同。自分が好きなことを仕事にしろ、と言う人だから、いっそこの人に相談してしまえという思いが僕の中にあったのかもしれません。人をその気にさせて動かす〝鈴木マジック〟にこのとき僕もかかった。言い換えると、ただ手のひらの上で転がされているだけですからね。また「もうちょっとうまく質問しろよ」とインタビュー中によく怒られました。もともと鈴木さんは雑誌記者でインタビューする側だったから、やりにくいのです。「荒川くんは、答えを持って質問している。そういう聞き方をしていると本当の答えは出てこないよ」「もっと素直に聞きなさい」「質問は短く」とか。

    とくに武部さんが重要視しているのはアーティストが今、何を考え感じているかを詞に乗せること。「人間は弱くて醜いもので、内面はドロドロした部分がある。そういうものを持ってないと、人の心を打てる作品は作れない」と言っていました。歌の世界の多くはフィクションですが、その中に正直な自分を曝け出していくことで、聴く人の心の奥深いところまで歌が届くようになるのだと思います。とはいえ、自分の弱い部分を言葉にするのには勇気が必要。武部さんはその手助けをするために「常日頃から僕も自分の弱みをアーティストに話すようにしている」と語っていました。お互いに真正面から向き合うことも、音楽プロデューサーとしての役割のひとつだと考えているのです。

    前述しましたが、祖母井さんはサポーターに「辞めろ」と責められて大きな一歩を踏み出しました。重要なのはその挫折をどこまで受け止めるのか。自分に言い訳しないで深く傷つききれるか。逆風を全身で受け止められれば、その風を帆を膨らませて前に進む推進力にさえ変えることができるのだと、祖母井さんから教わったような気がします。

    鈴木さんはスタジオトークで言っていました。どうして人の喜びや悲しみを自分のものにできるのか。「人のためだからやれる。自分のことだったらそこそこでいいかと思うけど、家族や友達、被害者、社会のためならもう一踏ん張りするか、と思える」それは被害者から教えてもらったことだと。

    細野さんから「死んだ鳥症候群」という話を聞いたことがあります。それは、大学の教授になると、ある程度の地位や名誉を得て、傍から見ていると優雅に飛んでいるように見えるけど、実は気力も向上心も失っていて、鳥自身は既に死んでいる状態だと。

    吉田さんの船では、陸上の工場の3倍といわれる給料が支払われます。残業代はもちろん、漁獲量によってボーナスが加算されます。一生懸命頑張ればランクが上がり、それだけお金になる仕組です。その評価は吉田さんがすべて下します。裏を返せば、吉田さんが作業員に対して公正な評価をしなければモチベーションが上がらず、チームは崩壊しかねません。「能力があるかどうかはあまり重要ではない。それは仕方ないことで、時間をかければいずれ身につく。だから、最初から高いレベルは求めていない。どれだけ真剣に取り組もうとしているのか、その姿勢が大事だ」と吉田さんは言います。自分のベストを尽くしているか、その仕事ぶりをきちんと評価するため、吉田さんは隅々まで工場を歩き回る。

    プロフェッショナルは、自分の経験を振り返るとき、客観的な言葉で自分のことを語れます。それは脳科学の世界で「メタ認知」といいます。「メタ認知」とは、簡単に言うと、他人の心がわかり、自分の心を外から見ることができる。脳には自分と他人とを鏡にして映し合う、神経細胞(ミラーニューロン)があるんです。他人の心って本当はわかるはずがない。そんなとき、脳は自分だったらどういう気持ちになるだろう? と自分に訊いて、自分だったらこう感じるから、他人はこう感じるに違いないと考える。他人を鏡として、自分を磨いていくのです。他人の心を理解するというのは自分を見ることにつながります。自分のことがわかってない人はプロにはなれません。

    プロフェッショナルは、受難を情熱に変えることができる。受難と情熱は両方とも英語では〝Passion〟。人間は受難に遭遇するとたいてい性格が曲がったり、世の中を恨んだりしがちですね。受難から受けるのは多くが挫折感。そこを情熱に変換する方法がある。別の言い方をすると、怒りが情熱のもとになる。受難をなんとかしてやろうという怒りが情熱を生む。今リストラされたり派遣切りにあったりと、ひどい目にあっている人は、情熱に変えるチャンスなんです。大変だけど、それはひとつの試練。受難がないと情熱は出てこない。

    僕は脳の状態を知っているので、自身が混乱することは比較的少ないんです。自分では脳のシミュレーションがある程度できるので、脳科学は精神安定にすごくいい。例えば、やたら他人を注意したがる人がいるとします。それは脳科学の研究で、他人を注意しているときは自分の脳が喜んでいる活動をしていることがわかるから、他人を注意しているんじゃなくて自分が嬉しいからやっているんだと考える。熱烈な恋愛をしている人は、愛は盲目と言いますけど、脳の中で恋人を批判的に値踏みする活動が低下してるんです。お母さんが子供を見ているときも、その回路が低下している。だから愛するというのは、相手の欠点を見ないことだ、とか。そういうことがわかるから、例えば自分の妻にもすごく寛容になる。

    ディレクターが6週間ロケをして、編集マンとVTRを作ります。僕は最初の試写までまったく関与しません。ドキュメンタリーは現場がすべて。プロデューサーは添え物みたいなもので、立ち入ってはいけない部分があるのです。ディレクターが出演者との間で培ってきた「信頼関係」。僕はそれこそが、この番組の「核」だと思っています。若いディレクターが必死になってプロフェッショナルと向き合い、関係を作り、その人がいちばん大事にしている流儀はこれだ! というものを見つけて帰って来る。それが番組のもっとも大事な部分で、プロデューサーの立ち入る余地はない。ただディレクターは取材相手に入り込んでしまっているので、伝えたいと思うことが、きちんと視聴者に伝わらない場合があります。思いこみがあるからです。だから、そこに別の人間が必要なんです。ディレクターの意図が伝わるよう「伝え方」を考える人間が。

  • 366.2

  • プロフェッショナルに自分自身を理解していない人はいない。客観的に自分自身を見ることができている。また、自分で目標を設定し、クリアすることで脳を喜ばせる習慣ができている。できない、続かないの理由は何となく始めるからである。先を見据えた上で、では今何をすべきかを具体的に設定する必要がある。

  • 011.

    ★再読――――――――――――――――――――――――――――

    みんなのたあ坊の哲人訓 サンリオ 辻信太郎

    ※初読→2006 http://booklog.jp/users/5674/archives/4387050454

  • 一つ一つの物語が薄い。
    もうちょっと取材中の苦労話、ウラ話が深く知りたかった。
    でも、多くの話があるのでgood

  • 仕事のやり方を通して現代の厳しい時代を生き抜く術を学べた。それぞれの分野のプロフェッショナルのリアルな姿から社会の中での考え方を学べた。簡単に言うとプロは考え方の足腰がしっかりしていると思った。

  • 使えるフレーズが、いくつか。

  • NHK の番組「プロフェッショナル」に登場した人物について、
    彼らを取材した人たちの視点で書かれた本。

    プロフェッショナルな人の人となりだけではなく、取材者の
    苦悩や葛藤も同時に描かれており、プロフェッショナルな人と
    取材者の両方の姿に心打たれる。

    あれほどの番組を作るには、やはり裏に相当な苦労があったんだなと
    感じさせられる。個人的に非常に好きな番組だったので、
    その裏側が見れて嬉しい。

    1つ1つの内容は決して多くはないが、どのエピソードからも
    アツいものが伝わってくる。
    モチベーションが上がる非常にいい本だと思う。

  • 番組作ってる人たちもやっぱり大変だね。とは思った。
    番組では見えないプロフェッショナルたちの横顔がもう少し見える内容を期待してたが薄かったのが残念。

  • ディレクターって、もう、同年代の人たちがやってるんだなー、などと、会社社会からドロップアウトしたワタクシにはちょっと新鮮。

    内容は、まぁ、まぁ、それなりです。

  • ○190「オールオアサムシィング」
    一生懸命やったときは、失敗したとしても必ず残るものがある。
    ★何かに熱中できる物があって、なおかつ、志が高いんだろうな。

  • 自分からチャンネルを回して見たことはないが、テレビをたまたまつけていて、番組が始まるとついつい引きこまれてしまう。
    この本は、番組をスタッフの側から取材したドキュメンタリーだ。
    プロフェッショナルそれぞれも個性があって、素晴らしい人たちだが、番組を作る側もまさしくプロフェッショナルだ。
    約60日の密着取材で、一本の番組を作り上げていく。
    取材に関しての若いディレクターたちの苦労が淡々と語られていく。また、スタッフたちも番組作りのため、ディレクターたちを応援する。
    結果、見事な番組か出来あがった。

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