- Amazon.co.jp ・本 (159ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334977399
作品紹介・あらすじ
女子刑務所での盆踊りやネイルアート、暴力団受刑者たちのド迫力運動会から、一足4万円の手作り最高級紳士靴、うどん製造、墓石の加工、大型船の建造など多岐にわたる仕事まで、全国の30施設を取材、撮影。
感想・レビュー・書評
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2020.7.27
知っている土地、身近な場所、刑務所は思っているほど少なくない。すぐそばにある。そしてその中に人はいて罪を償うべく活動している。
その土地にある活動、仕事、住まい、生活、行事など
そういうことを知らずに意識から除外しようとしていたなあ。学ぶべきことだ。こういう領域があるのだと。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
不謹慎なもので「おお、ここなんか入ったらよくね?」とまるで物件を探すみたいなノリで眺めてしまった。最近のムショはすすんでいる。縞々の服を着て、鉄球を足につけている監獄のイメージは皆無。まったく真逆だ。案外と民主的な暮らしをしていて驚く。こんな緩いところばかりで再犯は大丈夫なのか。しかしこれがまた出戻りが少ないというのが驚くべき点だ。充実した環境で贖罪、そして社会復帰の流れ。罪状によっては十分アリなことなのかもしれない。
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一般人は知ることのできない刑務所、しかも全国のさまざまな刑務所の内部がたくさん載っていて、とても興味深かったです。写真としての切り取り方が鮮やかで、受刑者の息遣いや受刑者と刑務官との信頼関係がよく伝わってきました。
最近、アメリカの刑務所の内部に潜入するドキュメンタリーを見たばかりだったので、それと比較するような気持ちでこの本を手にとりました。その上で思ったのは、日本の刑務所では社会への復帰を前提としていて、人が人を管理する場所といえども受刑者の人権を大切にしているということ。職業訓練の多彩さには驚いたし、罪を反省する機会もふんだんに設けられており、ドキュメンタリーでみたアメリカの刑務所にはいずれもないものでした。アメリカでは州によって刑務所のクオリティが天と地ほど違うのに対し、日本では全国的に設備の新旧の違いこそあれ、矯正しようという姿勢にさほど違いはないと思われました。アメリカの受刑者の家畜のような扱いを見た後に日本の刑務所の充実した設備を見ると、正直こんな税金をかける必要があるのかと複雑な気持ちにならなかったといえば嘘になります。しかし、これこそが日本の低い再犯率に繋がっているのかもしれません。
長々書いたように、興味を満たしてくれるとともに、一冊で色々なことを考えさせる中身の詰まった本でした。 -
著者渾身の作品集。
刑務所への取材は各方面に気を配らなければならず、かなり大変なようで。でも社会的意義は大きい仕事だと思う。
関係者の皆さんの努力には頭が下がります。 -
資料ではなく、読み物としても楽しめる。不謹慎かもしれないが、奈良少年刑務所からは美しささえ感じられた
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ノンフィクション
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やはりどうもわからない、なぜ、こんなにも、刑務所にハマっているのか?
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旭川刑務所と前橋刑務所はなかった。
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図書館の「こんな本もあります」みたいなコーナーに置かれていた本。
2013年初版発行で、その時に刑務所遍歴25年という外山ひとみさんの写真と文章で構成されている。
全国に刑事施設(刑務所・少年刑務所・拘置所)は77あるそうだが、犯罪傾向の進度による処遇指標と性別、国籍、罪名、年齢及び執行刑期などによる処遇指標を組み合わせて収容する刑務所を決めるということを初めて知った(ただし、男性の場合のみ)。 -
烏兎の庭 第六部 2.16.21
http://www5e.biglobe.ne.jp/~utouto/uto06/diary/d2102.html#0216 -
オフィス樋口Booksの記事と重複しています。記事のアドレスは次の通りです。
http://books-officehiguchi.com/archives/4033597.html
この本で、著者の外山氏は全国30の刑務所を取材した。現役刑務官へのインタビュー、受刑者の一日の生活、刑務作業、運動会、女子刑務所での盆踊りやネイルアートが写真付きで紹介されている。ほとんどの読者にとって意外なことかもしれないが、奈良少年刑務所の正門を見て、観光客が「ここは奈良ドリームランドですか」と間違えてやってきたという逸話が紹介されている。 -
普段我々が滅多に目にすることない刑務所の内部に迫る写真集です。写真は全体的に暗めに撮影されています。
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全ての写真が芸術的。写真の美しさが雰囲気を伝えている。とにかく写真が素晴らしい。
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日本全国にある刑務所の中から30施設を選び出して撮影された『塀の中』の生活をありのままに写しだした写真集です。受刑者達の『つぐないの日々』に加えて盆踊りや運動会などのイベントも収録されております。
本書は世にも珍しい日本の刑務所内を撮影した写真集です。刑務所用語で『娑婆』とは一切隔絶された世界をここまで克明に写し出したものは他ではあまり知らなかったので、そのあまりのリアリズムに久しぶりに写真集を見て打ちのめされました。
日本最大の刑務所と称される府中刑務所に始まって、あの佐藤優も512日泊513日間を過ごした(あくまでも彼がその大半を過ごしたのは旧いほうですが)東京拘置所。新設された東京拘置所は最新の設備が行き届いていて、まるで近未来の要塞のようでありました。
日本最古の刑務所として現在も稼動し続けている奈良少年刑務所。ここでは地下の様子も写されているのですが、本当に中世の『牢獄』を思わせるものがあり、ページをめくりながら背筋が寒くなる思いでした。
これは僕も本書を見るまでは一切知らなかったのですが、民間企業との共同運営されているという美祢(みね)社会復帰センター。ここは男子収容棟と女子収容棟があるそうでその施設全体のハイテクぶりや、ビジネスホテルを訪仏とさせる部屋の中。さらにはパソコンなどを駆使し、そっち方面の資格取得も盛んだそうで、これにも本当に驚いてしまいました。
さらには、女子刑務所。男である僕が入ることは決してないその『閉ざされた空間』には厳しい『つぐないの日々』を送る女性受刑者とそのなかであくまでも『女性』である一面がうかがえて、なんとも言いようもないものを覚えてしまいました。
千葉県は市川市にある交通刑務所。年季の入った二段ベッドで寝起きをする囚人たちが、刑務間立会いのもと、朝の定期点検を受けているところに、ドストエフスキーの『死の家の記録』を連想させるものがありました。
圧巻だったのはやはり、重い罪を背負って収監されている人間ばかりがいるLA長期刑務所で撮影された写真で、運動会の場面が多いのですが、その全員が一丸となって協議に励む姿をほほえましく見ても、受刑者一人ひとりが出すただならぬ雰囲気が写真から伝わってきて、戦慄を覚えました。
巻末のほうに収録されているのは少年院であり、和泉学園では法律の改正上、12歳から収容可能であるということや、東北少年院で、資格取得のために夜遅くまで勉強に励んでいる写真を見ると、
『これは負けてられないな』
という気持ちになってきます。日頃、知る機会のない話ですので、著者の執念に感謝の意をこの場を借りて表したいと思います。 -
刑務所の本。写真と文章から生活の様子が伝わってくる。
2013/08/31 -
全国の刑務所、少年院写真集。貴重な資料だろう。
いろいろ制限があったと自身も触れているが、濃いものをとの期待が大きかっただけに少し残念。