スラブの文化 (講座スラブの世界)

  • 弘文堂
0.00
  • (0)
  • (0)
  • (0)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 4
レビュー : 1
  • Amazon.co.jp ・本 (343ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784335000416

作品紹介・あらすじ

文化と宗教と。ロシア・東欧など神秘に包まれたスラブ諸国・スラブ民族の全体像を初めて体系的にまとめた画期的な講座。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 目次
    第1部 文化の原像(スラブ文化とは何か;スラブ人の神話的表象世界―神話と自然観に見るスラブ的なもの ほか)
    第2部 文化のダイナミクス(ロシア人旧教徒の世界;ロシア民衆版画の文化史 ほか)
    第3部 近代における政治と文化(亡命と文学―第一次ロシア亡命文学をめぐって;社会主義と文学―社会主義リアリズムの消滅 ほか)

    1章 スラブの文化
    1 スラブ語圏
     似ているが分裂もある。
     分かつもの
     1宗教
      西:ラテン語、カトリック
      東:スラブ語、ビザンツ(正教会)
     2地理:
      東西:農耕、南:牧畜
     3歴史
      東:東方正教:支配国・ロシア
      西:カトリック:支配国・オーストリア=ハンガリー
      南:イスラム教:支配国・トルコ

    2章 スラブ人の神話的表象世界
     天地創造:善悪両方の力 生活の場が保証されるとともに、重みにより人間を拘束
     
     宇宙像
      地:大地母神光
      天:ガラスの円天井
      天体:全て神的存在 太陽・世界の全てを見る目/月・豊穣と健康
      世界樹:空間の垂直的区分(天・地・地下)と水平的区分(東西南北)を分かち・繋ぐ。
       上下、天地、天界冥界、生死、運・不運
       東の神々 農耕と平和
       南の神々 軍神(ただし、後世から)

    3章 イコン
     現実世界において、神の国を体現する⇒ビザンティン協会では、イコン
     ↓
     根拠:アタナシオス
     神は人となったのは、人が神となるためであり、受肉によって物質は聖化された。だから物質は神を描けるし、神の国を表現できる。
     
     19世紀のイコン研究
     カトリックに対し、ロシアにおける伝統の連続性と保守性を主張する。
     ルネサンス以降の西欧の発展は宗教性を破壊してきた。ロシアは停滞により、それを守ってきた。
     
     (ロシア以外では、オスマン・トルコでフォークアートへ。)
     
    西欧:
     地上の学問も積極的に追及することになる。原罪により、神と断絶されたが、恩寵によって現実と神の国の類比的な関係が持てる。それによりあくまでも類比的な知識であるとの限定つきで地上の学問を積極的に追求することになる。(人間主義)
     バルテアム
      現実の肉体と精神を分断、断絶後の橋渡しを象徴が行う。
    東欧:
     我々は原罪から恩寵によって救われ、神の国との連続は回復された。我々は無化(ケトーシス)いよって神化(テオーシス)されたと主張。
     パラマス
      物質(人体)の神化を中核とするが、それに至る前提は「無化」。
      ヘシカスム(静寂主義):自己犠牲を前提とする全人類と全物質が神の国への参入。最大の悲しみと(無化)最大の喜び(神化)の結合。

    4章
     スラブ人の歴史
     移動ではなく、拡散し、他を吸収しながら、その土地に土着。
     遊牧的でありながら、農耕に適した土地ではそこにとどまる。
     それなりのまとまりと政治的結合があったが、15世紀後半のオスマントルコの侵攻により分裂。
     
     ヨーロッパとの出会い
     1 9-10C キリスト教の受容
     統治政策の一環
     新しい政治、社会、秩序の導入⇒ただし特権階級の中だけ。ドイツ化に熱心で、民衆と分裂した。
     シスマの時期に東西の分裂・言語の分裂をもたらす。
     また、13C「タタールのくびき」からヨーロッパを守る堤防として機能。
     上下を宗教的文化的共同体としてまとめる、「スラブ化」。これが原点。
     ただし、モンゴル支配の「政治」の体制と組織の運営方法は残し、集合離散を繰り返していたかの地域は「国家」というイデオロギーを得た。

    2 ピョートル大帝の西欧化政策
     サンクトペテルブルクをはじめとした西欧的な都市の建設など。

    ・・ロシア宗教史
    ・特徴:
     理性で見えない世界を見るとして、佯狂者(ユーロジーヴィ)が一目置かれた。
     知識よりも信仰や敬虔さが重んじられた。
     ケノーシス(ギリシャ語の「空しくすること」の意味)/自己犠牲・放棄
     ロシアのキリストは心虚しき従順な人々の友
     トルストイ、ドストエフスキーはロシア民衆がキリストに近い、とした。
     
    ・ロシア旧教徒(スターヴェルイ)(別名 分離派 ラスコーリニキ)
    17C 総主教ニーコンの、他の正教国に合わせる「国際化」の政策改革に反対した人々。「ロシア的伝統こそ、真のキリスト教精神」とし、弾圧を受けた。
    生活は厳格で、酒・タバコ・コーヒー禁止
    家父長制度
    孤立化、セクト化する

    ・旧教徒の終末論
    キリスト生誕 1000年後 シスマ
    さらに600年後 西ウクライナがローマへ 
    さらに60年後 ニーコンの改革
    さらに6年後 世界の滅亡⇒ただし、終末は来なかった ピョートル大帝への反発

    ・理想郷
     ヴェロヴォージェ(白水郷)・アルタイの山の中
     それを信じて、日本にまでやってきた人もいる。18C北海道に渡ってきた人達もいる(新教徒からの圧迫⇒1930年には帰郷)。
     新疆ウイグル地区のロシア人は、そのころにすみ着いた旧教徒の子孫。
     帝政は「統一教会」を作るがうまくいかず。
     勤勉さ故の豊かな暮らしは、農村集団化の障害とされ、過重な割り当てを喰らうこともあった。 

全1件中 1 - 1件を表示

著者プロフィール

東京大学名誉教授。川端康成記念会理事長。ロシア文学・比較文学。著書に『薔薇と十字架―ロシア文学の世界』(青土社、1981年)、『ロシア文学史』(岩波書店、1986年)、『ユートピアの幻想』(講談社、1993年)など。

「2017年 『川端康成スタディーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

川端香男里の作品

スラブの文化 (講座スラブの世界)を本棚に登録しているひと

新しい本棚登録 1
新しい本棚登録 0
新しい本棚登録 0
新しい本棚登録 1
新しい本棚登録 0
ツイートする
×