- Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
- / ISBN・EAN: 9784335359927
作品紹介・あらすじ
正確で分かりやすい法律文章のための約束事・心構えとは?
法律文章において、正確さと分かりやすさは、どうしたら両立できるのか?
本書は、条文の読み方や扱い方、公用文のルールといった約束事などの「細部」に光を当て、著者自身の心掛けとともに解説した、法学界随一の書き手による文章読本です。
伝わる法律文章を目指して、一語一語を適切に使いこなせるようになりたい全ての人の背中を押す1冊。
感想・レビュー・書評
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本書は、法令や行政文書をはじめとする法的な内容を含む文章、すなわち「法律文章」が読み手に向けて正確に分かりやすく伝わるようにするためのヒントをまとめている。条文の読み方等の基本や、公用文の標準的なのルールとしての「公用文作成の考え方」を解説するとともに、法律文章を書く際の法学者としての著者の心掛けも紹介されている。
条文や公用文の読み方、考え方等が簡潔明快にまとまっており、法律文章を扱う公務員等にとって重宝な一冊である。読点の打ち方など、著者の法律文章に係る心掛けも納得性が高かった。正確で分かりやすい文章を作成する上で参照軸となる内容だと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
マクロ→ミクロで解説してくれるのでわかりやすかった。公用文考え方をいきなり読む気にはなれなかったので手っ取り早くて⭕️
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なるほど、そういうことか!と思える記述が満載。随所に散りばめられた著者独特のユーモアにクスッとなる。以下は付箋を貼った箇所の要約。
「分かりやすいもの」を攻撃し、軽んじる風潮は、分かりにくいものが分かりにくいままで安住し、改善努力をしない、という結果を、同時に、もたらしている。p.iii
「この〇〇」という意味で、「本〇〇」とする表現も、古い言い回しの一種である。p.25
「みなす」=AはBに該当することとする。反論は認めない。
「推定する」=AはBに該当することとする。ただし、反論は認める。pp.37,39
いい加減なことを書けば読み手に直ちに見抜かれる、という状態を、自分で作るのである。p.54
「〜するべき」ではなく「〜すべき」とする……せっかく文語的な表現を取り入れるのであるから、……その前の動詞も文語の場合の終止形である「〜す」を用いる、ということであろうか。p.59
「A社の拘束」……A社が拘束するのなら「A社による拘束」と書き、A社が拘束されるのなら「A社に対する拘束」と書くようにしている。p.84
比較の「より」は、「よりも」と書くように努めると、読み手を迷わせる可能性が減ると思われる。p.124
「公布の日から起算して20日を経過した日から施行する。」の解釈
①期間の計算方法に関する一般法「特別の定めがある場合を除き〜」(民法138条)
②初日不算入原則(民法140条)
③「公布の日から起算」という特別の定めにより、公布の日を1日目と数える
④「経過した日」→21日目の日
「更に過去」の「更に」の品詞 p.169
「法令における漢字使用等について」は、「送り仮名の付け方」通則7が掲げる例と比べて大量の複合の語を掲げている。これは、法令という「特定の領域」で慣用が固定していると考えているからであると推測される。p.184
(疑義)
主語の後には、なるべく読点を打つ……「〇〇が、」のように p.81
→法令で主格助詞の「が」の後に読点を打つ例は相当少ないと思われる。「主語」という用語の使い方の問題。
「当店は現金のみです。」……「象は鼻が長い。」の「鼻が」の部分が省略されたものであると言えるかもしれない。p.85
→日本語学では、そのような構文は「うなぎ文」という名前がついている。 -
法律文章の奥深さを感じることができた。句読点の使い方ひとつでも、読み手に寄り添う視点が重要であることを再認識した。
知っているようできちんと理解できていなかったことを含め勉強できよかった。 -
法的内容を含む文章を、読み手に向けて、正確に、わかりやすく伝わるように、書くためのヒントをまとめた一冊。しかし、ビジネス文書全般を作成するとき、いや、お互いに前提となる知識、文化、情報を共通にしない人々が、文書によって意思疎通を計ろうとするとき一般に、確実に役立つことが説かれています。
さすが、白石先生。
しかも、この本自体が、とても、わかりやすく、伝わりやすく、曇りなく、執筆されていました。お手本が示されているのです。ありがとうございました。
御殿が建つほど、多くの人々に、手にとってほしい本です。 -
官公文献(公用文考え方や法令漢字使用等)をよりわかりやすく説明しつつ、著者の私見も多分に且つ比較的フラットに述べられている。私見の内容は個人的に共感できるものが多かった。良著。
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はじめに
1 本書について
2 正確で分かりやすい文章
3 「公用文作成の考え方」について
4 本書の構成
第1章 入門
1 条・項・号
2 条・項・号をめぐる基本の続き
3 古い用語・表記について
4 基本的なルール
5 基本的な法律用語
6 入門を終えて
第2章 文書
1 文書を作成する際の基本的な考え方
2 正確で分かりやすい文章
3 文体
4 構成
5 字下げ(インデント)
6 文書全体の分量
第3章 文
1 外国語であると考えることについて
2 公用文考え方が掲げる留意点
3 一文を短く?
4 箇条書
5 主語を明示し、それに述語を対応させる
6 どこまで係るのかを明らかにする
7 単語の切れ目を明瞭にする
8 前後・上下・左右などを不用意に入れ替えない
9 読点の打ち方
第4章 用語
1 造語について
2 専門用語
3 外来語
4 紛らわしい言葉に留意する
5 用語に関するその他の留意事項
6 知っておくと便利な法律用語
第5章 表記
1 漢字の使い方
2 送り仮名の付け方
3 外来語の表記
4 数字の表記
5 符号の使い方
6 表記に関するその他の原則
おわりに
1 条文の読み方や扱い方に関すること
2 公用文に関すること
3 私個人の心掛けに関すること -
公文書に限らず、契約書や取り決めなど、読みやすく、誤解がなく書く/読むための基本的なルールと考え方。バックオフィス系スタッフや上級営業職に読ませたい。
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(法律文章に限らずに)読み書きの勉強になりました
繰り返して読んで定着させたいです
読み物としても、とても面白いです
たとえば、「○○主体」は、えっそうなの!となりました
著者プロフィール
白石忠志の作品





