社会調査でみる災害復興: 帰島後4年間の調査が語る三宅帰島民の現実 (シリーズ災害と社会 8)

制作 : 田中 淳  サーベイリサーチセンター 
  • 弘文堂
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  • Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784335501081

作品紹介・あらすじ

災害復興とは、どのようなものか?4年間の現地調査をもとに、三宅島噴火災害の復興過程や、被災者の意識と生活実態の変遷を時系列で克明に描き出す。調査技法を駆使した、社会調査の注目すべき実践の書。

感想・レビュー・書評

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  • 【メモ】
    長期避難生活での課題
    ・情報不足に翻弄
    ・当該避難生活の不安と子どもたちのストレス
    ・島内コミュニティの崩壊
    ・先の見えない不安と「世帯分散帰島」
    ・行政支援
    ・リスクコミュニケーション(噴火を恐れながらの生活というリスク)
    ・復旧すれども復興せず(個々が経済的に復興することが大切)

    帰島後の日常生活
    ・ボランティアに感謝
    ・インフラ整備は進む
    ・来島者の案内で多忙
    ・島の環境変化と復旧
    ・職人不足・資材不足(3ヶ月)
    ・島内避難の日常化(4ヶ月)
    ・少子高齢過疎化の典型(1年)
    ・都の災害支援金で個人的な自宅などの復旧も
    ・若者は戻らない
    ・少子高齢化加速(2年)
    ・ガスに強いススキ・イタドリ・シノダケ・ヒサカキ・ハンノキ・ユノミネシダなどが繁殖
    ・自己責任の暮らしへ(3年)

    高齢者世代ほど故郷に愛着

    今後の復興対策に向けて
    ・避難生活支援策の制度化 / 被災産業支援策の制度化 / 復興基金の制度化
    具体的に…
    個人災害救済 / 住宅再建支援 / 補修 / 集落再建 / 人間復興(衣食住習)

  •  三宅島の事例調査に絞っていることにより、現実味が増し、立体的に捉えることができるようになりました。
     商工業への支援と産業振興においては、
      再開率,回復率で考えないといけないことがわかりました。
     他の事例も、これくらい詳しく調べるとよいのだと理解しました。
     当事者自身による整理が大事だということも分かりました。

  • 2002年に起きた三宅島の大噴火、これにより島民は全島避難を余儀なくされました。
    そもそも三宅島の人々はどういった年代・職業で構成され、その後の避難所生活ではどういった暮らしをしていたのか、また帰島後はどう生活が変化したのか、といったテーマに対し数年に渡って調査を行い、島民の声も含めて、まとめた上で述べられています。

    災害学、という学問は日本ではまだあまり主流ではないかもしれませんが、いかにして復興を進めるのか、その研究・検討をするうえでこういった調査は不可欠でしょう。
    かなり多岐にわたって調査を行い、統計化されており、参考になる部分が多いです。

    また調査員の声も興味深く、ただの数字では表しきれない難しさもあるということが印象に残りました。

    2011年の東日本大震災でもこういった調査が行われるでしょうか。
    個人的には絶対に必要だと思いますが、広域すぎてまとめるのが困難にはなるでしょう。

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