みんな、どんなふうに働いて生きてゆくの?

著者 :
  • 弘文堂
4.10
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本棚登録 : 419
レビュー : 45
  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784335551420

作品紹介・あらすじ

全国から数百名の人々が奈良の図書館に集まって、"自分の仕事"について考え合った、3日間のフォーラムから生まれた本。そして、第1回のフォーラムに参加した後、各地の限界集落をヒッチハイクで訪ねて人々の仕事と暮らしに触れながら日本を一周した、友廣裕一さんという若者の約半年間の旅の話も収録。「みんな、どんなふうに働いて生きてゆくの?」。フォーラムの企画とインタビューは、働き方研究家の西村佳哲。

感想・レビュー・書評

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  • この本に出てくる人はみんな、働く、その次の段階の話をしている。
    俺みたいに働くことが精一杯の目標の人には遠いお話。スタートラインにすら着いていないもんね。

    と、これを居間で読んでいたら、父が、人の役に立っているってことが働いて生きていくことではないか、というようなことを言っていた。確かに。

  • ここにはさまざまな仕事をしている人が紹介されているけれど、重要なのは仕事の内容じゃなく、その人がなぜそれをしているか、そこに流れついたその人の歴史、その人を動かしているエネルギーの素、なのだと思う。それぞれの人の奥にある「振動」に触れることで、実感のこもった重みのあることばに触れることで、読んだ自分が突き動かされ、自分の生き方や今している仕事について深く考えるきっかけになるようだ。仕事とは肩書きや内容じゃなく、もっと大きななにかなのだ、と思わされる。心に、脳に、泣きたくなるような刺激をたくさん与えてくれる本だと思う。

  • 思索
    自己啓発

  • 働き方と生き方を模索する人たちの哲学と人生から
    何が見えるだろう

    結局残るものは
    自身が触れて 悩んでも向き合って
    そうして残ったものだけなのだ

    表面的な知識は簡単に剥がれ落ちていく
    それがいけないということではなくて

    最後まで残ったものしか
    結局は身にならないということ

    生き方という幹とは
    年輪のように生き様を表す鏡だ

    取り繕うことはできても
    偽ることはできない

    自分自身まで欺くことはできない

    結局は人は そうやって
    自身と向き合空いながら 進んでいる

    みんなきっと 同じだ


    だからこそ、この本での対話は意味がある
    それぞれが悩んだものが、共感できたり
    出来なかったり、分かったり、分からなかったりする
    そういうもろもろすべての、意味が分かる
    誰もがきっと、同じ場所を見ている
    自分自身が、生きていける場所を

    問いを持っているほど、この本は、投げ返してくれる。
    まるで対話だ

    読書と言う、対話。

  • コミュナース(自分的)課題図書シリーズ③
    つむぎや友廣裕一さんの「ムラアカリをゆく」と題したプロジェクトで旅した半年間のことが冒頭に書かれている。

    価値の象徴と考えられているお金が、逆に関係性を切ってしまう。これは、私もまさに鳥取に来て痛感していることで、お金が解決する方が楽だし、その方が簡単なのだけど、お金があってもそのシステムがないとどうにもならないのが田舎だったりする。未だに「助けて」を言うのが苦手な私は、敢えてお金ではなくいちいち人と関わらないといけない選択肢をとってつながりをつくっていった友廣さんを天晴だなと思ったし、だからこそ今のつむぎやがあるのかなと思った。

    お金があればとか、あれがあれば、という物理的条件ではなく、この世界で生きていく、と腹をくくることで、それが普通になる。ないことをあげたらキリがないから、ある中で一番良い方法を作っていければいい。「限界集落」よりも、なんでもあるはずの東京の方が、逆に中身がすかすかだったりすることもある。

    自分の感じている違和感を上手に言語化されていて、気持ちがよかった。

    ミシマ社の三島邦弘さん、べてるの家の向谷地生良さんのなどの生き様考え方も知れて、西村さんの本の中でもわりと好きな本。

  • 自分はどうやって生きたいか?
    何を大切にしているか?

  • 働き方研究家でありデザインの人でもある、リビングワールド西村佳哲さんが、様々な仕事をする9人のゲストに対して行ったインタビューの記録をまとめた本。

    読むと、それぞれがどんな仕事をしているのか、は本質的にはあんまり意味のないことなのかもしれないと思った。何に駆り立てられてそのような働きをするに至ったのか、それぞれの心の在りようを丁寧にかたちを探っていく、なんだか不思議なインタビュー本だなと思った。

    自由にのびのびと、自分の心が向く方向へただひたすら進んでいった結果でそういう仕事をするに至った方もいるし、中には必死すぎてヒリヒリする感じの方もいる。
    登場する9人に共通するのは、自分のパーソナリティの芯の部分と、自分の仕事の間に矛盾がないこと。そうあって然るべきだと思うけれど、現実にはそんな働き方をしている人が少ないからこそ、この人たちが特別に見えるのかもしれない。

    ちょっとモヤっとするので、すこし寝かせてまた読もうと思う。この本。

    あとがきでの西村さんの、9人へのインタビューを山の縦走に見立てる例えは美しいなぁと思った。
    ひとの話をきく、単にそれだけのことが、クリエイティブであり得るんだなぁというのは発見でした。

  • ●地域をつなぐ人・友廣裕一さんの旅の報告を聞く-旅を通じて次の仕事をつくる、という気持ちで

    p.19-
    ……富山の土集落というところに、橋本さんという夫妻が移住して暮らしています。集落といっても、もともと住んでいた人たちはみんな出て行ってしまって、彼らしかいないんですけど。米と鶏を中心に、ヤギを飼って、実の成る季節の違う果樹を一本ずつ植えて、自分たちがいかによく生きるかということを徹底して形にしていた。
    日々農産物を収穫しながら、「つくった米を盛る器も自分で作らないと」って、登り窯をこしらえて焼いてたり。最近は富山大学の研究室と一緒に山の水を活かした小水力発電の実験もしていて、電気自動車を走らせていたり。彼らを見ていると、限界どころか希望しか見えなかった。
    奥さんと話していた時、彼女にボソッと「東京こそが限界だと思うのよね」って言われて。言い返せないというか、ぐさっと刺さって。

    ●出版人/ミシマ社代表・三島邦弘さんを自由が丘の一軒家のオフィスに訪ねる-「こんなもんで」と思ったら、「こんなもん」でもいられないと思います

    ●建築家/Open A代表・馬場正尊さんの出し惜しみのない働きぶりについて-無駄に走ることを厭わない

    ●フェアトレード団体ネパリ・バザーロ代表・土屋春代さんはなんのために国際協力の仕事をしているのか-ともに生きてゆく方法を探して

    p.101-
    ……もうここで思う通りに生きなかったら、自分で自分を嫌いになってしまうと思って。……その時(ネパリ・バザーロを始めた時)40歳でしたから、これが最後のチャンスだと。……
    結局、彼(夫)とは籍を外して。私は一時期、家族と離れて独りで暮らして。でも彼は会社を辞めて、一緒にこの仕事をしてきてくれて。仲はとてもいいし。今は一緒に暮らしています。でも最初の頃は、私が家庭を壊したって言っていて。実際、私は家族全員に被害を与えてきたんです。
    最初は自宅が事務所を兼ねていて、倉庫を借りるお金もないし、ネパールから届いたものが、階段や寝室や家中に溢れて。届いたばかりのものは梱包が汚くて、きれい好きだった娘たちも部屋の掃除をしなくなった。しても無駄な感じになってしまって。次第に家族がバラバラになって。母もそのストレスからかアルツハイマーになってしまって。それでも、始めた責任があるから私は辞められなくて。
    家族は私のことを、愛しつつ憎む…って変な言い方ですけど、たとえば私が「ちょっと大変で」とかポロっと言うと、「聞きたくない。ママ、愚痴は言わないでね。好きでやってるんでしょ。自分で選んだんでしょ」って娘に言われて。

    ●ソーシャルワーカー/浦河べてるの家理事・向谷地生良さんはなにを大切にして働いてきた?-生きるエネルギーを仕事からもらわない

    p.121
    ……精神障害という病気は、上ってゆく人生に立ち戻ろうとしても再発という形で抵抗するんですね。そして病院に行くと今度は保護と投薬で、人としてあたり前の苦労を奪われる。
    その人たちと一緒に、失った苦労の醍醐味を取り戻したいと思ったわけです。それで、事業を始めた。

    p.122
    ……面白いんですよ。べてるの人たちは、嘘をついたり人を恨んだり憎むと、すぐに調子が悪くなるんです。だから働く前に仲直りをしたり正直にならないと、仕事がつづけられない。
    そういう人たちと一緒に働いていると、仕事が本当の仕事になるんです。仕事って本来、人を安心させたり、みんなを幸せにするための作業ですよね。彼らのような人たちが職場にいることで、私たちはそういう働き方が出来ている。何か新しいことを始めたり事業をおこす時は、仕事から一番遠くて、一番弱い人が、その輪の仲にいることにこだわります。

    p.126
    ……私が大切にしていることの一つは、仕事に人生をかけないということです。……生きてゆく活力を、その仕事から頂かないということです。そこがちゃんとしてないと、特にソーシャルワーカーというか、私のようなやり方の仕事はつづかない。……大事なのは、その仕事自体からエネルギーをもらわないことなんです。決してプラスになるものばかりではなくて、マイナスのエネルギーも沢山あるから。
    ……(大学生のとき仕事で)救急病棟にいたので、大きな事故があると本当に沢山の人がひっきりなしに救急車で運び込まれてきます。……その修羅場が一段落したところで、今日一日よくやったよな、頑張った。という感じで控え室でタバコを一服するんです。……ロビーでは家族を亡くした人たちがすすり泣いていても。私たちにはやり遂げた充実感があるんです。
    この充実感や達成感をいただくのは、ちょっと控えておこうと。生じてしまいやすいものだけど、丁重に辞退するというか。そこで自分の仕事にやり甲斐や面白味を持ってしまうと、何か大事なものが失われる気がする。
    そういう仕事からおこぼれを頂いて、自分の張り合いや生き甲斐にすることについて、ものすごく厳粛な気持になるんです。自分は自分で、自立的に「生きる」エネルギーを確保しないと…って。

    ●CAFE MILLETオーナー・隅岡樹里さんを京都・静原の自宅カフェに訪ねる-じぶんの色や形をみつける

    ●編集者/編集集団140B総監督・江弘毅さんが地域情報紙や祭りを通じて考えてきたことは?-人格的な接触が大切だと思うんです

    p.170
    僕は情報誌の編集をやりながら、同時にこういう「だんじり」をやってきました。寅さんもそうだけど、そういう世界の中では、「哀しい」と「楽しい」がはっきり分かれていない。いっぺんに来る。価値軸が二項対立的でないから面白いんですね。

    p.175
    ……高度情報化社会っていうのは、情報にする技術が発達した社会のことじゃない。容易に記号化したり、数値化できるものばかりを集めた社会のことだと思う。……

    ●ファシリテーター/マザーアース・エデュケーション代表・松木正さんのお話をフォーラムでみんなと聴いて-誰かとともにちゃんと「いる」ことで、自己肯定感もあがると思う

    ●料理人/くずし割烹枝魯枝魯店主・枝國栄一さんにとって料理の仕事とは-生きることは、死なないようにすることです

    p.228-
    ……底辺の生活を、高校出てからは送っていて。「このままだったら生きててもしゃあないな」と思ってた。死んだほうが楽になるんちゃうかな」って常に考えてて、死に方とか、そういう方法の本買ってたり。昼はギャンブルで、夜は友だちと遊びながら明るく喧嘩したり女の子ひっかけたり、そんなことばっかりしてて、一人になった時には、どうやって死のうとか、そんなことばっかり考えてる。鬱的な、社会の枠からはみ出た人間です。
    バイト先でまかないのご飯を食べながら、「どうなんのやろ、俺の人生」っていつも思って。ただ、もしもう一回チャンスがあったら、次は努力し続けようってずっと決めてた。その一回があったんですよ。

    p.233
    ……(仕事は、自分が他人に必要とされてることを感じるための)手段です。手段であって、それは生き甲斐ではないです。僕の場合それがなかったら死ぬんです。必要とされることがなかったら。

  • 人に使われずに、自分の気持ちに正直に、やりたいことをやるっていいなーと思った。
    多少理不尽なことがあっても、すぐに結果がでなくても、頑張れるのは『自分で決めて始めたことだから』という覚悟があるからではないか。
    自分にはこの仕事しか出来ないから…資格もないし…資金もないし、という働き方しか出来ない人々とは根底から違うなあ、と思いながら読んだ。

    2014/06/25

  • これはとりあえず、図書館で借りて少し読む。この著者の本は読み始めると、興味深くて読むのをやめられなくなる。まだ少ししか読めていないけれど、本書もとても味わい深いと感じている。

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著者プロフィール

1964年、東京生まれ。武蔵野美術大学卒。建築設計の分野を経て、つくること・書くこと・教えることなど、大きく3種類の仕事に携わる。デザインオフィス、リビングワールド代表。多摩美術大学、京都工芸繊維大学非常勤講師。働き方研究家としての著書に『自分の仕事をつくる』(晶文社/ちくま文庫)、『自分をいかして生きる』(ちくま文庫)、『自分の仕事を考える3日間 Ⅰ』『みんな、どんなふうに働いて生きてゆくの?』(以上、弘文堂)、『かか
わり方のまなび方』(筑摩書房)など。

「2011年 『いま、地方で生きるということ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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