文化人類学文献事典

  • 弘文堂 (2004年12月2日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (1029ページ) / ISBN・EAN: 9784335561016

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  • 種類:主題文献案内
    所蔵:南山大学に所蔵あり。

    文化人類学の必読書1800点を、446人が論じている。

  • 編者:小松和彦・田中雅一・谷泰・原毅彦・渡辺公三
    判型・頁数 A5 上製 1072頁 
    定価 本体20,000円+税
    発行日 2004年12月刊
    ISBN 978-4-335-56101-6
    Cコード 1539

    【目次】
     序(2004年秋 編集委員)  [i-ii]
     編集方針  [iii-vi]
     目次    [vii-xxxv]
     執筆者・協力者 [xxxvi-xxxviii]
     使用の手引 [xxxix-xl]

    本文
     第1部 人類学を知るための基本文献 0001
     第2部 異文化を知るための基本文献 0291
     第3部 争点 0715

    文化人類学文献表 0859

    索引 0927
     和文書名・論文名索引 [0929-0944]
     外国語書名・論文名索引 [0945-0956]
     和文主題・事項索引 [0957-0994]
     外国語主題・事項索引 [0995-0998]
     和文人名索引 [0999-1012]
     外国語人名索引 [1013-1021]
     和文民族・語族・エスニックグループ名索引 [1022-1026]
     外国語民族・語族・エスニックグループ名索引 [1027-1029]



    【メモとしての抜き書き】
     「第3部 争点」から、「本質主義と構築主義」という項目を。

    ――――――――
     「本質主義 essentialism」はつぎのような形而上学的な考えを指すために使われる言葉だった。あらゆる物事にはそれをそれとして成り立たせている、事物に内在する属性や構造、すなわち「本質 essence」があり、事物はこの本質にもとづいて類や種に分類される。1970年以降、ポストコロニアリズム、フェミニズム、人類学、カルチュラル・スタディーズでは本質主義という言葉が批判的な意味を込めて使われるようになるが、これは上のような形而上学的な本質主義を隠喩的に拡張した言葉の使用法と言える。
     人類学における本質主義批判は直接的にはサイードの『オリエンタリズム』の影響のもとに展開された。だが、そのなかでサイードが引用するアブデル=マレクの1963年の論文では、すでに明確なかたちで本質主義批判が展開されている。すなわち、オリエンタリズムは、(1)非西洋の人間集団にはそれを成り立たせている不変の本質があることを前提としており、そのために、(2)オリエントの住民は歴史の主体たる西洋人と対比され、自身では歴史的変化をもたらすことのできない存在とみなされること、などが批判されている。
     人類学における本質主義批判はアブデル=マレク/サイードの議論と基本的には変わらない。しかし、人類学では文化の概念が問題となる。人類学では特定の人間集団のなかで何らかの事象の説明や理解が、その集団をそれとして成立させている本質としての文化に言及することによっておこなわれてきたからである。
     フェミニズムの場合とは異なり、人類学では本質主義に批判的な立場の総称として「構築主義 constructionism」という言葉が広く流通しているとはいえない。だが、以下では歴史研究にもとづいて本質主義批判を展開してきたトーマスに代表される立場を構築主義と呼ぶことにしよう[Thomas 1991, Linnekin 1991]。
     1980年代末以降、構築主義はおもに歴史研究にもとづいて本質主義批判を展開してきた。文化の史的変化を明らかにすることで、本質としての文化を措定する論拠を攻撃できるからである。だが、構築主義はオリエンタリストの本質主義だけでなく「伝統文化」なるものに依拠して自己主張を展開する先住民運動にも攻撃を加えることになる。構築主義者は「伝統文化」が過去から連綿と受け継がれてきたものではなく、近年の「インヴェンション=捏造 invention」であることを指摘するからである。その結果、構築主義者は理解すべき対象であるはずの調査地の人々から猛烈な批判を浴びることになる[Trask 1991]。
     また構築主義が内包するもうひとつの問題は、それがオリエンタリズムの基底にある前提と無縁ではないことにある。構築主義者は非西欧の住民を歴史化する過程で、彼らが歴史を創造する主体であったかのように物語る。だが、これは上の(2)の内部で歴史を作り出せない非西欧人を歴史の主体へと鏡像反転させたイメージにすぎない。オリエンタリズムは、形而上学的な本質主義をオリエントに適用する一方で、西欧人には近代西欧思想の主流をなす――社会・文化事象を歴史のなかで意識的に作り出されたものとみなす――「設計主義=構成主義 constructivism」適用してきた。したがって、人類学における構築主義は思想史的には設計主義=構成主義のなかに包摂されるのである。
     いずれにせよ、本質主義と構築主義との関係を考えることは現代人類学の重要な課題のひとつになっている[小田 1999、杉島編 2001]。
    ――――――――
      (杉島敬志[2004:842-843])

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著者プロフィール

国際日本文化研究センター教授、同副所長

「2011年 『【対話】異形 生命の教養学Ⅶ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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