無意識の発見 下 力動精神医学発達史

  • 弘文堂 (1980年1月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (648ページ) / ISBN・EAN: 9784335650277

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  • 「こころはどこから来て、どこにいくのか」という別の本のp49で河合俊雄さんが、「こころのオープンシステムとクローズドシステム」という題目でエレンべガーに関して、こんなことを述べています。

    『個人という考え方ができて初めて心理療法が成立し、外にあったこころは個人の中に位置づけられることになります。それが無意識という考え方の誕生の前提条件です。
    1900年にフロイトの「夢判断』が書かれましたが、19世紀後半に、さまざまな学問分野で「無意識」という概念が使われます。生理学、生物学、色々な分野で、「こんな分野で無意識という言葉を使っていいのか」と驚くぐらいに使われているのです。 悪霊や精霊などの形で外にあったものが個人のこころの内に位置づけられるにともない、「無意識」という概念が重要になってきたのだと考えられます。同じようにして、現代において当時の「無意識」に代わるような万能的なキーワードが何かと考えてみると、それは「脳」ではないでしょうか。 』

    これでいくと、
    「無意識の発見」ではなく「脳の発見」という感じの本を、今度は読んでいかないといけないんでしょうね。
    私は、河合隼雄さんの推薦する本なので、「無意識の発見 上・下」を読みましたが、この本は純粋な「教養本」としては良書でも、一般の人、生活や仕事での実践的な「教養本」としては失格だと思う。西洋史に興味のない日本人には特に。

    もし、エレンベルガーが2007年までの力動精神医学発達史を書いたなら、河合隼雄さんをどう描いていたか?その思想の背景として日本の風土をどう描いただろうか?
    そんな本が、そろそろ、日本人の手で出版されてもいい時期に来ていると思う。

  • 社会経済的・政治的背景、文化思潮、開拓者の人柄、患者の果たした役割、種々の事件の出態、などなどを丁寧に網羅して19世紀から20世紀にかけての力動精神医学の歴史をたどった大著。
    「心理療法」とはそもそも何であったか? わたしたちはそれを忘れないために常に歴史を横に置く。
    力動的の対概念は、遺伝的・器質的であり、後に台頭する行動主義である。この間のせめぎあいは今に至ってホットなトピックであるし、今後もあり続けるだろう。そうでなければまずいのだ。なぜなら、これはとりもなおさず、いまを生きるあるひとりの人間洞察のアナロジーであるからだ。大切なのは一方ではない。両方だ。

  • 図書館所蔵【493.7EL】

  • フロイト/アドラー/ユング

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著者プロフィール

中井久夫(なかい・ひさお)
1934年奈良県生まれ。2022年逝去。京都大学法学部から医学部に編入後卒業。神戸大学名誉教授。甲南大学名誉教授。公益財団法人ひょうご震災記念21世紀研究機構顧問。著書に『分裂病と人類』(東京大学出版会、1982)、『中井久夫著作集----精神医学の経験』(岩崎学術出版社、1984-1992)、『中井久夫コレクション』(筑摩書房、2009-2013)、『アリアドネからの糸』(みすず書房、1997)、『樹をみつめて』(みすず書房、2006)、『「昭和」を送る』(みすず書房、2013)など。訳詩集に『現代ギリシャ詩選』(みすず書房、1985)、『ヴァレリー、若きバルク/魅惑』(みすず書房、1995)、『いじめのある世界に生きる君たちへ』(中央公論新社、2016)、『中井久夫集 全11巻』(みすず書房、2017-19)

「2022年 『戦争と平和 ある観察』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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