アポロンの眼 (バベルの図書館 1)

  • 国書刊行会
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (198ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784336025562

感想・レビュー・書評

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  • イタリアで発刊された「バベルの図書館」シリーズ。図書館の館長は、もちろんボルヘスです。こんな素敵な本があったとは今まで知らず、ブクログの皆さんの本棚をふらりと眺めているうちに発見しました。とても嬉しくて感謝感激です!

    まずもって、この本は装丁が素晴らしい。まるで美術本のようです。またボルヘスの序文も、付属の月報も良いですね~。なんとかしてそろえてみたい! でもでも……ちょっとお金が続きそうにない……ので、あまり読んだことのない作家を中心にちょっとずつそろえてみようかな~。

    さて、本作にはボルヘス館長の序文のほか、チェスタトンのほどよい短編が5作品掲載されています。

    ①序文 ②三人の黙示録の騎士 ③奇妙な足音 ④イズレイル・ガウの名誉 ⑤アポロンの眼 ⑥イルシュ博士の決闘

    イギリスの作家チェスタトン(1874年~1936年)は、『木曜日だった男』(長編)で知っていたのですが(その上手い表題にたがわず中身も美味い♪)、短編は読んだことがありませんでした。推理小説が好きなボルヘスが敬愛する作家のようで、彼が選りすぐった作品だけに、どれも一筋縄ではいきませんねぇ(笑)。

    とりわけ私が気に入ったのは、「三人の黙示録の騎士」。古典的で、月光に照らされた銀色のもやがかったような風合いがなんとも渋く、しかも動きがあってスリリングで面白い。
    「イルシュ博士の決闘」も小気味よい展開です。なにせどの作品も目に映るような描写が素晴らしい。

    チェスタトンの推理小説は、おもに「ブラウン神父」がシャーロック・ホームズやエルキュール・ポアロ役をつとめているのですが、推理小説とはいっても、古典的なコナン・ドイルやアガサ・クリスティ作品とはだいぶ趣が違います。
    あえていえば、もっと形而上的で人の心理や精神に肉薄するような詩的な展開が多いかな~。どれも絵画的で幻想的な雰囲気が漂っています。なるほど、迷宮に住まうボルヘスが好むのもわかるような気がします♪

    • アテナイエさん
      淳水堂さん、レビューをお読みいただき、コメントもありがとうございます♪

      まさに淳水堂さんの書架を拝見していて、この「バベルの図書館」シ...
      淳水堂さん、レビューをお読みいただき、コメントもありがとうございます♪

      まさに淳水堂さんの書架を拝見していて、この「バベルの図書館」シリーズを知ることができました~ありがとうございます! 装丁が幻想的で美しいですね!
       
      ちなみに、バベルの図書館シリーズの中で、どの作家の本がお薦めですか? いくつか教えていただけると嬉しいです。

      ところで、淳水堂さんのアイコンのミミズク? フクロウかしら? ふわふわして可愛いくて、じっと眺めていると魅入られちゃいますね(^^♪
      2017/05/17
    • 淳水堂さん
      たびたびお邪魔します(^O^)

      アイコンは眠たい顔のフクロウさんです。
      最近フクロウカフェとかできてますが、フクロウかっこいい&かわ...
      たびたびお邪魔します(^O^)

      アイコンは眠たい顔のフクロウさんです。
      最近フクロウカフェとかできてますが、フクロウかっこいい&かわいいですよね^^)

      さて、バベルの図書館シリーズで、お勧め兼他であまり見ない作家は
      パピーニ「逃げてゆく鏡」
      レオン・ブロワ「薄気味悪い話」とかからどうでしょう。

      なお、全く理解できず途中で降参したのはヒントン「科学的ロマンス集」です…(ーーメ)
      図就きで「第四次元とは…」とか解説しつつロマンス??なのかな??全く解からんorz

      オスカー・ワイルドや、キプリングは、ちゃんと読んだのはこれで初めてでしたがかなり良かったです。
      子供向けに改変されているものより元のほうがずっといいですね。

      なお、ヴァテックは、澁澤龍彦が「異端の肖像」で人物紹介しています。
      こちらも併せて読むと面白いかもしれません。

      まずはこちらで(^O^)/
      2017/05/19
    • アテナイエさん
      淳水堂さん、コメント&アドバイスありがとうございます!

      私もパピーニ「逃げてゆく鏡」は興味があってチェックしていました。タイトルがふる...
      淳水堂さん、コメント&アドバイスありがとうございます!

      私もパピーニ「逃げてゆく鏡」は興味があってチェックしていました。タイトルがふるってますものね。レオン・ブロワ「薄気味悪い話」も是非リストに追加します♪ 

      うちの街の図書館にも全部ではないですが、いくつか存在しているようなので、取り寄せて愉しんでみようと思います。ということで、先日、安全パイの(?)キプリングを試してみたのですが、あまりにも大人テイストで面喰ってしまいました~。やはり一筋縄ではいかない図書館長ですね。とても参考になるアドバイスをいただき、ありがとうございます!

      ところで、ふくろう君ですが、ここ最近は人気のようですね。少々眠たげなところが可愛くて癒し系なのかも。でもぼんやり顔にみえて、じつは知の女神アテナを象徴し、彼女が愛した鳥のようですよ~カッコいい(^o^)
      2017/05/19
  • ボルヘス監修、バベルの図書館シリーズ。イタリアで刊行された青を貴重とした縦長の装丁で出版されています。
    こちらはチェスタトンによる逆説ミステリーが4篇収録。

    序文でボルヘスは<文学は幸福という物の数ある多様な形態のうちの一つである。たぶんいかなる作家も、チェスタトンほど私に多くの幸福な時をあてがってくれはしなかった。P13>と語る。
    うんうん、文学は幸福。読むだけでも幸福。そして私もボルヘスを読むのは幸福の時間。ほとんど理解できませんけどでも幸せ。

    そしてボルヘスもいくつかミステリー風の短編を書いていますね。チェスタトンっぽい感じはする。


     「処刑延期令状をもった伝令が途中で死んでしまって、結局のところ、囚人が釈放されたというわけなのだよ」「部下があまりにも忠実に命令に従いすぎたので、司令は結構さなかったのです」
    ( ´・д・)ン?となるような逆説ミステリーの始まり。 /『三人の黙示録の騎士』

     ブラウン神父物。晩餐会で行われた窃盗事件。客もボーイも怪しい人物を見ていない。だがブラウン神父は、足音だけで、その犯罪を言い当てたのだ。/『奇妙な足音』

     ブラウン神父と、元盗賊で現在では神父の相棒でもある私立探偵フランボウとのコンビ物。フランボウはいいですね。
     田舎の貴族の老人が死んだのだが、どうも屋敷の様子がおかしい。神父とフランボウは、老召使いイズレイル・ガウの様子を見ていると…。/『イズレイル・ガウの名誉』

     フランボウの探偵事務所を訪ねたブラウン神父。上の階は「太陽を見よう」という新興宗教家のオフィス、下の階にはタイピスト姉妹がいる。関係者にアリバイがある状態で人が死んだ。神父はそれを「被害者が一人っきりでいるところで行われた殺人」という。/『アポロンの眼』

     全く正反対だからこそ、全く同じものだった、というお話。
    たまにありますねこのテーマのお話。/『イルシュ博士の決闘』

  • 英国作家チェスタトン。逆説と警句のミステリー。
    ポンド氏「三人の黙示録の騎士」
     将軍の詩人暗殺計画。逆説的。
    ブラウン神父
    ・奇妙な足音・ガウの名誉
    ・アポロンの眼・イルシュ博士の決闘

  • 初めてブラウン神父を読みました。
    どの話も結構面白くて読みやすかったです。短編なのに中々じっくり読める。

  • 全30冊 揃  第1冊

    イタリア、フランス、ドイツ、スペインで刊行された国際的出版物の日本語版。現代文学の巨匠J.L.ボルヘスが編集、各巻にみずから序文を付した、夢と驚異と幻想の全く新しい「世界文学全集」。ポー、カフカ、ドストエフスキーからアラビアン・ナイト、聊斎志異まで、文学のすべてがこの30冊のなかに! イタリア・オリジナルの装幀。

    リスト

     1 G・K・チェスタートン『アポロンの眼』
     2 サキ『無口になったアン夫人』
     3 ナサニエル・ホーソーン『人面の大岩』
     4 フランツ・カフカ『禿鷹』
     5 ジャック・ロンドン『死の同心円』
     6 オスカー・ワイルド『アーサー・サヴィル卿の犯罪』
     7 ヴォルテール『ミクロメガス』
     8 H・G・ウェルズ『白壁の緑の扉』【Amazon】
     9 ハーマン・メルヴィル『代書人バートルビー』
    10 ホルヘ・ルイス・ボルヘス編『聊斎志異』
    11 エドガー・アラン・ポオ『盗まれた手紙』
    12 グスタフ・マイリンク『ナペルス枢機卿』【
    13 レオン・ブロワ『薄気味わるい話』
    14 ヘンリー・ジェイムズ『友だちの友だち』
    15 『千夜一夜物語 バートン版』
    16 ホルヘ・ルイス・ボルヘス編『ロシア短篇集』
    17 ロバート・ルイス・スティーヴンスン『声たちの島』
    18 レオポルド・ルゴーネス『塩の像』
    19 ジャック・カゾット『悪魔の恋』
    20 ホルヘ・ルイス・ボルヘス編『アルゼンチン短篇集』
    21 アーサー・マッケン『輝く金字塔』
    22 ホルヘ・ルイス・ボルヘス『パラケルススの薔薇』
    23 ウィリアム・ベックフォード『ヴァテック』
    24 『千夜一夜物語 ガラン版』【
    25 C・H・ヒルトン『科学的ロマンス集』
    26 ロード・ダンセイニ『ヤン川の舟唄』
    27 ラドヤード・キップリング『祈願の御堂』【
    28 ペドロ・アントニオ・デ・アラルコン『死神の友達』
    29 ヴィリエ・ド・リラダン『最後の宴の客』
    30 ジョヴァンニ・パピーニ『逃げてゆく鏡』

  • なかなか難しい。
    短編なんだけど、序盤のストーリーが後半にあまり関係なかったり、言い回しも難しく、そして最後にはオチがある。
    決して面白い本ではないけど、好きな人は好きだろうね。私も嫌いじゃない。

    TK大の卒制でトップだった人が、この本をモチーフに建築を作っていて、面白いなと思ったのが読んだきっかけ。
    建築そのものと、この本がリンクするまで読み込めていないけど、想像の世界から建築が生まれるのは面白い。案自体もぶっとんでいて、図書館建築好きな私には印象的でした。

  • ブラウン神父を書いた、チェスタトンの「アポロンの目」。いつかゆっくり読もうと思ってとってあります。

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