- 本 ・本 (103ページ)
- / ISBN・EAN: 9784336025647
感想・レビュー・書評
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入り込むのが難儀な冒頭から始まり、やがて作者の意図が見えずじれったくなるストーリー展開。
バートルビーは陰で何かをたくらんでるかと憶測すればそうではない。その結末は目の前真っ白。
この小説の感想は不謹慎に訳知り顔で語るのはダメでしょ、と。傑作だと思った。
この類の人間の深層心理、深い闇のような、でも誰にも確かなことはわからない小説はアメリカ人ならではだと思う。アメリカの小説はヨーロッパにはなく、日本とも違う。だからこの小説の舞台は圧倒的にニューヨークでなければならないと思う。
しかも19世紀の小説には思えない新しさ。
語り手である雇い主は最後にはバートルビーへ好意を持ったのかも。わたしにわかったのは死は誰の上にも平等に訪れるということかな。詳細をみるコメント1件をすべて表示-
minikokoさんくろねこ・ぷぅさんのレビューを読んで、読んでみたくなりました。くろねこ・ぷぅさんのレビューを読んで、読んでみたくなりました。2015/12/02
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★★★
「しないですむと有難いのですが」
法律事務所に雇われた代書人が、人生と隔たりを感じ、自分に閉じこもり壁を作り、世間への完全な無関心の中死ぬまでの話。
「ああ、人間とは」
★★★
バートルビーのあまりに深く、そして理由のない絶望と無関心が衝撃で、いったいこの作者はどのような精神をもってこの人物像を書けたのだろうと思う。 -
代書人バートルビー面白かったです。
頑として部屋から出て行かないバートルビー。彼がしているコトはおかしいのに、最後は彼がとても可哀想な人に思えてくるなら不思議。 -
物語とは比喩の世界であるというような言説はおそらく在って、というのもなんかでそのように読んだ気もするし私も基本的には同意で、それはテーマやキャラクターやセリフに貌を変えてあらわれるのだろう。それが正体こそ嘘っぱちでしかないはずのフィクションの意義という側面がある。
小説の読書という行為の成果のひとつにはその、作者がこめた(のかどうかは実はどうでもいいことのような気もするけど)比喩を読者が読み取る•感じ入ることがあると思う。
この本にも、大きく"バートルビー"という人物としてなにかの比喩は表れているんだろうし、おそらく多くの読者がバートルビーが体現している比喩とは何なのかみたいなことを読みながら考えたり読み終えてから考えたりするだろう。
しかしながら私が「もしかして…?」と、見当違いの内省を多く孕みながら考えるのは、バートルビーも、この小説そのものも、なんの比喩でもないということだ。それは言い換えればフィクションへの皮肉であり、それでもメタフィクションにならずつまりはあくまでもフィクションという形態の中で物語という構造のひとつの側面を完全に拒絶するということでもある。捏造されたドキュメントとか光景の描写を、本来とは異なる意味で恣意的に書かれているのではないか。そういう可能性が、なくもない。なくもないというのが不気味なのである。つまり知ってかしらずか小説が「現実」に接近しているということで、それはややもすると「現実の比喩」と言い換えられなくもない。ああ袋小路だ。こんなこと考えずにすめばありがたいのですが……。 -
せずにすめばありがたいのですが。
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文学
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第9冊/全30冊
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2009/10/30購入
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メルヴィルの「バートルビー」とホーソーンの「ウェイクフィールド」は、ボルヘスによって私は読むことができたのだが、すでに19世紀に、このような小説が書かれていたことに、驚いた。2005年現在、ある意味カフカよりもアクチュアルである。
ボルヘス,J.L.(ホルヘ・ルイス)の作品





