死神の友達 (バベルの図書館 28)

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  • Amazon.co.jp ・本 (182ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784336030481

感想・レビュー・書評

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  • ボルヘスが編纂した「バベルの図書館シリーズ」スペインの作家アラルコン。


    『死神の友達』
    すべてを失った青年ヒル・ヒルの前に現れた男。「ーやあ、友達」
    それは死神だった。

    死神からの申し出であらゆるものを手に入れた青年だけど、実は…という、救いのお話。
    終盤で、死神が青年にこの世を見せる。人骨で作った車は宙に浮かび地球を一周する。日没と夜明けを同時に見て、恋人たちの逢引を見て、大規模な戦闘を見る。人々は全く違う価値観で生きていて、それでも愛への愛は消えない。
    そして最後の最後で末法思想というか魂の救い復活というかSFチックに。宗教の復活の日、最後の日という思想はキリスト教や仏教も根本は似てるのかなと思ったり、その思想はSFらしくもあるんだなとおもった。

    <-それじゃあ死のう-と彼はその時独り言を言った。
    そうして容器を口に持って行った。
    ……………
    すると雹のように冷たい手が彼の両肩に置かれ、甘く、優しい、神々しい声が頭の上でこういう言葉をつぶやいた。
    -やあ、友達!>

    『背の高い女』
    大切な人の死を知らせる、不気味な背の高い老婆。
    友達の葬儀で、彼につきまとっていたその女を見掛けた語り手。ホラー。

  • 作者アラルコンは、スペインの小説家。絶望し硫酸を飲んで死のうとしているヒル・ヒルに、死神が「やあ、友達!」と話しかける。もう1話、背の高い女は怪談。

  • 水木しげるの貸本屋時代の漫画みたいな、ダークで突拍子もない怪談二篇。どちらの話も、水木しげるの描く冷や汗をかきながら仰天している貧乏サラリーマンの顔が頭に浮かぶ。

    「死神の友達」は、大鎌を肩にかけてニヤニヤしているだけじゃない、死神という人でない存在を上手に肉付けしていて面白かった。主人公も「我慢ならないやつ」という設定の割にずいぶん一途だったから、最後は「よかったね!」という気持ちに。

    「背の高い女」は白水社の『スペイン幻想小説傑作集』で既読。「振り向いたらすぐ後ろにいる」って時代を超えて怖いですね。

  • 1833生まれ。当時本は貴重品で修道院の書庫にあったのね。そんな中、日刊紙!を10代で発行。今みたいにテケトウにブログ更新という訳ではあんめえ。この作品は山羊飼いの口から直接聞いた民間伝承らしい。二編ある。雄大なゴシックホラーなんだろうか。結局あれかね、神を信じて頑張って天国に行かないとダメだこってさ、という話なのかなあ。死神がしつこく「私を敬え」っていうんだけど、どうすればよいのよ。伝承されるには訳があると思うが、その辺りがよくわからんかった。この人は作品よりも人物的に伝説の人らしい。ボルヘス序文より。

  • 第28冊/全30冊

  • ヒルヒル少年がエリーヌタソハァハァな話。最後死神にのって世界一周する様はDQ3のエンディングを彷彿とさせる。ハッピーエンドなんかな。ようわからんけど。

  •  裕福な人間に養子として迎えられた主人公。しかし義父が亡くなり、主人公を疎んじていた義母は主人公を追い出してしまう。愛する女性すら引っ越しを余儀なくされ、離れ離れにされてしまう。
     それに絶望した主人公は硫酸を飲み下し死を選ぼうとするが、死神にそれをとめられる。そして死神からそれまでの哀しみをどうにかできるよう助言を賜る――僕は君の友人だから、と。
     そして、女性にも再会することができ、義母から今迄の無礼を謝られ、ある真相も明らかになり、無事女性と愛し合うことができるようになる。
     しかし、実は、主人公は既に亡くなっていた。まだ愛する女性も亡くなっていた。主人公の哀れさを哀しんだ女性が神に進言し、少しの猶予を与えられたのである。今迄の、愛し合う迄の生活はすべてその猶予があったからこそなのだった。

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