ふくろうの眼 (文学の冒険)

制作 : Gerhard Kopf  園田 みどり 
  • 国書刊行会
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本棚登録 : 15
レビュー : 1
  • Amazon.co.jp ・本 (373ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784336030627

作品紹介・あらすじ

ここはドイツの片田舎トゥルゼルン。今夜も眠れぬ郵便配達夫がひとり。両眼を開けて生まれてから、どちらの眼も閉じたことがない。その不眠ゆえ彼の眼は、封を切らずに郵便の中身を見透す眼、となった。使者たるもの、通達の内容を知らねばならぬ。その信念のもと片端から手紙を読みまくり、あげく頭の中は風変わりな住人たちの秘密でいっぱい。よこしまな夜の視覚はますます冴えわたり、眠れぬままに紡ぎ出したる24の物語。狂暴きわまる運転で村中を震えあがらせた産婆への奇想天外な復讐譚。大学者フンボルトとともに世界中をかけめぐったオウムが語る見聞録。異国に囚われた男とオールドミスの悲しい恋の物語。迷宮入りした家畜商人殺害事件の意外な真相。機中で知りあった奇妙なアルゼンチン人が唱える、作家ボルヘス非在説。すべてを語り終えた配達夫は、さて-。万華鏡のように交錯するエピソードに史実を織り込み、饒舌にシニカルに語られる現代の千夜一夜物語。現代ドイツ文学の異才、本邦初紹介。

感想・レビュー・書評

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  • 舞台は野卑とまでいえそうな戦後ドイツの田舎町で、住民のドタバタストーリーに多様すぎる挿入話が奇妙にはさまってくる。中世の伝説やメルヘン、殺人事件や「ボルヘスは存在しない」と語るアルゼンチン人の語りなどなど。初めの100ページは何の話だかわからなくて戸惑った。

    ある挿入話は別の作家の小説の引用だったり(訳者の解説によると)、「小説の葬式」が執り行われたり、「読む」とは何かが気になる人、メタフィクション好きな人はいっそう楽しめそう。わたしはばらばらな小さな物語のなかで、好みの話をピックアップして味わった感じ。「おおこれは」とすいすい読んでいても、突然さっぱりわからない数ページが入ってきて混乱したり。

    終盤に、物語の初めのほうにぐいっと戻される箇所がある。「おわらないし繋がっている世界」が、悪い夢のようにつまっている本だなあと思った。

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