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本 ・本 (263ページ) / ISBN・EAN: 9784336032157
感想・レビュー・書評
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『秘密』
若い頃に読んで衝撃的だった一編。
目隠しをされ謎にまみれた女の元へ向かう背徳的な時間と、秘密を暴くときの危うさを孕んだ冒険心が刺激される心地と、暴かれた秘密のカラカラに乾いた呆気なさという移り変わりが美しい。これを超えてゾクゾクする小説は未だに出会っていない。
『人魚の嘆き』
タイトルと話の流れから人魚がとんでもない目にあってしまうのかとハラハラしたが、人魚の願いは無事叶えられ故郷に還される終わりは儚さと心地よさがあって良い展開だった。谷崎の作品は変態的で欲望の赴く先を描いているものの、登場人物が徹底的に破滅したりあまりに酷な仕打ちを受けるというのは少ないのかもしれない。
人魚の去り際は何となく山月記が思い出された。最後に貴公子自身も欧羅巴を恋しい懐かしいと表現するあたり、人魚という存在に地中海へと連れ出されるのは運命とか宿命とかの大きな流れだったのかなと感じた。
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