室生犀星 蜜のあはれ (日本幻想文学集成)

著者 : 室生犀星
制作 : 矢川 澄子 
  • 国書刊行会 (1995年4月1日発売)
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  • レビュー :16
  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784336032423

室生犀星 蜜のあはれ (日本幻想文学集成)の感想・レビュー・書評

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  • なんて艶のある題名だろう。
    小さく小さく作られたものが、濃密に煮詰められた甘さを持っていて、けれども味わえるのは、そこからわずかにしたたったひと雫だけ、というような、切なさもあるような、色っぽい題名。

    老齢の「おじさま」と、二十歳くらいの外見の「金魚」である「あたい」が、戯れるお話。
    全編通して、会話のみ。
    会話だから、金魚ちゃんはおじさまのお腹の上で遊んだり、くちづけたり、人間の姿になってお買い物に行ったり、しっぽに入った裂け目をおじさまのつばでちょっと治してもらったり、おじさまがあたいの姿を絵に描いてお金をもらったんだからそれはあたいのものよちょうだいよ、と、かなり我がままだったり。
    おじさまの過去の女である幽霊も、度々登場。
    しかし、幽霊は金魚ちゃんの前にだけ現れて、金魚ちゃんがおじさまに会わせようと画策しても、毎回うまくいかない。
    過去はもういらず、空想の若いかわいい女の子と戯れる、老境の自由。

    この金魚シリーズは設定がおもしろく、会話しかそもそもないのですらすらと読めたけれど、他はそこまで引かれるタイプでもなかった。

  • 室生犀星の小説・詩から、魚に関わるものを選び出したアンソロジー。その核になるのは、晩年に著された「蜜のあはれ」「火の魚」だが、編集が非常にうまくできているので、最初から最後まで順に通読することを勧めます。冒頭の「蜜のあはれ」の前半あたりでは、ただの変態小説かと思いきや、読み進めるにつれ、これはすごいかも、と思いはじめました。生と死、エロスとタナトス、生き物の業(ごう)。著者が描こうとしているものは一貫しています。

  • 金魚

  • 普段読みなれない文章だったので読みにくかったです。
    可愛いかったと言えばそうでした。金魚がしゃべるなんて素敵ですものね なんというかスイミングスクールの更衣室の臭いがしてきそうな本でした。

  • 「をぢさま」と呼んでくれる金魚、お掃除にお料理にお使いまで行ってくれる金魚、お腹でぴちぴちはねてくれる金魚、私もほしい。

  • 老小説家ををじさまと呼ぶ、3歳の金魚のあたい。
    この金魚がとても魅力的で引きつけられてしまった。
    時にはとても美しい若い女性に姿を変え、
    また時には金魚の姿のままでをじさまのおなかの上を
    ぴちゃぴちゃと這いまわる。
    そしてそのはすっぱな、でもとても女性らしい言葉遣い。
    をじさまでなくても、金魚は君だけで十分だと
    いいたくなるだろう。
    ただ可愛がられるだけの生き物は
    可愛がられ方をよく分かっている。

  • こんなにも日本語に惹きつけられた作品はなかった…と思わせられるほど、良かった…。おじさまと金魚…わすれられない。

  • 室井犀星って凄いひとだ。魚をよく見てるんだと思いました。生き物の描写がとても気にいりました

  • 矢川澄子 編。密のあはれ愛魚詩篇寂しき魚界凍えたる魚七つの魚寂しき魚魚になつた興義鮠の子三本の鉤魚鯉青き魚を釣る人火の魚老いたるえびのうた編纂を見ておわかりでしょう、これは矢川澄子による室生犀星「魚文学アンソロジー」。この本に附されている編者あとがきは、編者からの「森茉莉への手紙」です。1995年1月7日付けで、既に亡き茉莉さんに向かって、犀星について親しげに語りかけられています。私の中には、密かに「父の娘たち」(これは矢川澄子の著作の題名から)というジャンルがあって、それらの本を集めた場所の傍らに、室生犀星(数冊しか持っていないけれど)を配架しています。言ってみれば、私の集めた室生犀星は、「女ひとから見た犀星」ということになるのかもしれません。意図したわけではなかったのに、今見直すと、そういうことになっていました。

  • いれるの忘れてた。これはスペインで読んだのだった。サラマンカの日本語文化センターは驚くほどセンスのよい古典文学がたくさんあって、目移りした中で選んだのがどうしてかこれだったw宿題と遊びで忙しいなか毎日学校帰りに図書館に寄って少しずつ読んだ。全文会話で進行してって(すごいよね)一気に読もうと思えばできるんだけど、少しずつ味わいたい感じ。金魚ちゃんが不思議となまめかしくておかしかった。犀星は詩も好き。「けふはえびのようにかなしい」(だっけな?)とか。

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