女ねずみ (文学の冒険)

制作 : 高本 研一  依岡 隆児 
  • 国書刊行会
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  • Amazon.co.jp ・本 (394ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784336035899

感想・レビュー・書評

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  • 【新着図書ピックアップ!】『ブリキの太鼓』のあのギュンター・グラスの作品、『女ねずみ』。クリスマスの贈物に一匹のねずみを所望した「私」の願いはかなえられ、女ねずみが「私」に人類滅亡後のヴィジョンを物語る。『ブリキの太鼓』のオスカルは映像プロダクションの社長になっていて、死にかけた森がテーマの制作を手掛けている―
    [New Book!] This book is "She-rat" by Günter Grass. In this novel, "I" wished to have a rat as a Christmas present, and his wish was fulfilled. If you already read "The Tin Drum" by Grass, you know about Oscar. In this novel, Oscar is a president of a production company, and try to make a dying wood video.

  • 2013/8/23購入

  • 世界の終りにまつわる複数の独立した物語が同時並行で語られる終末もの。どの話が小説内での現実なのかはっきりしないまま相互に侵食していく様が実に悪夢的であり、デビュー作の『ブリキの太鼓』に比べて話運びのドライブ感とコントロールも上がっていて、とても読みごたえがあった。「ブリキ」ほど延々エログロは続かないけれど、よりぬきの挿話が適宜投下されるので気が抜けない。

    グラスは80年代に残っていた冷戦体制や環境破壊に対する問題意識からこの本を書いたのだと思うけれど、内容が古臭くなってしまっているわけではない。30年以上たった今世界は終わっていないけれど、国家間の対立も環境破壊も形を変えてリアルに存在する。どう転んでも人間は自身と世界を駄目にしてしまう、そうに決まっている、でも運命を変えたい、という無音の叫びのようなものが充満している本だった。

    先に読んでおくといい本が多いのに注意。『ブリキの太鼓』は必須。その主人公が主要人物として登場するし、読んでおかないとぴんと来ない記述が少なくない。訳者あとがきにある種村季弘『贋作者列伝』のほかに、阿部謹也『ハーメルンの笛吹き男』、初版グリム童話集あたりをペラペラできる状態で読むのが楽しいと思う。ドイツ人読者に既知であると思われる情報を先に拾っておかないといっそう訳が分からなくなるのが、30年後の日本の読み手には辛いところかも。

  • 今朝はグラスの「女ねずみ」の第1章を読みました。人類滅亡後、人間の出したゴミに棲むという女ねずみの注告というかおしゃべりに、「わたし」は「いや、人類はまだ滅亡していない」と訴えかけるのであるが、この「わたし」なる人物、誰だろう?神?
    (2009 09/14)

    ギュンター・グラスの「女ねずみ」より、ある子供の証言。
     ぼくは、人間たちが十分に不安を持たないからねずみが不安を抱くようになったんだ、と思います。 (p64)
    不安すら抱かなくなって、自己の欲望にまっしぐら・・・のように見える現時点の人類。その姿勢はこの作品が書かれた1980年代より21世紀最初の10年である現在の方が、加速度的に強まっているかのようにも思えます。ねずみを見倣え・・・って、ねずみって何者?・・・前の日記では、語り手は誰?って書いたような気がするけど、今日は語り手の夢の中でお相手をする女ねずみとは誰?・・・と思う。人間の精神の暗いところの象徴かもしれない。近代になって「正常な社会」から「狂気」を区別し、現在ではそれを社会成員から隠蔽しているところの「狂気」「精神の奥底」、ノアの方舟は近代発?
    ・・・こういう作品って一気読みできないんだよなあ(笑) (2009 09/17)

    今日は「女ねずみ」の第9章。その前の第8章で作者が女ねずみと見る夢の中で核戦争が勃発し、人間は他の生物ともどもいなくなってしまう。そんな中、第9章では地中に潜り生き延びたねずみ達は、なんと夜行性から昼行性となり農耕まで始める。この核戦争後唯一死ぬことがなかったオスカル(「ブリキの太鼓」の主人公)の祖母をねずみ達は崇拝する。祖母は何を表しているのだろうか?全てのものの母。うーむ。
    あと、もう一人死ななかった人間がいる。それが語り手(作者?)で、これは物語の始めからずっと地球の外周を回っている宇宙カプセルで、「地球、応答願います!」と語りかけている。人類という物語の始原に位置するオスカルの祖母と、物語を語るがずっと外側で物語に関与しない作者…これはさまざまな物語に関わる二つの立場・側面を言っているのか?
    でも、作者も夢から覚めれば、物語中の人物なんだよね、人類という物語の。(2009 10/18)

    繰り返されるフィルム
    ごらんのように、世界は私たちに目新しいものをほとんど見せてはくれません。ひょっとしたら、私たちはあれやこれやと、また時に意表をつくように逆向きに並べ替られるくらいで、ー(中略)ー前もって製造された小人なのです、私たちは。(p238)
    「女ねずみ」から。なんというか、この小説には終わりになったらすぐ始めに戻って…の繰り返し…の連続フィルムが連続して(笑)出てきます。p309で出てきている「両手を切られた女の子」の童話(この話を自分は知らないのですが)の女の子の映像とかが代表例。だいたいが、この小説自体がそういう構造をしている。グリム童話、バルト海のクラゲ、教会絵画の贋作作家マルスカート、「ブリキの太鼓」のオスカル…など題材をみじん切りにして他と混ぜ合わせ、次から次へと繋がっていく、まるで多産のねずみみたいに(巧く繋がった(笑))…
    終わりを迎えようとしている物語ばかりだというのに、マルスカートの物語はいつも改めてまた始まろうとしている。(p259)
    (2009/10/20)

    さて、やっとというべきかグラスの「女ねずみ」を読み終えました。
    ラストぐらい夢の中の肯定的風景が描かれるのかな?と思っていたら、最後まで歴史の再現繰り返し…でした。いんちきな現実はまたいんちきを産み…人間の歴史とは無数のいんちきの数珠繋ぎに他ならない、という見解なのかなあ、自分もそう思いますけど。あとは、物語にどれだけ期待するかどうか、ですね。
    (2009/10/22)

  • 時代劇じゃありません。作者はドイツ人。予備知識として、筆者の本作以前の作品の知識が必要です…。

  • ブリキの太鼓、ひらめ女、そしてグリム兄弟と・・・・人間世界の終末・・カリユガだっ

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