- Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
- / ISBN・EAN: 9784336036926
感想・レビュー・書評
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下巻もうっとりと面白かったです。
この巻は、思い合っていたふたりの片方が、つきひが経つとそうではなくなるというお話もいくつかあり、人の心は儚いと思いました。
あまり中原淳一さんの挿絵が無くて寂しく思っていたら、最後の2篇「心の花」「曼珠沙華」の美しい挿絵に満ち足りました。この2篇も悲しくて好きです。
「花物語」全3巻、贅沢な時間でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
一番の仲良しだったのに、卒業して暫くたったら、話題も通じないしもう同じテンポで時間を過ごすことができなくなっているということは学生時代によくある事ではありながら。成長というものは付加退であるがゆえ大人のように、物差しを随時変化させて人と付き合う事が出来ないのだろうな…。 #花物語
posted at 11:40:53
かつてピュアで可憐な友情をあつく取り交わしあった多美子が、知らぬ間に「娘」になっていたことを知り、礼子はもう二人の時間は取り返せないものになってしまったのだ、と嘆き悲しんだのだろう。少女の時間は限りがあり、帰らぬ日なのだ、とは作中で作者がたびたび言っているとおりである #花物語
posted at 11:36:28
「桐の花」これは悲しかった。というか、切ない。女学校時代に濃やかな友情を育んだ多美子と礼子。卒業後、多美子の手紙が疎遠になるのをいぶかしんだ礼子が彼女に会いに行くと、彼女には異性の取り巻きが沢山出来ており王女のようにふるまうことに胸がいっぱいになっている様子だった…。 #花物語 -
上・中・下巻を一気読み。7人の少女がそれぞれ1話ずつ花に纏わる物語を物語る「鈴蘭」から幕を開ける『花物語』。いずれも胸がキュンとする、吉屋信子風に言えば「あわれ」な花と少女(おとめとルビをふる事!)の物語の数々。結婚に否と言い、慕い慕われる少女と共に勉学に励もうとするがやはり結婚というものに理想を妨げられる吉屋信子作品に繰り返し登場する主張を扱った『黄薔薇』、紅蓮の炎に包まれ乙女2人の『燃ゆる花』が強く印象に残った。この52篇の物語を読み終わり、本の扉を閉じて、ワタシはそっと泪さしぐむのです。
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少女小説というジャンルを打ち立てた(……はず)の花物語ついに下巻。これくらいの厚さ・密度の本が三冊も続くなんて。最初は読みやすいしらくしょーすぐ終わると思ってたのに、まったく甘かったのです。耽美で繊細な文章って実は目で追って読むだけで結構疲れてしまうし、ずっと女性同士の情愛の話だし(一部例外もある、上巻はまだやさしい)悲劇的な結末が結構多いし、疲れる疲れるなんのって。しかしこれを文学的教養として育ってきた方はそれなりの文章を書くに違いないでしょう、間違いなく。私は女学校のそういうセンチメンタルなラブがあったということより、文章の糧になる、素晴らしい活字がごろごろ存在していたというところに、この少女たちの時代を羨ましいと思うのです。なんて、自分の語彙の無さ・表現力の乏しさを時代の所為にすなっての。
今回は、甘くて禁断だけでない、恋愛というものごとには時に“裏切られる”という側面もあるのだ、ということを表している作品が多くてとてもおもしろかったです。もちろん、「沈丁花」など悲劇的な話もたんまりですが。「竜胆」と「桐の花」と「睡蓮」、あと特殊なケースで「ヒヤシンス」がそうかな。特に寂しいなあと感じたのは「桐の花」かも。どうかな、睡蓮もひどい話だなあと思ったけど。「梨の花」はすごく短いのはともかくなぜ殺たしなんですが、完成度高くてとても惹かれました。文語体で書かれた「ヘリオトロープ」もなかなか目をひくかも。最後の「曼珠沙華」は女学校の話ではなく旅芸人の話で、疑似母娘っぽいところが好きです。
解説は田辺聖子が書いていて、まだ読んでないです…。この花物語、高校生のころからずっと読みたかったので、苦しみながらも何とか読み終えられてよかったです。けど、高校の頃に読んでいたら、多分今ほど百合に対して嫌悪を抱いてなかったかもなあ。でも私は、たとえ自分に相手がいなくても男女の仲が好きです。もう当分お耽美とお嬢様言葉と百合はいいです。特に最後ね。 -
「梨の花」の雰囲気が好きです。若干不思議な空気とか。
「曼珠沙華」の二人がかわいくて和んだのにラスト……悲しいだろ……。 -
大正に書かれて以来、世代を越えて少女たちに支持され、感動を与え続けてきた少女小説の代表的名作。りんどう、沈丁花、ヒヤシンス、スイートピーなどの花と少女のハーモニーを中原淳一の挿絵が彩る。85年刊の新装判。昭和14年 実業之日本社刊による。
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花の名前をモチーフに少女たちの返らぬ日の物語を綴った短編集。一冊が分厚いんですが短編集なので読み進めやすく、下巻までスラスラ読み切ってしまいました。