空のオベリスト 世界探偵小説全集(21)

  • 国書刊行会
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784336038517

感想・レビュー・書評

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  •  アメリカ大陸横断飛行中の閉ざされた機内での殺人事件。乗り合わせたのは乗員や警官を合わせてもたったの11人。それも大型ジェット機ではなく座席数10の小型プロペラ機の時代だ。なので直行ではなく途中何ヵ所かの空港に寄港しての大旅行となっている。ある空港に着陸したときに乗客が乗り降りしているすきに仮死状態で荷物室に収容されていた被害者が何者かに殺害される。関係者の隠された動機と限られた時間内の分単位のアリバイが焦点になり、綿密な聞き取り調査で乗客の動きを調べ一覧表として提示される。そこから浮かび上がった犯人を告発するところまで漕ぎつけたところで一騒動あったものの幕となる。あとは付け加えられた後日譚、と思いきやエピローグではなくプロローグとなっているのに気づく。そこに述べられた飛行機に乗る前の話で本当の真相が明らかになる、という凝ったつくりになっていた。なかなかうまい。おもしろいのは、作者による最後に手がかり索引が付されていて、張られている伏線をたどって見られるようになっている。作者自身がここまでサービスしてくれるのは珍しい。私情に悩まされるちと情けないロード警部だが、直接証拠のない中での推理はなかなか見事。だからこそ最後のどんでん返しが効果的になっている。

  • 冒頭から正体不明の人物との銃撃戦というクライマックスシーン「エピローグ」から物語が始まり、そこから今回の事件の発端に時間を戻して語りだすという、ハリウッドのアクション映画かよと言いたくなる構成の本書。グイグイ読ませる格好良さと(まぁベタではありますが、これを1935年に書いていた驚き)、小型機なので、ニューヨークからリノへ向かうのも、途中で飛行機乗り換えたり給油で中継地点の空港にちょいちょい着陸する辺り、大型機の直行便に慣れた私から見るとそれも目新しい。
    犯人はアイツか?と思わせつつ、繰り返させる検討の中、全員が怪しくなさそうにも思え一方で全員が怪しくも見える……。飛行機の中という閉鎖空間と、タイムリミットつきの展開がサスペンス色も出してきてて、とても面白かった。

  • 2015/4/1購入
    2018/4/11読了

  • 手掛かり索引があるオべリストシリーズの3冊目です。
    本書はエピローグが巻頭にプロローグが巻末にあるという変わった趣向になっております。
    著名な外科医カッター博士に不敵な犯行予告が届きます。
    ロード警部はあらゆる事態を想定して警護にあたりますが、その目の前で事件は起こってしまいます。
    上空数千フィート、空の密室ともいうべき飛行機内での殺人です。
    最後の最後にプロローグと手がかり索引によって事件の全貌が分かるようになっています。
    最後に明らかになるのは驚くべき真相です。

  • <pre><b>黄金期パズラーの名作。4月13日正牛、おまえは死
    ぬ―著名な外科医カッター博士に届いた不敵な犯行
    予告。あらゆる事態を想定して警護にあたったロー
    ド警部だが、その目の前で事件は起こった…。上空
    数千フィート、空の密室ともいうべき飛行機内で果
    たして何が起きたのか。</b>
    (「BOOK」データベースより)

    資料番号:010472488
    請求記号:933.7/セ/21
    形態:図書</pre>

  • フェアプレイに徹しているにもかかわらず最後のどんでん返しは予想の大外から来る。序盤から殺人事件(?)が起こり興味を惹く。それでもそんなに捜査しない不思議な状況が続いた後で怒るのは本当の殺人事件。そういう構成で語られている。前半もそういう企みであることを全く分からせないでいるのでわくわくするが後半はタイムリミットが迫る中で限られた容疑者から犯人を当てなければならないという緊迫感がひしひしと感じられるようになる。そして終盤の怒涛のどんでん返し。それを納得させるための「手掛かり索引」なるものが巻末に備え付けられている。感動した。

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