パタゴニア・エキスプレス (文学の冒険シリーズ)

制作 : Luis Sepulveda  安藤 哲行 
  • 国書刊行会
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本棚登録 : 46
レビュー : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784336039569

作品紹介・あらすじ

日曜日ごとに教会を「襲撃」した祖父との思い出に始まり、独裁政権下の祖国を逃れ世界各地を経巡った日々、そして、うそつきガウチョや天才科学者たちの待つ「世界の南の果て」パタゴニアへの帰還の旅…。新しいラテンアメリカ文学の旗手として、ヨーロッパでも絶大な人気を誇る作家が描くユーモラスで感傷的なトラヴェローグ。

感想・レビュー・書評

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  • もどかしい。素晴らしい本なんだがタイトル名と表紙の感じが「つまらない本」にさせている。
    チリの人気作家。結構重厚などっしり大作を書ける力は持っているのに、自伝要素も含む南米地域の紀行文が、決して世界に対して読みやすい物ではないのをおもんばかってハードルを下げて書いてる印象。爽やか、読みやすい、面白い。主人公の「いま息をして生きてる感」ってどうやったら表現できるのかなあ。本人、旅で出会う人達の意識してないありのままの現実感。よく見せよう格好付けようと微塵も考えてない思想。とにかく作者の文筆力にやられた。

  • 「ぼくには人生はいつだって刺激的、最後の息をするまで生きるにふさわしいものと思える」。
    この清々しい一文が象徴する小説。まとまった一冊の本にすることを意識していなかったらしい断章は、まとまりが無い。しかしその、てらいの無さが気持ちがいい。

  • 終始語り手の静かな文章が心地よい紀行文。
    静かすぎて、中盤は物足りないなぁと感じはしたけれど、序盤の、日差しのきつい協会の壁、祖父のだみ声、薄暗いバルの埃っぽい空気や、終わりの人の少ない村の道、徐々に人の熱気がましていくバルの空気、所縁のある男の住む家のひんやりした居間の描写が素晴らしい。

  • まさに名作。
    <自分がいちばん居心地のいい土地>パタゴニアへの旅、その中でもカルロス・ノ・マス(no ma's)やパラシオス機長といった飛行機乗りたちのエピソードが印象的。そしてラスト、祖父の生まれ故郷で“サークルが閉じた”くだりは思わず胸が熱くなります。

  • 半自伝的な旅行記。
    主人公が祖国を出て各国を旅し、その先々で色んな人々に出会う。
    それだけの話だが、実に素晴らしい本だった。

    登場する舞台は、南米諸国であり、<世界の果て>パタゴニアであり、スペインであり、日本からは遥か離れた異国ばかりなのだが、読んでいて妙に郷愁を感じる。訪れたこともないのに懐かしい気さえしてくる。結末に至っては涙さえ出てきた。
    「ぼくはチリに帰れるようになっていたがヨーロッパにいつづけていた。彼らはブエノスアイレスに帰れたがパタゴニアにいつづけていた。友人たちとの語らいは、人は自分がいちばん居心地のいい土地の人間であるということをまた確信させてくれた。」(166ページ)

    特に本書の多くを割いているパタゴニア地方の話は、面白いし、興味深いし、実に温かい。
    著者は話のセンスも非常にいいと思った。オススメ。

  • 乾いている。湿度0
    それが読んだ感想。
    そこには戦場に取り残された廃墟、或は飾り気のない記憶。

    一度でいいから行ってみたい。そんな南米のロードムービーのような旅行記。

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著者プロフィール

1949年、チリ北部のオバージェに生まれる。アナキストであった祖父
の影響をうけて若くして社会主義運動に参加(祖父の話は『パタゴニ
ア・エクスプレス』に詳しい)73年、アジェンデ社会主義政権を倒し
たピノチェト将軍による軍事クーデタの後逮捕され、南部テムーコの
刑務所に入れられる。二年半の服役の後、アムネスティの努力で釈放
される。80年からドイツのハンブルグに居を定め、そこでジャーナリ
スト・作家活動を始める。89年発表の『ラブ・ストーリーを読む老
人』や96年の『カモメに飛ぶことを教えた猫』がヨーロッパ諸国でベ
ストセラーになり、新しい世代のラテンアメリカの作家として注目を
集めている。

「1999年 『センチメンタルな殺し屋』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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