ロマン〈1〉 (文学の冒険)

制作 : 望月 哲男 
  • 国書刊行会
3.91
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本棚登録 : 103
レビュー : 12
  • Amazon.co.jp ・本 (417ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784336039583

作品紹介・あらすじ

歓びと笑いに満ちた19世紀の小村。最もスキャンダラスな作家が描く戦慄のスプラッター・ノヴェル。

感想・レビュー・書評

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  • こてこての近代ロシア文学風を通した上巻。裏表紙に「スプラッターノベル」ときっちり書いてあり、ロシアの自然や人々の美しさをこれでもかと歌い上げているのはフリなのだ。これがどうスプラッターになるのかばかりが気になるのだけれど、この長大な前フリも、それなりに楽しい。なんといっても登場人物が大仰で、せりふ回しが長く感嘆符にまみれていて、とってもロシア風。

    しかし上巻を読み終えるあたりからこのロシア風にだんだん飽きてきて、主人公を含めた地主階級の上から目線にもイライラしてくる。これが作者の狙いなのかわたしにロシア風に対する耐性がないのかはわからないけれど、下巻でどのように狂気が発現するのか、とても楽しみ。

  • うん、楽しい。いかにも端正な古典ロシア風小説。キノコ狩りとか狩猟に行きたくなるくらいだ。これが壮大な前振りとはすごいな。

  • 青い脂を読んで、これも読んでみたかったので借りた。単行本全2 巻 の重さ。中身を読んで納得した。

    長閑な田園風景だったり、家族の団らんというか果てない日常のおしゃべりだったり、ちょっと退屈で地味な場面が続く。そこに酔っ払いのパラモンやら、ニヒリストかメンヘラか?変わった医師とのことばのやりとりは、かなり不愉快ではあったが、単調な日常の物語に、スパイスが効いて、面白かった。

    森で狼に遭遇したロマンは、狼がヘラジカをむさぼり食っているのを目の当たりにして、持っていたナイフで格闘し、それを仕留める。
    道に迷いこんで森の奥深くまで来たロマンは、そこで会った男に狼を殺したと告げ、倒れる。で、運ばれた家が森番の家で、運命の人が待っていた。

    狼との出会いを運命の出会いに変えるなんて、さすが、ロシア文学。その後タチアーナを嫁にのとこで、ロシアンルーレットとか、大真面目な話だが笑えた。だんだん、楽しみになってきた。

    タチアーナの義父の許可を得て、求婚。翌日には結婚式ってスピード婚。結婚式後の披露宴、しんみりする場面もあったが、賑やかに時は過ぎ、御開きとなった。

    さて、そこからまさかの、怒涛の展開。何でいきなりこうなるのかわからないけど、鈴と斧の揃った時は、ぞくっとした。

    ここから、畳み掛けるように殺戮のようすからロマンの最期に至るまで、リフレインが続く。この訳者氏のことばの羅列が、日本語訳だからこそ、単行本サイズに程よくフィットしてるのが、凄いと思った。

    2017.09.14読了











  • 第1巻は至極『真っ当な』ロシア文学。
    やや主人公の人物造形にエキセントリックさが見られるぐらいだろうか(但し、ロシア文学の主人公は割合に極端なタイプが多いので、これも「伝統」と考えることも出来る)。
    第2巻でどれほど無茶苦茶になるのか読むのが楽しみだw

  • 19世紀のロシア文学風に始まり、牧歌的な自然とそこに暮らす人びとの描写は一流。しかし下巻途中から突然虐殺が延々と続き、最後は小説、文が解体され、文字の羅列となり、「小説は死んだ」

  • チェーホフ、トルストイ、ドストエフスキーなどロシア文豪をふまえた文章、知的な会話にユーモアあふれる上流階級の人々。お百姓にアル中にシベリア返りに戦争返りのニヒリスト。白樺と緑の眩しい美しい大自然のなか燃えあがる運命の恋!ロシアンルーレットまで出てきて大河ドラマか?!とロシアの魅力満載で終った…。こんなに盛り上げて…カタストロフが怖い。

  • (1)(2)の全二巻。
    19世紀の喜びと笑いに満ちたロシアの小村。一文一文ごとにきらきらと溢れ出さんばかりの豊かなロシアの自然の描写が輝く。生きる喜びが全身から満ちている登場人物たち。うんざりするような都会から帰ってきた主人公のロマンと、彼を迎える知性とユーモア溢れる家族。多少抜けたところがあっても、活気があり人生を謳歌する術を知っている農民達。

    やがてロマンは運命の人タチヤーナと出会います。そこからの強烈に惹かれあう二人の臆面もない求めっぷりや、周りの祝福の激烈さと来たら読んでいるだけでこっちまで幸せな気持ちになるほどです。

    また珍しく、19世紀頃のロシアの料理についての描写が事細かにあり、それだけでも読む価値があります。正教徒として規則正しく、豊かな自然に囲まれて、喜びと笑いの中に生きる。古きよきロシアのイメージそのままの世界がここにあります。


    でもそれだけじゃないんだよ
    最後まで読めば、分かる
    この「ロマン」凄すぎる
    カタストロフった

  • 二巻に進めない人が恐らく続出する退屈さの文量。

  • 「愛」もそうでしたが、ソローキンの森の描写はとてもさわやかで、すがすがしく、読んでいるうちに森の空気が頬に触れているかのような錯覚に陥ります。

  • 単行本で既読。

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著者プロフィール

1955年ロシア生まれ。コンセプチュアリズム芸術運動に関わったのち、83年『行列』で作家デビュー。「現代文学のモンスター」の異名をとる。主な作品に、『ロマン』『青い脂』『氷3部作』、短篇集『愛』など。

「2017年 『テルリア』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ウラジーミル・ソローキンの作品

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