植物 (書物の王国)

制作 : 須永 朝彦 
  • 国書刊行会
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本棚登録 : 76
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784336040053

感想・レビュー・書評

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  • オスカー・ワイルド「ナイチンゲールと薔薇」
    ちなみにナイチンゲールは鳥の方です。
    人間の身勝手さと、鳥の健気さの対比が…悲しいな……。
    死んでしまった命は戻らないというのに、自分には手の届かない理想を他者に委ねるのは、しかしそれもまた愚かだろワイルドは伝えてきているのかもしれない。

    ピエール・ルイス「神秘のばら」
    こ、こういう不条理ものもあるんだな……。
    ヒロインがどんなに心の優しい娘でも、植物にとっては一概にそうとは言い切れないのだ…。
    問答無用というか、人間の世界の理屈が通らない感が…こ、怖い……。

    エルゼ・ラスカー・シューラー「白いダリア」
    白いダリアと青い櫛の恋物語…だと……。
    す、凄い…それをはたから見ている人間視点っていうのもまた…すごいな……。

    『御伽草子』より「かざしの姫君」
    あらすじは知ってたんだけど、菊の花の精と姫の恋っていうの…こんなに逢瀬を重ねていたのか……。
    そりゃそうか、子どもももうけてるもんな…。

    『裏見寒話』より「柳の精」
    こちらも、男性として現れる柳の木の精と女性の恋物語。
    終わり方がなんだか綺麗で、好きだな…。
    悲恋と言い切れないような感じが…。

    山田風太郎「人間華」
    山田風太郎作品、初めて拝読致しました、が、めちゃめちゃファンタジックでドロドロしてて面白いな…。生の華と死の華の交配…。

    グリム兄弟「柏槇の話」
    これで”びゃくしんのはなし”とのこと。
    しかし、可愛くない義理の子どもを手にかける継母、それに気が付かずに殺された子の肉を口にする父親、みたいな構図ってやっぱり多いんだな…古今東西…。
    怖いよこわいよ…。
    そしてそれを殺されたはずの子どもが何かを媒介にして他者にばらす、っていう様式美まで含めて…怖いよこわいよ……。

    小泉八雲「乳母ざくら」
    これも初めてちゃんと読んだかも分からん。
    乳母の愛情…なんか宮沢賢治じみてるよね。

    川端康成「百合」
    タイトル通りかと思いきや、結果的には神様に恋して、神様のおっしゃる通りに百合の花に変身してしまう娘さんのお話だった……。
    さすが川端康成ともなると百合作品でも一味違う……。

    山村暮鳥「風景」
    いちめんのなのはな
    いちめんのなのはな……っていう詩ですが、言われてみればこの詩、めちゃんこ好きだな。
    圧倒的な視覚的イメージの暴力だよね。優しく殴り倒してくる感じ。

    多田智満子「蓮喰いびと」
    やはり多田智満子の随筆はセンスが振り切れている…。
    まさかオデュッセウスのエピソードから≪蓮喰いびと≫の王国を持ってくるとは…。
    正気を奪い、堕落させる快楽の果実…。
    私達の知らない、まだ見ぬ蓮の実……。
    き、気になる……。

  • 植物の徳性または悪意のようなものにふれたエッセイや、人が植物に変身する物語を古今東西から選び、さらに日本的情緒の溢れる随筆や評論なども収録。

  • 第5巻 全20巻

  • こういう形式好きです。有名どころの作家の文章が手軽に読めて、この短文でもそれぞれの作家の個性が出ているのが面白い

  • 書物の王国シリーズの第5巻 (全20巻)

  • 書物の王国

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著者プロフィール

1854年アイルランド・ダブリンに生まれる。19世記末の耽美主義文学の代表的存在。詩人・小説家・劇作家として多彩な文筆活動で名声を得る。講演の名手としても知られ、社交界の花形であった。小説に『ドリアン=グレーの肖像』戯曲に『サロメ』『ウィンダミア卿夫人の扇』回想記に『獄中記』などがある。1900年没。

「2022年 『オスカー・ワイルド ショートセレクション 幸せな王子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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