ソルトマーシュの殺人 (世界探偵小説全集)

制作 : Gladys Mitchell  宮脇 孝雄 
  • 国書刊行会
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レビュー : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (331ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784336041586

感想・レビュー・書評

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  • (編集ノート)英国の田舎の村を舞台に活躍する老女探偵といえば、誰だってクリスティーのミス・マープルを思い出すだろうが、ここで登場するミセス・ブラッドリーは、穏やかな性格のライヴァルとは、なにからなにまで対照的なキャラクターである。「小柄で、痩せていて、しわくちゃで、顔は黄ばみ、魔女を思わせる黒い目は眼光が鋭く、猛禽の鉤爪のような黄色い手をしていた」と外見からして異様なこの老婦人は、いきなり不気味な高笑いを発して周囲をぎょっとさせたり、セックスの話題で牧師夫人を辟易させたり、まったく油断のならない人物である。しかし、読み進むうちに、このお婆さん探偵の不思議な魅力に、誰もが虜になってしまうはず。

  •  地味な作品で盛り上がりに乏しい。殺人事件が二つに死体すり替えトリックといえばミステリ的には興趣十分なはずなのに、どこがヤマで何が謎なのかがいまいちわからずに田舎の教会をめぐる人々がうろうろ動き回るばかりで面白みに欠ける。探偵役のエキセントリックな婆さんとワトソン役のボンクラな副牧師の組み合わせはまあ型にはまっているものの、肝心のストーリー展開が平板すぎて退屈する。主役なのに一度も登場しない赤ちゃんはどこへ行ったのですか?

  • 著者の第4長編であり、魔女の血を引くという異色の名探偵ミセス・ブラッドリーが、イギリスの片田舎ソルトマーシュ村で起きた怪事件の謎に挑みます。
    著者の作品を読むのは第2長編「ウォンドルズ・パーバの謎」に続いて2冊目ですが、本作品でも登場人物も話の進み方(笑)も一筋縄ではいきません。
    謎解きとしては特筆すべきものはないかもしれませんが、こんなところが、結構癖になりそうです。
    本作品では特に助手役にされてしまった副牧師のノエルがいいアクセントになってます。

  • 1932年の英国黄金期の作品。イギリスの平和な片田舎で、妙な事件が次々と起こり、ついに殺人事件まで発生。得体の知れぬ魔女みたいな心理学者のミセス・ブラッドリーと、なぜか行きがかり上ワトソン役にされちゃった副牧師の僕が事件を追う。 …とあらすじだけ書くとベタな英国ミステリのようですが、何とも独特な読後感。
    自分が読んでる最中に感じていたことは本書の「訳者あとがき」で綺麗にまとまっていたので引用します。

    『盛り上がるべきところで盛り上がらず、本来なら盛り上がるはずのないところで、突如、盛り上がったりする面白さなのである』

    そうそう。そういう感じ。ハイテンポでポンポン話が進みつつ、でも一本道ではない。必要なのか不要なのか良く判らない情報が飛び交い、ストーリー上、力の入れるところと抜くところが王道パターンからずれているため、読者が振り回される。(振り回されつつ、それが楽しめるのは構成力なのか文章力なのか…?) いずれにせよ、単調なようで気の抜けない雰囲気が面白い。
    あらすじにある、「英国ファルス派、オフビートなユーモアに満ちた作品」とはなんぞやと思ってましたが、読んでみたらなるほど!でした。(逆に読まないと判らんね。この感覚)

    じわじわクセになりそうな作風なので、もうちょっと他の作品にもチャレンジしてみようと思います。

  • 難しかった…。
    訳者あとがきにあるとおり、話がポンポンとんで、ついていくのが難しい。場面が何度も変わるし、ミセス・ブラッドリーが「ところで」と全然違う方向に話を持って行って周囲を煙に巻くことも多くて、読んでいるこちらも一緒になって面喰ってしまった。

    さらに登場人物がたくさんいて呼び名が変わることも多いので、だれが何をしたのかが度々わからなくなって混乱。最後にはちゃんと謎解きがされて話の筋も集約していくけれど、「おお、そういうことか。すっきり!!」という感激はあまりなかった。作者の腕についていけず、消化不良。巻末に付録という形で、探偵役のミセス・ブラッドリーの手帳の内容が書かれているけれど、これを読んで初めて「ああ、そういうことか」と思えた。それだけ引っ掻き回しているということを、作者も意識しているということなのかなあ。

    語り手が若い男性であることもあってか、訳者が軽妙な語り口にしてくれていたのでなんとか読み通せた。これが堅苦しい口調で最後まで続いていたら、きっと挫折していたと思う。

    おもしろくないということではなく、玄人好みな作品だなーと思いました。

  • <pre><b>ぼく、ノエル・ウェルズはソルトマーシュ村の副牧
    師をつとめている。牧師のクーツさんは付き合いに
    くい人で、奥さんはやかまし屋だけど、姪のダフニ
    は美人だし、村は平和そのもので、とやかく言うこ
    とはない。ところが、牧師館のメイドが父親のわか
    らぬ子供を妊娠し、お払い箱になった頃から、村で
    は妙な事件が次々に起き始めた。そして村祭りの夜
    、クーツさんが何者かに襲われ、大騒ぎをしている
    うちに殺人事件の知らせが飛び込んできた。そこで
    探偵仕事に乗り出してきたのが、お陣屋に泊まって
    いた魔女みたいなお婆さん、ちょっと気味の悪いと
    ころのある人だけど、なんでも有名な心理学者で、
    おそろしく頭が切れる人。いつの間にか助手にされ
    てしまったぼくだったが…。魔女の血を引くという
    変り種の女探偵ミセス・ブラッドリー登場の、英国
    ファルス派グラディス・ミッチェルの代表作。</b>
    (「BOOK」データベース より)

    資料番号:010482248
    請求記号:933.7/セ/28
    形態:図書</pre>

  • イギリスの小さな村ソルトマーシュの牧師館でメイドをしていた娘が、父親の知れない子を身籠って牧師館を追い出された。やがて子供が生まれてその父親が領主では?との憶測する噂が流れる中、男が地下室に閉じ込められ、採石場近くのバンガローを訪れた副牧師を何者かが襲撃する等、怪事件が続発する。
    領主館での村祭りの日、牧師が行方不明になり、メイドは殺され、赤ん坊は行方不明になった・・・・

    領主館に滞在していた魔女の血を引くと言う女探偵が、副牧師を助手に事件を解明するこの物語、不思議な魅力に満ちています。
    何しろ登場人物と来たら変人奇人のオンパレードだし、あちこちで大騒ぎな割りには殺人事件はまるで別のところに起きる。サイドストーリーを面白がって読みながら「これは本筋とどう絡んでくるのかな〜」と期待しているとまるで関係なかったり、と言うことの連続です。
    でも、読んでいるうちにその肩透かし感が段々快感になってきて、コージー風の仕立てながらコージーではなく、不思議なユーモアの漂う独特の世界を楽しみました。

    トカゲやワニに似ていると言う魔女にして心理学者のミセス・ブラッドリーの、殺人を犯したことがあると言う過去や、著名は弁護士を息子に持つその家庭生活など、その複雑な内面に興味津々です!

    1932年に発表されたそうですが、そのシュールなタッチは少しも古さを感じさせません。

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著者プロフィール

1901年、イギリスのオックスフォードシャーに生まれる。ロンドン大学卒業後、教員生活を送りながら、探偵小説を執筆。1929年、処女作『迅速な死』を発表。本作にも登場する心理学者、ミセス・ブラッドリーを探偵役としたシリーズで好評を博し、英国ファルス派を代表する作家として知られる。代表作に『ソルトマーシュの殺人』『月が昇るとき』(本書)、『トム・ブラウンの死体』がある。その他、別名義を含め、70冊以上の著作がある。1983年没。

「2011年 『月が昇るとき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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