山尾悠子作品集成

  • 国書刊行会 (2000年6月20日発売)
4.21
  • (67)
  • (19)
  • (37)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 556
感想 : 35
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (766ページ) / ISBN・EAN: 9784336042569

みんなの感想まとめ

多様なテーマが織り交ぜられた作品群は、まるで宝石のように精緻で独特の魅力を放っています。特に『ゴーレム』は、物語性よりもイメージや感覚を重視した構成が印象的で、読後には脱力感を伴う深い余韻が残ります。...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 『仮面物語』を読んだので「ゴーレム」と読み比べしようと思ったのだけど、せっかくだから既読のものも順番に再読しようと最初から読み始めたらあまりの分厚さに読み終わる前に腱鞘炎になりそうだったので、既に文庫で読める前半の作品群はちょっととばして、未読の「ゴーレム」と「掌編集」を先に読むことに。

    「ゴーレム」は、GとFが『仮面物語』における善助と不破にあたり、『仮面物語』の影盗みの彫刻師の物語部分だけが抽出されたような感じ。虎を連れた美女や自動人形は登場しない。これはこれでテーマがすっきりしていて読みやすい。

    どの作品もとても細かい細工がされた鉱石の宝飾品のよう。やはり山尾悠子は唯一無二。

    ※収録
    <夢の棲む街>
    夢の棲む街/月蝕/ムーンゲイト/堕天使/遠近法/シメールの領地/ファンタジア領

    <耶路庭国異聞>
    耶路庭国異聞/街の人名簿/巨人/蝕/スターストーン/黒金/童話・支那風小夜曲集/透明族に関するエスキス/私はその男にハンザ街で出会った/遠近法・補遺

    <破壊王>
    パラス・アテネ/火焰図/夜半楽/繭(「饗宴」抄)

    <掌編集・綴れ織>
    支那の禽/秋宵/菊/眠れる美女/伝説/月齢/蟬丸/赤い糸/塔/天使論

    ゴーレム

  • 久しぶりに読了後の脱力感が半端ない読書体験。すごいわあ、この言葉から喚起される強靭なイメージの力。全体通して読むと、好きな話とそうでもないのと色々分かれるが、あまり物語性のない方がどちらかといえば好きかも。『遠近法』『遠近法・補遺』はとびぬけて頭クラクラするほどだけど、『繭』『傳説』あたりも、すげぇ、かっこいい!と年甲斐もなく身悶えするほど好みだった。読んでも読んでもどこまでも想像の羽ばたく至福の読書タイムでした。

  • 夢で織られた分厚いバームクーヘンを食べるようにして愉しんだ。
    無人島に持っていく本はこれでもいいかも。

  • 「夢の棲む街」を読んだ時に、閉塞感漂う荒涼とした架空の大地がバロの絵と重なった。舞台が架空の土地でも現代のとある町でも、格調高い文体で綴られる物語は目眩がしそうに幻想的。言葉で描かれる幻想絵のようだが、読みながら物語に沿った旋律が生まれるほどに刺激される。見ているだけでは飽きたらず、いつまでも世界に入って遊んでしまう。

  • 発刊当初に読んで「これはすごいものを読んだ」とびっくりし、そして10年以上たって再読。初読の感動は記憶の深さに比例し、再読の喜びも同じだった。最初にいいと思ったものがそのままやっぱりいい。固くて冷たい鉱物のようだ。

    ただすっかり記憶から抜けていたいくつかは、完成度なり方向性なりで今回ははっきりと「そうでもない」の箱に入れざるを得ず(軽く書いた耽美系というか少女系というか)、その意味で星は四つ。山尾さんが書けばなんでも!というファンではないことがわかった。

    10年前と変わらない硬質な光を感じるのは、「夢の棲む街」、「ムーンゲイト」、「遠近法」、「耶路庭国異聞」、「透明族に関するエスキス」、「遠近法・補遺」、「眠れる美女」、「ゴーレム」。「遠近法」は最高。

  • 作者の20代のころの短編集。
    一つ一つの物語がとても緻密な描写で描かれている。どれも違う世界で起きる話しなのに、過去にあったか、今にもどこかで同じことが起こっているかもしれないと思わせるような文章。たしかに幻想的という言葉がふさわしい。ただその分一つ一つの物語を読むのにとても体力がいる。好みの話しじゃないときは目が滑って大変だった。絵画や版画などに構想を得ることがあった作者なので、それらの元ネタを知らないで調べたことも。あと、読めない漢字が多く出てきて読むのに辞書、広辞苑は手放せなかった。それでも読んでいる間はその手間が気にならないくらい夢中だった。もともとSFとかファンタジーが好きだったので夢見るような話は嫌いではなかったのもあるかもしれない。
    「ムーンゲイト」「月蝕」「童話・支那風小夜曲集」「シメールの領地」「ゴーレム」あたりが好き。

  • 多彩な物語を辿るうちに
    ピントが合った景色が目の前に広がり
    鮮烈さに引きずり込まれるような感覚が楽しくて読み終わるのが勿体なくて
    2ヶ月ほどかけてゆっくり読んで
    読了後もまだ読み返しています

    遠近法・補遺の一節がやはり印象的
    「誰かが私に言ったのだ
    世界は言葉でできていると」

  • やっと読み終わったよーーー!!!
    長かった.........
    一生に一度は読み通したいと思っていた本。

    例えるなら、精緻なスノードームや夜の美術館の彫像群を眺めているような感じがしました。
    硬く、謎と滅びの気配を孕んでどこか静止しているような数々の異世界が描かれています。
    古い美術品のように、かつては込められていたかもしれない世界の意味はもう風化してしまって、今はただその美しい造形をため息をもらしながらなぞり眺めるしかないような、そんな感じを受けました。

    完璧に造られた人工世界は一方でどこか不気味さを感じさせます。始めの作品群は特にその不気味さが顕著です。徐々に薄まっていくものの、構築された世界の枠組みが崩れ去って行くような、精巧さが突如として生々しいグロテスクさに反転するような不穏な気配はその後も通底していました。

    緻密に組み立てられた文章の大半が描写に費やされるため、あらすじは説明できる気がしません。ただ「そこに〜〜があった。私はそれを見た」としか言えないです。
    読み始めると、遠い国の予言を予知夢として見ているように、非現実の空間の中で視界がくっきりと立ち上がってきます。
    世界の内に降り立ったある一点から、目に見えるものを辿って行き、それらの配置や全体構造を
    自ずと理解していくうちに、世界がゆっくりと臨界点に達しようとしていることに気付くけれども、もはや止められない。というのが体感です。
    描写が多いといっても、世界を構築する数々の物たちが皆、一つ一つ手に取りたくなるくらい嗜好に刺さるため、飽きることなく眺めていられます。

    そして良い意味で、読んだ後には何も残らないです。素晴らしい細工の装飾品を見た時のように、至高の音楽を聴いた時のように、何か驚くほど素敵な作品を味わった、という感覚やイメージの断片は鮮烈に残っても、後で考え込むようなメッセージや尾を引くような感情は一切残りません。
    そこがすごいところです。


    完全に体感型の本なのでまず読んでみる方が良いと思います。

    自分の脳の容量によって、言葉から受けるイメージの広がりが変わるので、なるべく落ち着いていて眠くない時に読む方が良いです。
    そういう時でないと読めないと思います。
    (文章自体は堅苦しくも華美でも古めかしくもなく、端正で読みやすいです)


    「夢の棲む街」「月蝕」「遠近法」「蝕」「黒金」「透明族に関するエスキス」が好きです。

  • 凄すぎる以外に言葉が出ない。
    「夢の棲む街」
    「遠近法」
    この2作をよんだだけでももうそれでよい。
    凄すぎてなんかもうそれで良い。

  • 奮発した!

  • センスオブワンダーの極致。
    文体の女王。

  • ベストSF2000年4位

    mmsn01-

    【要約】


    【ノート】

  • 執拗な情景描写に圧倒されるが、その分物語の筋は希薄に感じる。頭に浮かんだイメージをそのまま描きたかったのだろうと思うが、そのために読ませるための工夫がおざなりとなっている感が否めない。他者が見た夢の話を聞くのは退屈だ。

  • 2001年3月25日、3刷、並、帯付
    2015年6月11日、伊勢BF、函付

  • なんというか、すごいものを読んでしまった。
    すべての話が目の前に映像が浮かぶような視覚的な文章で書かれていて、幻惑される。ひとつひとつ文体を変えて書いているとのことだけれど、根底に山尾節といっていいのか、一貫したものが流れていて、作者を知らずに読んでも、これは山尾さんの話だとわかるような気がする。
    作品世界は頽廃的なものが多く、透明でふわふわしたものではなく、鉱物的なごつごつとした肌触り。なめらかな絹や天鵞絨だと思っていたら、乾いた血でごわついている部分を見つけてしまったような不安を感じたりもする。

    好きなのは『遠近法』『パラス・アテネ』『ゴーレム』。
    他にも好きなのはあるけれど、とても書ききれない。

    ホント、すごい話に、すごい作家に出会ってしまったと思います。

  • 幻想に到る病と毒林檎の果てに山尾は何を見るのだろうか?
    いつまでも咲き続けるオーロラと巨人の狭間で何を感じるのか。
    それともゴーレムの生成には処女の生贄が必要なのか。
    いいや、腸詰宇宙には終わりも始まりも無く太陽すらないのだ。
    本格幻想作品は一種のノワールであって博愛主義ではない。
    いっそのこと――トロンプルイユに溺れて死んでみたいけれど、
    流星群の蠢くシークエンスはサイレンとともに点滅する・・・。
    呪詛呪詛呪詛呪詛呪詛呪詛祝福呪詛呪詛呪詛呪詛呪詛。
    永久機関が止まった日に純度の高いエリクシールが手に入るんだ。

  • 衰退の兆している東方の国を書かせたら、この人の右に出るものはいないという説に頷く。

    「破壊王」のシリーズに分類されるのは、パラス・アテネ 火焔図 夜半楽だったか。
    火焔図(旧字の図)が、たまらなく美しい。

    同じ美しい顔を持ったふたりの若者。
    一方は災いを招くとされる紫の血を持ち、一方は真紅の、通常の血。
    額に捺された罪人の印の焼き印は「華」の一文字。
    入れ替わるための、しかしその入れ替わりすら災いを招くための、騙し。

    滅びかけた都、黄金の刺繍すら瘡蓋(かさぶた)に見える衰退。
    炎の都。

    「ムーンゲイト」の水蛇と銀眼もよかった。
    月の光を浴びて空を舞う種族の美しさ。

    これは、ちょっとずつ、大事に文章を味わって読むがいいね。
    夏の蒸し暑さにも秋の夜長にも冬の凍空にも似合うが、春ではないな。
    ものすごく華美な言葉を使っているわけではないのに、連ねられる文章が美しい。
    うっとりしてしまう。

  • 幻想文学の極北。伝説の作家の傑作群。佐藤亜紀がとんでもない褒め方をしている「パラス・アテネ」も素晴らしい。その文体の余りの煌びやかさ、リズム、映像的な視点移動など恍惚としてしまう。しかし、なんといっても生涯最高の短編「遠近法」。その創造力に打ちのめされました。その1作の衝撃だけで、大ファンになり、サイン会のためだけに関西から東京まで赴いてしまったよ。★6

  • 半分ほど読んで、一休み中。

  • 美しくも硬質な鉱石のような幻想世界。

全30件中 1 - 20件を表示

著者プロフィール

山尾 悠子(やまお・ゆうこ):岡山市生まれ、小説家。同志社大学文学部国文学科卒業。1975年、「仮面舞踏会」(「S-Fマガジン」早川書房)でデビュー。2018年、『飛ぶ孔雀』で泉鏡花文学賞、日本SF大賞、芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。小説に『ラピスラズリ』、『増補 夢の遠近法 初期作品選』、『歪み真珠』、『山の人魚と虚ろの王』、『仮面物語: 或は鏡の王国の記』、『初夏ものがたり』など。エッセイ集『迷宮遊覧飛行』、歌集『角砂糖の日』などの著書がある。

「2026年 『山尾悠子偏愛アンソロジー 構造と美文』 で使われていた紹介文から引用しています。」

山尾悠子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×