山尾悠子作品集成

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  • 国書刊行会
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  • Amazon.co.jp ・本 (763ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784336042569

作品紹介・あらすじ

二十年の眠りから目覚める幻の傑作群。"伝説の作家"山尾悠子が残した幻想文学の極北ともいうべき32篇の小説を一巻に集大成。

感想・レビュー・書評

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  • 『仮面物語』を読んだので「ゴーレム」と読み比べしようと思ったのだけど、せっかくだから既読のものも順番に再読しようと最初から読み始めたらあまりの分厚さに読み終わる前に腱鞘炎になりそうだったので、既に文庫で読める前半の作品群はちょっととばして、未読の「ゴーレム」と「掌編集」を先に読むことに。

    「ゴーレム」は、GとFが『仮面物語』における善助と不破にあたり、『仮面物語』の影盗みの彫刻師の物語部分だけが抽出されたような感じ。虎を連れた美女や自動人形は登場しない。これはこれでテーマがすっきりしていて読みやすい。

    どの作品もとても細かい細工がされた鉱石の宝飾品のよう。やはり山尾悠子は唯一無二。

    ※収録
    <夢の棲む街>
    夢の棲む街/月蝕/ムーンゲイト/堕天使/遠近法/シメールの領地/ファンタジア領

    <耶路庭国異聞>
    耶路庭国異聞/街の人名簿/巨人/蝕/スターストーン/黒金/童話・支那風小夜曲集/透明族に関するエスキス/私はその男にハンザ街で出会った/遠近法・補遺

    <破壊王>
    パラス・アテネ/火焰図/夜半楽/繭(「饗宴」抄)

    <掌編集・綴れ織>
    支那の禽/秋宵/菊/眠れる美女/伝説/月齢/蟬丸/赤い糸/塔/天使論

    ゴーレム

  • 久しぶりに読了後の脱力感が半端ない読書体験。すごいわあ、この言葉から喚起される強靭なイメージの力。全体通して読むと、好きな話とそうでもないのと色々分かれるが、あまり物語性のない方がどちらかといえば好きかも。『遠近法』『遠近法・補遺』はとびぬけて頭クラクラするほどだけど、『繭』『傳説』あたりも、すげぇ、かっこいい!と年甲斐もなく身悶えするほど好みだった。読んでも読んでもどこまでも想像の羽ばたく至福の読書タイムでした。

  • 夢で織られた分厚いバームクーヘンを食べるようにして愉しんだ。
    無人島に持っていく本はこれでもいいかも。

  • 「夢の棲む街」を読んだ時に、閉塞感漂う荒涼とした架空の大地がバロの絵と重なった。舞台が架空の土地でも現代のとある町でも、格調高い文体で綴られる物語は目眩がしそうに幻想的。言葉で描かれる幻想絵のようだが、読みながら物語に沿った旋律が生まれるほどに刺激される。見ているだけでは飽きたらず、いつまでも世界に入って遊んでしまう。

  • 発刊当初に読んで「これはすごいものを読んだ」とびっくりし、そして10年以上たって再読。初読の感動は記憶の深さに比例し、再読の喜びも同じだった。最初にいいと思ったものがそのままやっぱりいい。固くて冷たい鉱物のようだ。

    ただすっかり記憶から抜けていたいくつかは、完成度なり方向性なりで今回ははっきりと「そうでもない」の箱に入れざるを得ず(軽く書いた耽美系というか少女系というか)、その意味で星は四つ。山尾さんが書けばなんでも!というファンではないことがわかった。

    10年前と変わらない硬質な光を感じるのは、「夢の棲む街」、「ムーンゲイト」、「遠近法」、「耶路庭国異聞」、「透明族に関するエスキス」、「遠近法・補遺」、「眠れる美女」、「ゴーレム」。「遠近法」は最高。

  • 凄すぎる以外に言葉が出ない。
    「夢の棲む街」
    「遠近法」
    この2作をよんだだけでももうそれでよい。
    凄すぎてなんかもうそれで良い。

  • 奮発した!

  • センスオブワンダーの極致。
    文体の女王。

  • ベストSF2000年4位

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    【要約】


    【ノート】

  • 執拗な情景描写に圧倒されるが、その分物語の筋は希薄に感じる。頭に浮かんだイメージをそのまま描きたかったのだろうと思うが、そのために読ませるための工夫がおざなりとなっている感が否めない。他者が見た夢の話を聞くのは退屈だ。

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著者プロフィール

山尾悠子(やまお・ゆうこ)
1955年、岡山県生まれ。75年に「仮面舞踏会」(『SFマガジン』早川書房)でデビュー。2018年『飛ぶ孔雀』で泉鏡花賞受賞・芸術選奨文部科学大臣・日本SF大賞を受賞。

「2021年 『須永朝彦小説選』 で使われていた紹介文から引用しています。」

山尾悠子の作品

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