日影丈吉全集 1 長編小説 1 (日影丈吉全集)

  • 国書刊行会 (2002年9月18日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (640ページ) / ISBN・EAN: 9784336044112

感想・レビュー・書評

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  • 読んだのは『夢の播種』早川書房
    かなり好みの作風。文章も良いし、適度なユーモアが作品と舞台を深刻にさせすぎず、気持ちよく読ませる。話の本筋とは言えない落語で言えばマクラにあたる部分にも力が込めてあって、「ある絵画論」などは何度も肩透かしを食わせつつ本題に入る構成が笑いを誘う。

  •  レビューというほどのものではないです.
    ざっくりした感想.

    『見なれぬ顔』
     戦後の動乱期にあって,力強く(狡猾に?)生き抜く人々.
    加東志麻夫は,ひょんなことから映画会社に就職するわけだが…….
    私としては,ルージュ・シマ等のモティーフが,些か通俗にすぎるかなという.

    『真赤な子犬』
     解説の通り,当時の流行を一笑に付すかのように色々な遊びがみられる.
    警備員兼ニセ三渡大臣,山東老人が気に入った.
    三渡も山東もサント(ウ)と読め,五ツ木守男が最後の晩餐に用いた毒もサントニン…….
    あれ,これも解説に書かれていたっけな.

    『内部の真実』
     これは,誰が苫を撃ったかを考えるというよりも,その世界観に見るべきものがあると感じる.
    闇夜に浮かび上がるかのような玉蘭(キエクラヌ)の印象が頭にまとわりついて離れない.
    恒子さんの描写など,日影のフランス文学への造詣も散見する.

    『非常階段』
     少し犯人の導き方が不当な気がしないでもないが,それは些末なことだろう.
    金ぴかの玄関をもつビルには,碌々顧みられることもない非常階段が存在する.
    非常階段は,都会の隅に蠢く怪物であるかのように,二戸の死体を飲み込み,そして吐き出した.その様子を思うと少しうそ寒くなる.

    『応家の人々』
     応氏珊希(サンの字が違うかもしれない)という黒衣夫人の周りで,死んでいく男たち.
    久我中尉は,ある事件を調べるよう命じられ,その調査に奔走するわけだが,
    道中の廟の描写など,随所に作家の才覚が表れる.
    暑さに沈む街の,くたびれた氷屋などは,眼前に店が現出するかのようだ.

     私個人の考えでは,日影丈吉は短編や幻想小説を書かせたら最高の作家なんだけど,
    長編はものによってはだれてくる感じがしないでもない.
    しかし,本集中にある『内部の真実』『応家の人々』のような,台湾を舞台にとった長編も好きなのよね~.
    まあ,何が言いたいかというと,結局日影丈吉が好きということなんだけど.

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著者プロフィール

日影 丈吉(ひかげ・じょうきち):1908年、東京都生まれ。小説家、翻訳家、料理研究家。アテネ・フランセ卒業。フランス語教師および料理研究・指導者等を経験したのち、49年『かむなぎうた』で作家デビュー。56年『狐の鶏』で日本探偵作家クラブ賞、90年『泥汽車』で泉鏡花文学賞を受賞。91年没。

「2024年 『ミステリー食事学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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