レイトン・コートの謎 世界探偵小説全集 36

  • 国書刊行会
3.69
  • (3)
  • (23)
  • (11)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 87
感想 : 19
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (326ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784336044365

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ミステリーの読み方ってのが長らく私は分からないでいる。なぜならトリックを楽しみにミステリーを読むっという方がいるというのが私は信じられないのです。トリックとか犯人が誰だとか家の見取り図とか誰がなんか言ってたとか読んだ先から忘れてしまうからです。
    それに多くのミステリを読んだわけではないからおそらくだけれど、主人公はきっと自慢げに「犯人分かっちゃったよ」って言うはずです。ミステリーを読む以上主人公のそれは避けることができない。故に読む気がしない。それを我慢したところで今度はその台詞が出る前に犯人が分かったという読者もいる。これは現実の人間だから煮るなり、焼くなり好きなように出来る。あなたが不幸にもそのような人に出会ってしまったその時は友人であるあなたの犯行を私が見事に正当防衛と証明してみせるから、ご安心を。
    しかしながら不幸にも私の友人でない諸君は、こうするべきだ。つまりもしあなたの周りに多くの友達がいるのならばミステリーが好きという友人は切り捨てたほうが懸命だ。もし友人が少ないのなら嫌々ながらつきあえばよろしい、友人ほど尊いものは無いと多くの児童文学は語っている。
    このようにマゾヒスティックに自分をいじめ抜くアスリートになったところで、さらに質の悪いのは自称ミステリオタクで、自分の現実に事件なんてものが無いがためにレビュアーという衣装で身を隠し仮想現実で自分の有能さをアピールする輩である。
    あなたをそんな人にさせないために、ささやかだけれど役に立つレビュー

  • 迷探偵ロジャー・シェリンガムの長編1作目で、初版の作者名は”?”でよく売れたそうです。▲レイトン・コートに滞在中、招待主のスタンワース氏が自殺した。額を撃ち抜かている上、不審な行動が目に付くことから殺人と睨み、友人アレックをワトソン役に2人でこっそりとアマチュア探偵を開始した▼リアル志向なので、怪奇趣味やドラマチックな展開はありません。探偵が大戦帰りのベストセラー作家、自信満々な上、思い込み、間違え、行き違いと迷走しまくりですが、常識的で飛躍の無い良いユーモア本格ミステリに仕上がっています。(1925年)

  • ともかく推理を間違えまくって、それでもめげずにと言うか、なんか自信にあふれるがままに突き進んで最後には何だかんだと真実に辿り着く。しかもいちいちハッタリを効かせたりと、妙に雑というか、適当な感じがある意味親近感をわかせて、これまた愉快な。
    しかしこの時代の50年くらい後の推理小説だったら、間違える度にどんどん新たな犠牲者が生まれそうだけど、そうならないのは時代というか。考えてみりゃ殺人なんて1件でも酷い話なのに、段々と大量に殺されるようになって、ホント、人間の欲望は果てしないネバーエンディングストーリー。

  • ロジャー・シェリンガム・シリーズ、一作目。デビュー作。
    バークリー作品を読むのは八作目。
    さすがロジャー・シェリンガム、一作目から迷探偵らしさ全開でした。
    ユーモアに溢れ、すいすい読める。
    ロジャーの推理が崩壊すると共に、どんどん展開が変わり、意外な結末へ。
    個人的に、最終章は心が震えた。
    今のところ、著者の作品では『最上階の殺人』に次いで、二番目に好きな作品に。
    (『毒チョコ』『殺意』『試行錯誤』などは未読)

  •  ロジャー・シェリンガムの登場作。この人こんなにとぼけたキャラだったかな、というくらいドタバタ推理を繰り広げるユーモア小説。ワトソン役のアレックとの息の合わない掛け合いが笑える。見当外れの推理を堂々と開陳してははずれて振り出しにもどり、それでもめげずにまた新たな手がかりから別の真相をひねり出すという連続。登場人物も少なく事件も単純なので話はわかりやすい。一見迷走しているように見えながら、実はロジャーの推理は鋭く的を射ていて、じわじわと真相に迫っていき、最後は意外な結末が明らかにされる。最初から最後まで憎めないロジャーに引っ張り回されっぱなしだけど、途中経過も十分楽しめてそれでいてちゃんとしたミステリになっているところはさすがにうまい。

  • ロジャー・シェリンガムシリーズです。
    ある夏の日の朝、レイトン・コートの主人スタンワース氏の額を撃ち抜かれた死体が書斎で発見されます。
    現場は密室状況にあり、遺書も発見されたことから警察の見解は自殺に傾いていたのですが、不可解な死体の状態や滞在客の不審な行動を目にとめた作家のロジャーは自殺説に疑問を感じ、素人探偵の名乗りをあげます。
    友人アレックをワトスン役に指名し、自信満々で調査に取りかかったロジャーなのですが、この調査というかロジャーの迷走振りがおもしろいのです。
    当初?名義で発表され、たちまち人気を博した英国探偵小説黄金期のアントニイ・バークリーの輝かしい出発点です。

  • 探偵シェリンガム(この時点ではまだ作家)の第一作。随所に「探偵」に対するパロディ精神が感じられると言いますか、揶揄しつつも探偵小説に対する愛が感じられる作品で楽しく読めた。
    特に、「プリンス」のくだりでは声を出して笑った笑った。
    シェリンガムが精力的に活動しまくってて愛らしいよ。

  • バークリー先生は予想外の真相というくくりで見るため、どうしても怪しい人物がわかってしまう。

    警察の捜査ってこんなに杜撰でいいのかしら、という印象。探偵のために世界が存在するかのような世界観。

    それでも密室の解決方法は満足できる内容。

  • 2010/1/17 購入
    2014/11/8読了

  • ロジャー・シェリンガム・シリーズ

全19件中 1 - 10件を表示

アントニイ・バークリーの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
フランシス・アイ...
ドロシー・L・セ...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×