屍衣の流行 世界探偵小説全集 (40)

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  • Amazon.co.jp ・本 (407ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784336044402

感想・レビュー・書評

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  • この作品、読んでる最中はかなり苦労して、読み終わった後に反芻するとジワジワ面白さが伝わってくる系統の作品ですね。
    冒頭三分の一は登場人物の描写と置かれている人間関係を描くのに使っていて事件は全く起きない。ここでようやく事件が発生しますが、またここからの三分の一がその事件に対する各自の心理描写が続き、なかなか事件が解決に向かって進展しない。最後の三分の一になってようやく探偵役であるキャンピオンにエンジンがかかって解決へと向かいますが、とにかく全体を通して『心理戦』なので(訳者の人が言ってましたが、一文が長い。私は個人的にはどの文章も表現が抽象的すぎて捉えづらいと感じました)、解決までせっかちな私はイライラしながら読む読書になってしまいました……。
    面白いとは思うのですが、初読の時が辛いですね。再読の時は楽しめそうです。後から振り返ると、これだけ人物を描く必要があったとも言えるのだなあ、と反芻……。

    あ、キャンピオンがものすごい兄属性要素出してきたので、そこは萌えました!!

  •  この著者の最高傑作という触れ込みなのだけどいまひとつ。華やかな世界の登場人物は多彩で人間関係も興味深いものらしいが、事件自体は地味でミステリとしてはどうなんだろう。この中の誰かが犯人であってそれは意外だといわれればそうだけど、犯人像も動機もぱっとしない。途中の紆余曲折は退屈なばかりだし。そういう総体的な色々を面白いと見るかどうかで評価が分かれるのだろう。ぼくはダメでした。

  • 女王クリスティーがその才能を羨んだという英国ミステリ界の巨匠マージェリー・アリンガムの代表作です。
    ですが、派手さがなく、読んでいて少し退屈気味でした。
    派手なトリックの面白さではなく、精緻な人間描写の積み重ねを堪能するべき作品です。
    1つの文章が長く、とても味のある文章です。
    3年前に謎の失踪を遂げた人気女優ジョージアの元婚約者が藪の中から白骨死体で発見され、真相解明を依頼されたアルバート・キャンピオンはジョージアに接近します。
    そこにはキャンピオンの妹でファッションデザイナーのヴァルの姿もありました。
    キャンピオンは暗い噂の絶えない夫レイモンド等の複雑な人間模様を目撃します。
    数週間後、シーザーズ・コートで催されたレイモンドのアフリカ飛行壮行式典の最中、ついに事件は起こります。
    レイモンドが死んでしまうのですが、これが自然死か殺人かどうもはっきりしないのです。
    巧妙な計画殺人にキャンピオンが挑みます。

  • M・アリンガム初読。独特の文章。訳者によると、一文が長いのだとか。視点も動く。ストーリテリングは面白いが、解決篇がすっきりしない。

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著者プロフィール

本名マージェリー・ルイーズ・ヤングマン・カーター。1904年、英国ロンドン生まれ。別名マックスウェル・マーチ。文筆家の家系に育ち、16歳で長編小説を書き上げる早熟の天才ぶりを見せ、1923年に冒険小説"Blackerchief Dick"を発表、27年には犯人当ての長編ミステリ「ホワイトコテージの殺人」を新聞連載している。"The Crime at Black Dudley"(29)に端役で登場したアルバート・キャンピオンは"Look to the Lady" (30)以降の作品でシリーズ探偵となる。映画化された「霧の中の虎」(52)や英国推理作家協会賞ゴールド・ダガー賞の次点長編「殺人者の街角」(58)など、数多くの長短編が書かれた。66年、シリーズ19作目の長編"Cargo of Eagles"を執筆中に死去。同作は夫フィリップ・ヤングマン・カーターによって補筆・完成された。

「2023年 『ファラデー家の殺人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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