割れたひづめ 世界探偵小説全集 44

  • 国書刊行会
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (325ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784336044440

作品紹介・あらすじ

「あたしがやるようにやってごらん、割れ足さん!」少女の声に応えてすばやく答えが返ってきた。トン…トン…トン…。雪深い山中で道に迷ったベイジル・ウィリング夫妻が一夜の宿を求めた屋敷"翔鴉館"には、そこで眠る者は翌朝には必ず死んでいるという開かずの部屋があった。その夜発生したポルターガイスト騒ぎのあと、不吉な伝説を打ち消すため、くじで選ばれた男がその部屋で寝ずの番をすることになったが、30分後、突如鳴り響いた異常を知らせる呼び鈴の音に駆けつけた一同が目にしたのは、伝説どおり謎の死を遂げた男の姿だった。H・R・F・キーティング"名作100選"にも選ばれたヘレン・マクロイの後期代表作。

感想・レビュー・書評

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  • 精神科医ウィリング12作目。

    スキーにでかけたウィリング夫妻。
    道に迷い、車は故障し、ギゼラが足にけがをしてしまう。
    ようやく見つけた屋敷に泊めてもらえることになったが、
    その屋敷には夜を過ごした人が死んでしまうため、
    使われていない部屋があった。
    夕食の席にはポルタ―ガイストが起こり、
    一人がその部屋で寝ずの番をすることになり、
    案の定、その男は死ぬ。

    どうも題材によって、すごく面白く感じる時と、
    感じないときがあるようだ。
    残念ながら今回の、
    ポルターガイストや、知らざれる空間のある屋敷、
    にせのラブレターにはどうも面白味を感じないようだ。

    殺し方が判明した時、
    ぱらら~と言うトランペットの音が聞こえた気がしたのは
    私だけではないと思う。

  • オカルト風の雰囲気溢れる本格ミステリ。どこからともなく聞こえるラップ音、泊まると必ず死ぬ部屋、などという要素がホラー好きにはたまらないのだけれど。もちろんそれが論理的に解かれる様子にもわくわくさせられます。
    まあ、書かれた時代が古いので。現代では通用しないだろうなあ、と思う部分は多々あるのですが(検死がかなりお粗末だなあ、と)。それでも面白さが削がれるとは思いません。むしろこの館等の古びた雰囲気もまた大きな魅力のひとつになっていると感じました。

  •  マクロイ女史は何冊目かな。さすがに達者なものだ。ルシンダとヴァーニャが仕組んだボルターガイストのいたずらが意外なことになるところで読み手を怯えさせ、伝説の死の部屋への挑戦でありえないはずの死亡事件が起こることでさらに震撼させる。雰囲気的にはよくできている。しかし、ミステリとしてみると殺人事件なら犯人がいるはずなので、それが非常に限られてしまうだけに意外性には乏しい。ベルがなぜ鳴ったかとかひづめの音の出どころとか、うまくいくんかいなというところもある。最後の自暴自棄としか思えない犯人の暴走も結末としては安易だし。怪奇趣味な雰囲気を楽しむべきものということか。

  • オカルトチック・ミステリ。
    本格ミステリながら、二人の若者が事件を掻き乱す展開が個性的。
    トリック以外の部分に、十分な魅力がある。

  • ペイジル・ウィリング・シリーズ

    雪道で車が故障しギゼラが足を怪我してしまったウィリング夫妻。たどり着いた屋敷に迎え入れられたが・・・。館の借主・フランシス・スウェインと後妻フォリー。前妻の娘ルシンダと友人のヴァーニャが計画したいたずら。屋根裏から聞こえてきたデイヴィッド・クロウと妻サリーナの口論。サリーナの浮気を疑うデイヴィッド。会食中に聞こえたラップ音。その部屋で一晩を過ごすと死ぬと言われる部屋。そこで殺害されたデイヴィッド。皆が監視する中での殺害。事件の捜査に当たるウィリング。ルシンダとヴァーニャが夫婦の口論を気付かせようとして書いた偽の手紙。何者かに殺害されたサリーナ。

  • 誰が犯人かはすぐにわかっちゃったんだなー

    でも、怪談を絡めた話を書かせたらこの先生の右に出る者はいなかろう。

  • 1150

  • 本格ミステリという観点から見ればそんなに大した謎ではないと思うんだけど、怪奇的な舞台装置といい物語の進め方のユーモラスさといい読んでて楽しくてしょうがなかった。開かずの部屋で起きた殺人事件に捜査を混乱させてしまう二人の悪ガキの悪戯、そしてそれによって進められる捜査過程の読者への提示。いやうまいうまい。一気読みだったし。小説としてとても楽しめたという感じ。

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著者プロフィール

Helen McCloy

「2006年 『死の舞踏』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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