宇宙舟歌 (未来の文学)

  • 国書刊行会
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感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (243ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784336045706

感想・レビュー・書評

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  • 宇宙版『オデュッセイア』。世界中の神話を引用した法螺話が続出する。そのあけっぴろげで大風呂敷を広げた語り口がジョイスの『ユリシーズ』でパブに群れ集う酔っ払い同士のあけすけな会話を思い出させる。作家がアイルランド系の生まれというのが納得できる独特の作風。アイリッシュが好きな人には絶好の読物。抱腹絶倒しつつ、英雄の孤独というものを噛みしめることができる。

  • 途中で放ったままだったラファティの長編2冊め。
    ラファティの長編は読みにくいけど慣れるとぐっと引き込まれるのがわかった!

    ロードストラム御一行が、戦争終わって「世界」に帰るまでの寄り道のおはなし。
    下敷きのホメロスの叙事詩「オデュッセイア」に関しては一般常識程度でしか知らないが、十分に楽しめる内容。
    たらふく食って戦って死んだり、宇宙を支える男とちょっとだけ代わったり、世界を賭けた賭けに買ったり負けたり、
    キルケーに動物にされたり、セイレーンの歌の最後の一音を手に入れたり、
    羊男を助けたり、食ったり、食われたり、死んだリ、蘇ったり、<どーん!>ボタンを押したり、火星から地球まで歩いて還ってめでたし、めでたし…ではなく、
    新たなる冒険への旅立ちで終わるのは、冒険譚の慣らい。

    適当で大雑把な冒険譚に、読んでてぼーっとしてくる。で、たまに出てくるSF的科学用語。
    これは、本当にラファティじゃないと書けない。
    「ラファティのように書く作家はどこにもいない。いまだかつて一人もいたことがない」というスタージョンの言葉のとおり。

    「高度に発達した科学技術は、魔法と見分けがつかない。」というのは、.クラークの三原則のひとつ。
    「高度に発達した法螺話は、神話と区別つかない」というのはラファティの法則。
    わかりやすく奇想天外、吾妻ひでおに漫画化してもらいたいなあ。

  • [ 内容 ]
    かのホメロス「オデュッセイア」の舞台を宇宙におきかえ、われらがロードストラム船長とその乗組員たちが繰り広げる大冒険を綴ったラファティ版英雄叙事詩。
    一行が向かうのは、快楽を貪る世界、巨人たちが毎日死ぬまで戦う世界、時間が異様に速く過ぎる世界、そして人喰い世界。
    世界のすべてを支える男の替わりを務めたり、はたまた動物に変身させられたり。
    危機また危機!
    故郷ビッグ・タルサにたどりつくのはいつの日か…奇想天外なアイデアの連続、どす黒いユーモアと幻想的ロマンティシズムに彩られた奇妙奇天烈な豊饒世界。
    偉大なるほら話の語り手、ラファティによる傑作長篇がついに登場。

    [ 目次 ]


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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 宇宙版『オデュッセイア』。とはいえオデュッセイアをちゃんと読んだことなくても、十分楽しめるし、有名なエピソードは意外と知っているもの。
    科学が進歩したからこそ神話が必要になるというスタンスはなんとも面白く、出てくる話はいつものラファティ節全開で、本当にホラ話ばかり。それなのになぜか真面目な内容に感じられるのが面白く、この作者の力量だと思う。実に個性的。

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