ゴーレム 100 (未来の文学)

制作 : Alfred Bester  渡辺 佐智江 
  • 国書刊行会
3.63
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本棚登録 : 287
レビュー : 34
  • Amazon.co.jp ・本 (498ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784336047373

作品紹介・あらすじ

22世紀のある巨大都市で、突如理解不能の残虐な連続殺人事件が発生した。犯人は、ゴーレム100、8人の上品な蜜蜂レディたちが退屈まぎれに執り行った儀式で召喚した謎の悪魔である。事件の鍵を握るのは才気あふれる有能な科学者ブレイズ・シマ、事件を追うのは美貌の黒人で精神工学者グレッチェン・ナン、そして敏腕警察官インドゥニ。ゴーレム100をめぐり、3人は集合的無意識の核とそのまた向こうを抜け、目眩く激越なる現実世界とサブリミナルな世界に突入、自らの魂と人類の生存をかけて闘いを挑む。しかしゴーレム100は進化しつづける…『虎よ、虎よ!』の巨匠ベスターの最強にして最狂の幻の長篇にして、ありとあらゆる言語とグラフィックを駆使して狂気の世界を構築する超問題作がついに登場。

感想・レビュー・書評

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  • 再読月間ですから。グダグダと炬燵や布団の中で読みながら、私も100乗召喚できる身分になりたいなァとか退廃的な妄想にふけって楽しむのがベスト。

  • 分解されなかった男。

  • 高橋源一郎のやりそうな、ガチャガチャと詰め込まれた宝石箱のように、言葉をフィクションの中で論理立てずに放り繋げた感覚。挿絵などからするに、一種のLSD芸術の感がある。ディテールが自己満足の仕掛けになっており、ピタリと感性が合う読み手か、相当ゆっくり読む読み手しか気付かないギミックに溢れている。だから、人によっては、難解な感じもすれば、消化不良にもなるだろう。自分は、実はこうしたやり方は苦手なので、正直言うとキツかった。

  • 阿部公房を 読んだ時の感覚に似ている。内容は 漏らさず 読みきったのに、消化不良感が残る

    過剰なフィクションに 頭がついていかない。読めないのに 作家買い、ジャケット買い してしまうので、SFが嫌いなわけではない。数年後に 読もうと思う


    子供っぽい 下品表現 や 絵は 少ない方が、近未来のバイオレンス感は 伝わった気がする。割と 日本要素が 散りばめられていた

  •  アルフレッド・ベスターは伝説である。
     『分解された男』(別名『破壊された男』、しかし『解体された男』くらいがいいんじゃないかな)も『虎よ、虎よ!』もその内容はさっぱり忘れてしまったが、強烈な印象だけが残っている。
     アルフレッド・ベスターは天才である。
     天才には初期に大傑作をひとつぶたつ飛ばしただけで終わりとか、あとは鳴かず飛ばずといったタイプがいるが、やはり彼はそれに近いのではないかと思う。『コンピュータ・コネクション』は、何か変、という印象だけが残っている。
     アルフレッド・ベスターは悪趣味であり、猥雑である。
     本書『ゴーレム100』の「100」はスーパースクリプトであり、変幻自在の形態を持つ百手の泥人形。次々と殺人を犯すこのゴーレムを追う探偵物語の体裁を取る。探偵役の3人が登場してくる冒頭のテンポ感はたまらなくいい。しかしその後の展開の奇妙なこと。終結はまるで予想がつかなかったことは白状しておく。
     初期2作では怒りに駆られた主人公が物語の軸をなし、悪趣味も猥雑も、主人公の激情の渦動に巻き込まれて収束していく(といった内容だったんじゃないかな)。ところが、『ゴーレム100』では登場人物は操り人形のような、まさに「キャラ」が立っているだけである。それを先進的と呼ぶなら呼べ。
     耳元で常にウソウソウソウソと囁かれ続けながら読まされるフィクション。
     アルフレッド・ベスターは故人である。
     だから、あなたは本書を買って読まねばならない。そうすれば、『虎よ、虎よ!』も再刊されたように『コンピュータ・コネクション』も再刊されるかも知れないし、最後の長編も翻訳されるかも知れない。『分解された男』の新訳も出るかも知れない。
     山形浩正氏の解説付き(悪趣味も猥雑も山形氏の形容)。

  • 西暦2175年。カナダからサウスカロライナ州にかけてのびる<北東回廊>はスラムと化していた。なかでも旧ニューヨーク地区は<ガフ(でまかせ)>と呼ばれ、ありとあらゆる悪徳がはびこる無法地帯となっていた。ただ、そのジャングルは常時死と隣り合わせであるだけに、金の力で住居や移動の安全を確保することができる一部の特権階級にとっては、より一層生の輝きが増す場でもあった。その一方で、大衆は半年の間も続く冬の寒さや慢性的な水不足に悩まされ、入浴や洗濯ができないことから北東回廊には耐えられない悪臭が漂い、それを厭うため香水に対する需要が爆発的に増大した。

    160年ほど先の未来が舞台。ベスターが描く<ガフ>は、混沌としてはいるが猥雑で生気に満ちた映画『ブレードランナー』に出てくる街のようだ。格差社会は二極化が進み、有閑階級は豪華な<オアシス>にいる限り、安泰だがいつも退屈をもてあましていた。女王蜂リジャイナが率いる八人の蜜蜂レディたちが退屈しのぎに始めた悪魔召喚が事の起こりであった。たびたびの召喚にもかかわらず悪魔は一向に姿を現さない。一方、<ガフ>の警察組織の隊長インドゥニは、目の前で証拠物件が消えてしまったり、百の手が人体から腸を引っ張り出したり、というそれまで見たこともない残虐な殺人事件の群発に手を拱いていた。

    同じ頃、香水製造会社CCCでは、ヒット商品を開発してきたシマ博士の様子が近頃おかしいことに困惑し、セーレム・バーンという魔術師を雇う。バーンはシマがフーガという一種の夢遊病状態にあることを見抜き、精神工学者グレッチェン・ナンに頼ることをすすめる。フーガ状態にあるとき別人格のシマが歩くコースと殺人現場が重なっていることが判明し、ナンとシマ、インドゥニの三人が協力して、奇怪な事件の犯人ゴーレム100(百乗の意味)を追う。死体に残されていたプロメチウムという希土類元素を手がかりに、無意識界に潜入し、ゴーレムを追うシマとナン。ゴーレムの正体はフロイトのいうイド。一人一人の時は超自我によって抑圧されていた死の衝動や性衝動が、八人が集合して儀式を行なったことで、本人たちの気づかないままに発動していたのだ。

    1980年に発表されながら、翻訳の難しさもあって邦訳が遅れていたアルフレッド・ベスターのSF長篇である。読み終わった後で思うのは、こんな面白い作品が未訳のまま放っておかれたなんて、という驚きだった。確かに、三十五年もたっているので、フロイト学説もそうだが、今となっては懐かしい、と感じられる部分もある。しかし、そんなことはどうでもいい。サイバーパンクの先駆ともいえるようなカーニバル的興奮に満ちた<ガフ>の描写。主要な登場人物三人の人物像のくっきりとした描き分け。生き生きとした会話の妙味。楽譜や挿絵といった図版を駆使したタイポグラフィーの実験。SFに限らない文学的自己言及。何よりも、あからさまなまでにセックスや殺人に対する通俗的な興味をかき立てながら、内宇宙という超俗な位相に展開するそのアイデアに満ちたストーリーが読ませる。

    エピローグはジョイスの『フィネガンズ・ウェイク』を思わせる造語で綴られている。柳瀬尚紀の訳を思い出させるその奮闘振りを見ても、訳者の苦労をしのばせてあまりある。本文も俗語、卑語を多用した掛け言葉等の続出で、なるほどこれでは翻訳が遅くなったのも無理はない、と思わされた。原語で読んで見たいなどという恐ろしいことはちらっとでも頭をかすめはしなかったが、解説の中で、一部なりと原文を紹介するような労をとられたなら、翻訳の意義がもっと伝わったのではないか、と思った次第。

  • ★2.5。良かったところは無意識世界に潜入していく場面をイラストで表現していること。色々なイメージが喚起されてグッと引き込まれた。恐怖を感じるのに文章よりも効果的だと思った。悪い点は登場人物達の会話がまだるっこしく、がラノベみたいな安っぽいしゃべり方をするとこ。海外作家ものを読んでる感じがしない。特にインド人警視が軟弱な執事みたいな話し方で萎える。あと惨劇がみんな事後で、ゴーレムが暴れるシーンがないこと。

  • 【選書者コメント】題名からして意味不明。

  • 凄まじい。狂ってる。

  • なんだろう、すごい!表現が新しい。

    楽譜、大量の絵

    シマ、蜜蜂レディー達の存在感がだんだん薄くなっていくのはご愛嬌。ディーテールがよくわからないのはご愛嬌

    ニュートリノ見るぐらいはすでにありそう。

    最終章も一応読めるし、ものすごくくだらない。

    自由奔放と新しさを感じる

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