愛の世界―ボウエン・コレクション

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  • Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784336049872

作品紹介・あらすじ

むせ返るような六月の夏、ロンドンからアイルランドの故郷に戻った美しい少女ジェインは、屋根裏のトランクから古い手紙の束を見つける。差出人のイニシアルはG-第一次大戦で戦死した、母の許婚ガイのサインだった。過去につなぎとめられた愛と今を生きる愛と。死者のガイに恋をしたジェインが手紙から明らかにする過去の真実とは-。

感想・レビュー・書評

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  • アイルランドのビッグ・ハウスを舞台にした独特の作品。分かりにくいのはどうも訳者のせいではなさそうだ(解説で訳者自体が難解さを説いている)、誰か映画化してくれないかな。
    20世紀イギリスを代表する短編の名手らしいので、今度短編集を借りてみよう。

  • 国書刊行会のボウエン・コレクションは全3巻で完結。これが完結編……でいいのだろうかw
    タイトルから真っ当な恋愛小説を一瞬想像してしまうが、そこはエリザベス・ボウエン、一筋縄ではいかない。イヴリン・ウォーの『ブライヅヘッドふたたび』を彷彿とさせる郷愁の物語だった。『郷愁』が何に対するものかは色々あるだろうが、個人的には古き良き英国、大戦前の時代へのノスタルジーなのではないか、という気がした。『ブライヅヘッドふたたび』にもそういうところがあるしね。
    ボウエンの邦訳が増えることを祈って……(但し、「日ざかり」だけは吉田健一訳で復刊してね!)。

  • 死んだ青年兵士の残した恋文を巡る、3人の女性の揺れを描く。あまり完成度の高い小説とは思われなかったが、ところどころ言葉の持つ喚起力の冴えに、息を呑む場面があった。

  • 「甦った思い出をもたらす緊張感に人は疲れ果てる。肉体はともかくあるだけの細胞が消耗する。真実が露わになると、薄くなっていた布地は擦り切れる。その日の午後、ほかの者たちが眠りにつき、フレッドは自分の仕事場という聖域に引きこもり、リリアはベンチに戻り、清澄さが残っていないか探してみた。しかし、庭園は今朝がたはあった名残はもうなくなっていた。潅木は自らの物語に幕を下ろし、日時計が独りそびえていた。乾ききった色彩だけが、あざ笑うように消え残っている。」

    文章は決して読みやすいものではない。けれどもずっしりと重く、かつ洗練された文章で、私は好き。


    物語の最後の一文が私が好き。

    森林の描写や光加減の描写が、とても気に入った。

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著者プロフィール

Elizabeth Dorothea Cole Bowen (7 June 1899 – 22 February 1973)

「2012年 『なぜ書くか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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