歪み真珠

著者 :
  • 国書刊行会
4.05
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本棚登録 : 583
レビュー : 41
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784336050212

作品紹介・あらすじ

歪み真珠なイメージが渦巻く15の幻想掌篇小説集。

感想・レビュー・書評

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  • 装丁も素晴らしい贅沢な本。
    せっかくの珠玉作品集なので、
    半端なところでブツ切りにするのはもったいないから、
    必ず1編ずつ読み切って本を閉じようと最初に自分内ルールを決めた。
    短距離を息継ぎなしで泳ぎ、一息入れてはまた泳ぐといった感覚だった(笑)
    それはさておき、
    澁澤龍彦による幻想文学新人賞選評「もっと幾何学的精神を」
    および「ふたたび幾何学的精神を」に、

     明確な線や輪郭で、細部をくっきりと描かなければ幻想にはならない【*】

     あいまいな、もやもやした雰囲気の中を、
     ただ男や女がうろうろと歩きまわるだけの話をいくら書いたって、
     そんなものは幻想でも何でもありやしない。【**】

    という手厳しい言葉があるが、なるほどなぁ。
    その点、山尾作品は明晰な文体を駆使して
    見事に解像度の高い別世界の映像を見せてくれるから好きだ。


     【*】澁澤龍彦『都心ノ病院ニテ幻覚ヲ見タルコト』(学研M文庫)p.152
     【**】同p.156

  • 鉱物に例えられることの多い山尾悠子の文章。言葉の端々まで意識を行き届かせながら自身の影をチラリとも見せないその様子は、まるではじめから完成した作品そのものが見えていたかのようで、すでにある世界の断片をすいと掬い上げただけといった趣すらあるが、別の機会に見かけた手書き原稿に残る多くの修正の跡に、それが全くの勘違いだと気付かされる。
    推敲を重ね、丹念に磨き上げることで、この硬質で豊かな世界は生まれたのだろう。例えば魅惑的な文章をうっとりと味わうような心持ちとして陶酔・陶然といった言葉があるが、山尾悠子の作品にはもう少し距離を置いた、輪郭のくっきりした表現が似合うように思う。ゆらゆらと酔うのではなく、シラフのまま、一点を見据えながら酔い続けるような。ふと快い感触を覚え手を開くと、そこにはあのヒヤリとした重さを持つ、しんと輝く鉱物がある。

  • 仮面物語に衝撃を受けて以来のファン。

    私の理想とするものはここにあるのかもしれない。
    硬質で、艶のある独特の文体。
    そっと舐めてみたくなる。

    はぐらかすような、わざとこちらを煙に巻く書き方だけれど、がっかりしない。
    そんなの彼女だけなのです。

  • 歪み真珠、つまり、バロックとはまた直球な(笑)

  • 後書によると多くの短編が「幻想文学」が初出の由だが、面白くない."幻想"だからそれで良いのかもしれないが、実態がつかめない話が延々と続くのには閉口した.たぶん元になる話、例えばギリシャ神話、などがベースになっていると推測したが、その方面の知識がないので、文字を追うだけの読書になった.

  • 短編集。
    独特の言い回しと世界観。
    表現が面白い。

  • 短編種15編
    「歪み真珠」というタイトルはこの作品集のすべてを言い表している.
    「マスクとベルがマスク」「ドロテアの首と銀の皿」が良かった.

  • 武蔵野大学図書館OPACへ⇒ https://opac.musashino-u.ac.jp/detail?bbid=1000124886

  • この方の作品は、浸るのにはもってこい。
    読んでいる間ずっと、不思議な世界に入っていられる。
    夜に読むのがいいな。
    心地よかった。

  • 発売延期で気を揉まされたので、手にしたときは感動!
    寡作家らしい、手の込んだ装丁だし。

    さて、中身の方は。
    なーんかー色気ないなーと3編ばかり読み飛ばしていたら、いきなりガツン、と来た来た。 ^^/

    「聖アントワーヌの憂鬱」が良かったなあ。
    ちょこ〜っとだけ、ユルスナールの「老絵師の行方」の
    師弟を彷彿とさせました。
    公衆の面前にこれを読んでいる自分を晒したくない、
    雰囲気たっぷりの掌編でした。

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著者プロフィール

山尾悠子(やまお ゆうこ)
1955年、岡山市生まれの小説家、歌人。寡作ながらその幻想文学は極めて高い評価を受けており、執筆中断期間もあったことから「幻の作家」「伝説の作家」と言われることもある。
同志社大学文学部国文科に入学し、高校までに読んできていた泉鏡花を専攻(のちに泉鏡花文学賞受賞という機縁もある)。大学在学中の1973年、「仮面舞踏会」が『S-Fマガジン』SF三大コンテスト小説部門の選外優秀作に選ばれたことをきっかけに、1975年11月号の「女流作家特集」で同作を掲載し20歳でデビュー。
1980年に書き下ろし長編『仮面物語』、1982年歌集『角砂糖の日』を刊行。1985年以降は出産・育児で発表が途絶えていたが、1999年に復活、2000年に国書刊行会から『山尾悠子作品集成』を、2003年には2作目の書き下ろし長編『ラピスラズリ』を刊行。
2018年刊行、15年ぶりの長編となった『飛ぶ孔雀』が第46回泉鏡花文学賞を受賞した。日本文藝家協会会員。

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