イビクス ネヴゾーロフの数奇な運命 (BDコレクション)

  • 国書刊行会 (2010年11月10日発売)
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Amazon.co.jp ・マンガ (538ページ) / ISBN・EAN: 9784336052803

みんなの感想まとめ

生き延びることへの執着と運命を探求する主人公の物語が描かれています。ロシア革命という tumultuous な時代背景の中で、ネヴゾーロフは様々な土地を彷徨いながら生き抜く姿が、独特の夢幻的なタッチで...

感想・レビュー・書評

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  • あまりの暑さに、未だにジル・ドゥルーズ『無人島』を読む気力が湧いてこない。
    仕方がないので、今回もまた国書刊行会の〈BDコレクション〉の一冊である本書を手に取った。/

    帯の背に《トルストイ作品を超えるバンドデシネ文学の傑作》とあるが、このトルストイとは、『戦争と平和』のレフ・トルストイではなく、『おおきなかぶ』などのアレクセイ・トルストイの方である。
    これは誤解を招く。
    うっかり間違えて買わせるためでないのであれば、最低限「A・トルストイ」と表記すべきだろう。
    どう考えたって、この国でトルストイと言えば、レフ・トルストイの方なのだから。/

    ラバテの絵は独特だ。
    先日読んだ『アランの戦争 アラン・イングラム・コープの回想録』のエマニュエル・ギベールの絵と比べると、ギベールの絵がマイケル・ウィンターボトム監督の映画『ひかりのまち』(1999年)を思わせるようなほのぼのとした心あたたまるような絵だとすれば、ラバテの絵では、主人公をはじめとして登場人物すべてが悪人としか見えない。
    テーブルに突き刺さりそうな尖ったあご、何か企んでいそうな陰険な目つき、衣服の裾までもが、剣のように尖っている。
    こんな映画はあまり観たことはないが、あえて映画に喩えるならば、深作欣二監督の『仁義なき戦い 広島死闘篇』(1973年)あたりか?
    もっとも、映画のような湿った陰惨さは本作には見られず、あるのは獣の如き生への執着のみだ。/


    この作品には、およそ美しいものは一切登場しない。
    いつも黒づくめの服を着たゴギブリのようなネヴゾーロフが、ロシア革命後の混乱の中を、ペトログラード、モスクワ、ハリコフ、オデッサ、イスタンブールと這い回る、いわばピカレスクロマン(悪漢小説)なのだ。
    主人公をはじめとして彼が出会う人物たちは、詐欺師、スパイ、軍人、農民、娼婦たちであり、誰もが皆、自らが生き延びることにのみ血道をあげ、他者への配慮など一顧だにしない。
    ふと表紙の挿絵が目に留まった。
    ネヴゾーロフが馬に跨っている絵で、痩せ型の体型がどこかドン・キホーテを思わせる。
    だが、このドン・キホーテには奉ずるべき騎士道精神など、もはやどこにもない。
    本能のままに、ただ生き延びることだけが問題なのだ。/


    【世界が流血と大火で崩壊するとき、戦火が街を焼き尽くすとき、兄弟同士で殺し合うとき、あんたは金持ちになる。】/


    《すでに『文学とは何か』のなかでサルトルは、作家の理想を描いていた。「作家は、あるがままの世界を、生の、汗まみれの、悪臭ふんぷんの、日常的な世界を取り戻し、自由の基礎の上に立って、さまざまな読みの自由に対してそれを提示する。》(「彼は私の師だった」/ジル・ドゥルーズ『無人島 1953-1968』/宇野邦一 他訳/河出書房新社/2003年)/

    サルトルの言葉に触れるとき、『イビクス』もまた、たしかに文学だったのだと了解する。/

  • <閲覧スタッフより>
    ロシア革命のなかを貪欲にしぶとく生き延び漂浪する男・ネヴゾーロフの物語。トルストイの原作をもとにぼんやりと夢をみているような不思議なタッチで描かれた魅力的な作品です。

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    所在記号:726.1||ラハ
    資料番号:10202166
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    所在記号:726.1||ラハ
    資料番号:10202166
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  • ずっと欲しかったこの本、今年の神田古本市で半額でゲットしました!
    しがない会計士だったシメオン・ネヴゾーロフは、ジプシー女の予言にみちびかれるように、激しい暴力が噴出するソビエト革命の時代を、運と才覚をたよりにしぶとく生き延びていく。浮沈をくりかえす彼の旅にともなって、舞台はサンクトペテルブルグからモスクワ、ハリコフ、オデッサ、イスタンブールへ。白黒だけの絵筆で描き出される主人公とその背景は、奥行きと動きを感じさせて、まるで映画を観ているかのよう。金と女に目がなくて小ずるい主人公なのに、いよいよダメかと思いきや、また起き上がって目ざとくチャンスをつかむその姿が、最後にはいっそすがすがしい笑いを呼び起こす。暴力に満ちた大きな世界と、卑小な人間との対比が激烈な印象を残す傑作です。

  • 描きぶりがかなり刺激的。実験的な描写を多用していて、絵だけ観ていても楽しめる絵画的な作品。物語はすったもんだしていて、なかなか集中して入っていけない。絵にひきずられるということもあるのかも。

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