夢の遠近法 山尾悠子初期作品選

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著者 : 山尾悠子
  • 国書刊行会 (2010年10月26日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784336052834

作品紹介

山尾悠子が二十代に執筆した短編小説の中から、『遠近法』『夢の棲む街』『月齢』『眠れる美女』等、みずから選んだ11の傑作を収録。巻末には書き下ろしの「自作解説」を併録した、山尾ワールド入門への最良最高の一冊。付録・単行本初収録エッセイ4編。

夢の遠近法 山尾悠子初期作品選の感想・レビュー・書評

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  • とにかく寡作の人なので、チビリチビリ、なめるようにしながら半年くらいかけて読み終えた。
    「夢の棲む街」のラストでは、情景が脳内にスローモーションで再生され、「遠近法」の“腸詰宇宙”に圧倒される。「透明族に関するエスキス」は、「デジスタ」の年間大賞を獲るような上質の短編映像を見た思い(と思ったら、作者自身による解説で、CGのようなイメージがまずあってそれを描写した、というようなことが書いてあり、納得)。

    山尾悠子の作品を読むたび、こんなビジュアルを描く力が自分にもあったのかと、驚かされる。もの凄く凝った質の高いアトラクションを楽しむような感覚。その乗り物のレールを敷いたり、動かしたりしてくれるのは彼女の文で、自分はコースを進んでいくだけだけれど。それでも、これが自分の頭の中だと思うと、不思議だし、ちょっと嬉しい気分でもある。

  • 『言葉を用いて架空の世界を構築しかつ崩壊させること』
    言葉の無限を視る。
    計算され尽くした言葉の配列は結晶となって、人と街を形成している。鋼鉄のように張りつめた神経が隅々まで行き渡っている硬質にして巧緻なる世界。
    けれどもそれは突如として見るも無残に砕け散り、崩れ落ち、血に染まり、水に呑まれてしまうから、残像と残光を瞼に焼きつけ、残骸を胸に抱き、残響を頭蓋で増幅させ、何度でも美しく完璧な世界を再構築しようと試みる。書物の扉を開いて夢幻世界を拓く。そう、何度でも。

    【遠近法】、【ムーンゲイト】、【私はその男にハンザ街で出会った】が特に気に入った。
    《2014.05.07》

  • 行間から、はらはらほろほろと真珠の粒が、絶える間も無く零れ落ちてゆく
    様な幻覚を視る。
    それでいて、決して装飾的では無い
    文体はラベルの楽の音の様・・ ・。
    古風な漢字と、その横に付された流れるようなルビが文章の雰囲気を形成
    して美しい。
    文体の余韻、ページの余白、これこそ
    夢の遠近法かも知れない。

  • もしこの人の作品に出会わなかったら、自分の人生は違ったものになっていただろうと思える作家は多くない。
    これまでの人生を振り返っても、幼少期のアーサー・ランサム、思春期の光瀬龍、そして山尾悠子くらいしか思い浮かべることができない。

    20歳を過ぎてからはそこまでの出会いが一度もないという事実を思うと、幸福な読書の楽園から永久に追放されてしまった気分になるのだが、それはさておき。

    「夢の棲む街」「ムーンゲイト」「遠近法」といった初期の短編には、純粋に言葉だけで構築された世界がある。それは、若い日の自分が焦がれ続けて、どうしても手に入れられなかった世界でもある。

  • 読むのに時間がかかりました…。見たことのないものをイメージしながら読むし、読んでる間どっぷり浸かってるので心に余裕のあるときしか読めないし。休日の起き抜けとかがいい。いろんなイメージが交ざりあって、山尾さんの世界が広がっている。「童話・支那風小夜曲集」が一番読みやすく、楽しい。「月齢」は書き出しに痺れたし、「夢の棲む街」「眠れる美女」は崩壊のイメージに酔う。「透明族」は頭のなかにアニメーションが浮かぶね。「天使論」「月蝕」は京都の学生生活がなつかしい。
    何となく、作者の息遣いが伝わるような作品ばかり。ある人の頭の中にあるイメージが、そのままのかたちでないにしても、他人に伝わるってすごいな。それも、あえて言葉をもってして。

  • 「幻想小説」と呼ばれるものは概して苦手なのだけど、ごくたまに心をわしづかみにされるようなビジョンを描き出す作品に出会うことがある。その筆頭が、本書にも収められている「遠近法」だ。SFのアンソロジーで読んだとき、そのイメージ喚起力に完全にノックアウトされた。

    「作品集成」にはちょっと手が出なかったのだが、これならばと買いこんでみたものの、最初の「夢の棲む街」がどうにも苦手な部類の「幻想小説」で…。「遠近法」だけ読み返して積んであったのを、なんとなくまた読んでみることにしたのだった。

    「夢の棲む街」は、やはり好きとは言えないけれど、独特の硬質な世界に圧倒される。これが大学生の時のデビュー作とは。著者が巻末の「自作解説」で「すべてがここにある」と語っているのに納得した。グロテスクな要素もあり、血や粘液が流れる描写もあるというのに、冷え冷えとしたノーブルな空気に支配されている。

    圧巻はなんといっても「遠近法」。何度読んでもすばらしい。SF的想像力で作り上げられた異世界には傑作が数々あるが、この「腸詰宇宙」は紛れもなくその一つだと思う。無限に続く塔の内側に階層としてある世界。その中を巡る太陽と月。《蝕》という現象。まさにめくるめくようなイメージで、ため息が出るばかり。断片的な記述を重ねるスタイルも効果的だ。世界の真実を求め、九万階上方の回廊を目指した人々の挿話が、残酷で、美しい。ラストの「ウロボロスの蛇」でとどめを刺されてしまう。「語り手」を揺らしてあるのも浮遊感を高めているのだろう。

    本書ほど「自作解説」が役に立ったことはない。「月蝕」や「童話・支那風小夜曲集」は解説のおかげで、なるほどねえと楽しむことができた。著者は自分より少し年上なのだが、同じ京都で学生生活を送ったことを初めて知り、にわかに親しみも湧いた。初期の作品は京都で書かれたものも多いようで、さり気ない書き方ながらその頃への愛着が伝わってきた。

  • 間違いなく私の読書歴の頂点に位置する作家になりそう。

    『夢の棲む街』★
    『月蝕』★
    『ムーンゲイト』★
    『遠近法』★
    『童話・支那風小夜曲集』
    『透明族に関するエスキス』
    『私はその男にハンザ街で出会った』★
    『傳説』★
    『月齢』★
    『眠れる美女』★
    『天使論』★

    付録
    『人形の棲処』★
    『領春館の話』★
    『チキン嬢の家』
    『ラヴクラフトとその偽作集団』★

    記憶に強く残っている作品に星をつけようと思ったが、
    そんな試みもくだらないくらいにそれぞれが強い印象を残す。
    ここまで鮮烈で確固としたイメージを植えつけられるとは。
    驚愕に近い。

  • 好:「夢の棲む街」「遠近法」「透明族に関するエスキス」「傳説」

  • 2014.11.05

  • 小冊子画像
    http://nyankomaru.tumblr.com/post/97331320847/4

    『第4回 ジュンク堂書店文芸担当者が選ぶ この作家を応援します!「山尾悠子さん」』フェア開催!|国書刊行会
    http://www.kokusho.co.jp/news/2014/08/201408011535.html

    山尾悠子さんサイン会|ジュンク堂書店 大阪本店|丸善&ジュンク堂ネットストア
    ジュンク堂書店 大阪本店
    開催日時:2014年10月18日(土)15:00 ~
    http://www.junkudo.co.jp/mj/store/event_detail.php?fair_id=6358

    国書刊行会のPR
    http://www.kokusho.co.jp/np/isbn/9784336052834/

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