- Amazon.co.jp ・本 (372ページ)
- / ISBN・EAN: 9784336053206
感想・レビュー・書評
-
アメリカの祝祭日に因んだテーマの短編小説を集めた、
黒い皮肉の利いたSF中心の作品集。
掲載順は年初から大晦日。
先に長編を読んだ身には、この作家にしては
スッキリとわかりやすいストーリーが並んでいるな……
と思えるが、後半へ進むに従って、
やはり目くらましというか煙に巻かれるというか、
一読では真意を図りかねるトーンになっていく。
必ず本編読後に目を通すべしと注記した上で、
もう少し突っ込んだ解説を添えてもらえるとありがたい。
『ピース』の一部分を切り取って独立した短編と化した話、
『ピース』の舞台と同じ町での出来事を綴った話もあり。
失われゆく古きよきものへのノスタルジーを描いた
「ラファイエット飛行中隊よ、きょうは休戦だ」がよかったが、
一番面白かったのは著者の「まえがき」かもしれない(笑)。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
不思議な雰囲気
-
2020/8/1購入
-
文学
-
『ケルベロス第五の首』 『デス博士の島その他の物語』 の名匠ジーン・ウルフによる第二短篇集がついに登場。リンカーン誕生日から大晦日まで、アメリカの祝祭日にちなんだ作品で構成された予測不可能な物語が詰まった驚異のコレクション!
〈収録作品はいわゆるSFだが、多くはそう思ってもらえないタイプのSFで、明らかに地球外を舞台にしているのは「ラ・ベファーナ」と「住処多し」だけ。何篇かはユーモアものであるとはいえ、私のユーモアのセンスは屈強な男を失神させ、女性に凶器を取らせるような代物である……〉(まえがきより) 出来損ないの世界でのビジネスマンの凝縮された一生を描く不条理中篇「フォーレセン」、ピーター・パン由来の死のイメージが散りばめられた不気味な一作「取り替え子」、車が○○する話「カー・シニスター」、クリスマス・イヴの新旧おもちゃの攻防戦「ツリー会戦」など〈言葉の魔術師〉ウルフが華麗な文体と技巧を駆使して贈る、予測不可能な物語と知的仕掛けに満ちた初期短篇全18篇を収録。