絵本 化鳥

著者 :
制作 : 中川 学 
  • 国書刊行会
4.28
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本棚登録 : 168
レビュー : 32
  • Amazon.co.jp ・本 (71ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784336055446

作品紹介・あらすじ

「はねのはえたうつくしい人はどこにいるの?」少年のかたりで綴られた幻視の世界-文豪と気鋭の画家が繰りひろげる妖しくも美しい未知なる絵物語。

感想・レビュー・書評

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  • 装丁が綺麗で、中川氏の絵も、この「化鳥」の摩訶不思議な世界によく合っている、よい絵本。少年廉が橋から見える人々を色々なものに見立てるところは子どもらしくて面白く、問答のような受け答えをする母様の来し方が伺えるにつれて、母様の廉への教えも哀しみの混じった穏やかさが感じられる、味わい深いお話だった。

  • ◆贅沢な大人絵本。国書刊行会って、趣向を凝らすのに手間やコストを惜しまないところが素敵。原文併録なのもありがたい♪◆滑稽なやり取りの中にも、母の、貧しい暮らしのなか誇りを持って胸をはって生きるための知恵(むしろたどり着いた真理か)や、息子を守る愛が切々と伝わり、美しい。「私」を救った鳥の羽を持った美しい人は果たして何者だったのか…。母の愛の化身か?万物みな滑稽で愛すべき存在だけれども行いによって美しく尊い存在に昇華する…ということか?夢幻の世界のままおくべきか…。何度も味わいたい1冊。【2013/08/18】

  • 泉鏡花の作品を元にした絵本である。

    まずは装幀の美しさに息を呑む。
    真っ白なカバー全体に鳥の羽が空押しされ、題字は銀箔。
    見返しの銀のページをめくると、そこからは色があふれ出す。

    橋守の子ども、廉は、母様(おっかさん)と渡し賃でつましく暮らしている。廉には橋を行き交う人々が鳥や獣や茸に見える。
    人間が鳥や獣とどれほど違うというのか。
    そんなことを口にしては先生に叱られる。
    百鬼夜行のような世界で、しかし、廉は美しい母様と暮らして幸せである。

    あるとき、廉は川に落ち、「はねのはえたうつくしいねえさん」に助け出される。
    あのねえさんは誰なのか。
    もう一度会いたい廉は、鳥屋や野山を探し歩く。

    幸せだけれども、つんと悲しい。
    懐かしいけれども、どこか遠い。
    夢のようにうつくしいその世界には、北国の凜と冴えた空気が漂っている。
    滔々たる河の音がどこからか聞こえてくる。
    その音に誘われて、この世ならぬあやしい世界に連れて行かれるようでもある。

    絵を描いている中川学は京都の寺の僧侶である。
    うつくしいねえさんの作画には腐心したという。あやしく美しく、目が醒めるようである。
    物語の終わりには、現在の金沢の橋の絵が添えられる。
    このまま現世に戻りたいような、まだ少しこの世界をさまよいたいような、不思議な余韻が残る。


    *泉鏡花文学賞制定40周年記念プロジェクトとして発刊。絵本に添えられた文は抜粋であり、巻末に全文が収録されている。

  • 『化鳥(けちょう)』原作者・泉鏡花の生誕地、金沢市が主催する泉鏡花文学賞制定四十周年記念プロジェクトとして企画・制作された絵本
    『化鳥』明治三十年発表された作品

    泉鏡花さん(♂) お名前はうっすらと聞いたことあるような、ないような・・・
    予備知識なく読み始め、あらっ?!なんだか不思議な世界???
    お話しが飲み込めるような飲み込めないような・・・
    巻末に原文が記載されていたのでそちらから読んでそれから読み直すと、中川学さんの鮮やかな絵とともにお話しの内容もスっと入ってきました。

    廉少年の
    「愉快(おもしろ)いな、愉快いな」と語りだされるお話し
    登場人物が猪や動物で表されたり、美しい羽のお姉さんが出てきたり

    「人間も、鳥獣も草木も、昆虫類も、皆形こそ変つて居てもおなじほどのものだ」という「母様(おつかさん)」の教えや
    〈母なるものへの希求〉という、鏡花の幻想世界の不朽のテーマが浮き彫りにされた作品(泉鏡花記念館学芸員 穴倉玉日さんあとがきから)

    幻想的でとても印象に残る作品でした。
    小学中・高学年からかな(小さい子には難しい)大人向け絵本

    中川学
    浄土宗西山禅林寺派僧侶、イラストレーター
    監修 東雅夫
    『怪談えほん』の方 (『怪談えほん』好き♡)

  • 鏡花記念館で『龍潭譚』の展示を観て好きになりました。
    パリッとしていて尚且つ湿っぽさも感じさせる素敵な絵です。
    今活躍中の 御坊 兼 イラストレーター 中川学。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「『龍潭譚』の展示を観て」
      じゃぁ此方も如何?
      泉鏡花×中川学:繪草子「龍潭譚」
      http://www.ryutandan.net/
      「『龍潭譚』の展示を観て」
      じゃぁ此方も如何?
      泉鏡花×中川学:繪草子「龍潭譚」
      http://www.ryutandan.net/
      2013/01/18
  • 「化鳥」の絵本!凄そうです。。。
    特別展「泉鏡花×中川学絵本『化鳥』原画展」
    [期間]平成24年9月29日(土)~平成24年12月16日(日)
    泉鏡花記念館(金沢)
    http://www.kanazawa-museum.jp/kyoka/exhibit/index.html

    国書刊行会のPR
    「文豪・泉鏡花の傑作短篇を、《和ポップ》の気鋭画家中川学が完全絵本化。50枚におよぶオールカラーの絵で、子どもから大人までが楽しめる泉鏡花のふしぎな世界。評論家東雅夫と鏡花研究家吉田昌志による解説も収録。 」

    コボウズ・ドット・ネット
    http://www.kobouzu.net/

  • みぃちゃんに教えてもらったよ!
    英語版はイタリアミラノで賞をいただいたそうです

    白い表紙の下の美しい色が気になる!
    ブッカーがあるからしょうがないー!

    ラストは現代の風景につながる
    デジタルイラストなのに本当に綺麗
    長年親しんだ川の風景を思い出しました

  • 原文を少し変えた文章が、絵を背景に綴られている。絵は素朴な感じで、ちょっと切り絵みたいでかわいらしい。絵があると、原文だけでは分かりにくい表現もイメージができ、幻想的な世界に入り込める。巻末に原文ままの話が載っているのもありがたい。
    2018/10/14

  • 2017年11月21日

    装丁/泉屋宏樹
    題字/上田普

  • 泉鏡花作品を初めて読みました。
    何となく取っつきにくいイメージがあったので、絵本だったら入りやすいかと思って…
    絵本なので読みやすいし、不思議な感じのイラストで、見ているだけでも楽しかったです。
    私はまだ一度しか読んでませんが、何度読み返しても、その都度感じることが違うかも…と思ったので、近いうちまた読み返したいと思ってます。

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著者プロフィール

泉鏡花(いずみ きょうか)
1873年11月4日 - 1939年9月7日)
石川県金沢市生まれの小説家。本名は「泉鏡太郎」。明治後期から昭和初期にかけて活躍。尾崎紅葉『二人比丘尼 色懺悔』を読んで文学を志し、上京し本人に入門、尾崎家で書生生活を始める。師弟の絆は終生切れることがなかった。
1893年、京都日出新聞に真土事件を素材とした処女作「冠弥左衛門」を連載。以降、『夜行巡査』、『外科室』、『照葉狂言』、『高野聖』、『婦系図』、『歌行燈』などの作品を残す。1939年に癌性肺腫瘍のため逝去、雑司が谷霊園に眠る。その後1973年に「泉鏡花文学賞」が制定され、1999年金沢に「泉鏡花記念館」が開館。

泉鏡花の作品

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