- Amazon.co.jp ・本 (71ページ)
- / ISBN・EAN: 9784336055446
作品紹介・あらすじ
「はねのはえたうつくしい人はどこにいるの?」少年のかたりで綴られた幻視の世界-文豪と気鋭の画家が繰りひろげる妖しくも美しい未知なる絵物語。
感想・レビュー・書評
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装丁が綺麗で、中川氏の絵も、この「化鳥」の摩訶不思議な世界によく合っている、よい絵本。少年廉が橋から見える人々を色々なものに見立てるところは子どもらしくて面白く、問答のような受け答えをする母様の来し方が伺えるにつれて、母様の廉への教えも哀しみの混じった穏やかさが感じられる、味わい深いお話だった。
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泉鏡花の作品を絵本にしたもの。素晴らしい出来ですね。
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◆贅沢な大人絵本。国書刊行会って、趣向を凝らすのに手間やコストを惜しまないところが素敵。原文併録なのもありがたい♪◆滑稽なやり取りの中にも、母の、貧しい暮らしのなか誇りを持って胸をはって生きるための知恵(むしろたどり着いた真理か)や、息子を守る愛が切々と伝わり、美しい。「私」を救った鳥の羽を持った美しい人は果たして何者だったのか…。母の愛の化身か?万物みな滑稽で愛すべき存在だけれども行いによって美しく尊い存在に昇華する…ということか?夢幻の世界のままおくべきか…。何度も味わいたい1冊。【2013/08/18】
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泉鏡花の作品を元にした絵本である。
まずは装幀の美しさに息を呑む。
真っ白なカバー全体に鳥の羽が空押しされ、題字は銀箔。
見返しの銀のページをめくると、そこからは色があふれ出す。
橋守の子ども、廉は、母様(おっかさん)と渡し賃でつましく暮らしている。廉には橋を行き交う人々が鳥や獣や茸に見える。
人間が鳥や獣とどれほど違うというのか。
そんなことを口にしては先生に叱られる。
百鬼夜行のような世界で、しかし、廉は美しい母様と暮らして幸せである。
あるとき、廉は川に落ち、「はねのはえたうつくしいねえさん」に助け出される。
あのねえさんは誰なのか。
もう一度会いたい廉は、鳥屋や野山を探し歩く。
幸せだけれども、つんと悲しい。
懐かしいけれども、どこか遠い。
夢のようにうつくしいその世界には、北国の凜と冴えた空気が漂っている。
滔々たる河の音がどこからか聞こえてくる。
その音に誘われて、この世ならぬあやしい世界に連れて行かれるようでもある。
絵を描いている中川学は京都の寺の僧侶である。
うつくしいねえさんの作画には腐心したという。あやしく美しく、目が醒めるようである。
物語の終わりには、現在の金沢の橋の絵が添えられる。
このまま現世に戻りたいような、まだ少しこの世界をさまよいたいような、不思議な余韻が残る。
*泉鏡花文学賞制定40周年記念プロジェクトとして発刊。絵本に添えられた文は抜粋であり、巻末に全文が収録されている。 -
息を呑むほどうつくしい。
所有欲を満たしてくれる一冊。とてもおすすめ。-
2021/02/03
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わーありがとうございます!
だいさんの本棚を拝見させていただき、「読んでみたい本」としていっぱい登録させていただいちゃいました♪わーありがとうございます!
だいさんの本棚を拝見させていただき、「読んでみたい本」としていっぱい登録させていただいちゃいました♪2021/02/03
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『化鳥(けちょう)』原作者・泉鏡花の生誕地、金沢市が主催する泉鏡花文学賞制定四十周年記念プロジェクトとして企画・制作された絵本
『化鳥』明治三十年発表された作品
泉鏡花さん(♂) お名前はうっすらと聞いたことあるような、ないような・・・
予備知識なく読み始め、あらっ?!なんだか不思議な世界???
お話しが飲み込めるような飲み込めないような・・・
巻末に原文が記載されていたのでそちらから読んでそれから読み直すと、中川学さんの鮮やかな絵とともにお話しの内容もスっと入ってきました。
廉少年の
「愉快(おもしろ)いな、愉快いな」と語りだされるお話し
登場人物が猪や動物で表されたり、美しい羽のお姉さんが出てきたり
「人間も、鳥獣も草木も、昆虫類も、皆形こそ変つて居てもおなじほどのものだ」という「母様(おつかさん)」の教えや
〈母なるものへの希求〉という、鏡花の幻想世界の不朽のテーマが浮き彫りにされた作品(泉鏡花記念館学芸員 穴倉玉日さんあとがきから)
幻想的でとても印象に残る作品でした。
小学中・高学年からかな(小さい子には難しい)大人向け絵本
中川学
浄土宗西山禅林寺派僧侶、イラストレーター
監修 東雅夫
『怪談えほん』の方 (『怪談えほん』好き♡) -
別冊太陽『こわい絵本』選書
「「はねのはえたうつくしい人はどこにいるの?」少年のかたりで綴られた幻視の世界―文豪と気鋭の画家が繰りひろげる妖しくも美しい未知なる絵物語。
川でおぼれかけたところを、”大きな五色のはねがあって天上にあそんでいる美しいお姉さん”に助けられた廉。少年んはその”はねがはえたうつくしいもの”を求めて、森に入っていく。」 -
本作は泉鏡花の生誕地である金沢市が主催する泉鏡花文学賞の制定40周年記念プロジェクトてして企画・制作されたもの。絵本の部分は読みやすいように手が加えられており、巻末には原文が載っています。絵本の文章は鏡花独特の文章リズムを損なうことなく書かれていて、原文と比較しながら読むと面白いです。
凛として美しい母と暮らす少年・廉。少年の母への強い思慕が、幼い時に母を亡くした鏡花自身に重なって見え、切ないような気持ちにもなります。
中川学さんの絵も温かみがあって、切り絵のようで可愛らしい。
鏡花の文章は慣れないと読むのが難しいですが、彼の文章の美しさはピカイチ。もっと鏡花の作品を読みたいです。