マルセル・シュオッブ全集

  • 国書刊行会
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  • Amazon.co.jp ・本 (933ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784336059093

作品紹介・あらすじ

現在大きな注目を浴びる、夭折の天才作家マルセル・シュオッブ。ヴァレリー、ジイド、ジャリをはじめ、ボルヘス、ボラーニョ、澁澤龍彦らにまで多大な影響を与えた、19世紀末フランスの小説家の初めてとなる邦訳全集。『架空の伝記』『モネルの書』『少年十字軍』『黄金仮面の王』『二重の心』等の全小説はもちろん、評論や単行本未収録短編まで収録。約4割が新訳。本邦初訳も多数収録。全1巻。推薦=皆川博子、山尾悠子

感想・レビュー・書評

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  • 今年の誕生日に奮発して購入。山尾悠子や皆川博子が推していれば気になるし、国書刊行会の鈍器(函)にはやはり心惹かれる。ゴールデンウィークはもっぱらこれにかかりきりだった。嬉しい。
    深海の夜を思わせる装丁がとても素敵。そして900頁を超える大ボリューム。鈍器。
    「二重の心」「黄金仮面の王」「擬曲」「モネルの書」「少年十字軍」「架空の伝記」「木の星」、単行本未収録短編、「拾穂抄」「記憶の書」、単行本未収録評論を収録。

    とても広大で深遠な物語宇宙遊泳。一読ではとても味わい尽くせないながら、遠く近く閃く流星の尾に手が掠める感触はまざまざとわかる。いきなり全集に手を出しておいてなんだけど、こうしてまとめられる前に出た色んな邦訳書に少しずつ触れていく楽しみも想像して悶々としてしまう。そっちも絶対楽しいでしょ……ちょっとずつ探して読みたい。
    物語の舞台、人物、主題に作風のとりどりなことには驚かされるし、著者に影響を与え著者が愛好する詩人や小説家が著者の言葉で語られていることなどなど、一冊で何度も美味しい良書だと思う。気迫が違う。
    まさに地から天へ昇っていく語りの幻想が見事な「アラクネ」、詩人の狂気、詩の生まれ出ずるところを暴き侵す罪に震える「リリス」、太った男と一緒に太って痩せる部屋の描写が楽しい「太った男」、神話を彫琢して取り出したかのように美しい「黄金仮面の王」、世界の終わりと再生に息を呑む「オジグの死」「大地炎上」、散文詩とはこれかと思う「少年十字軍」、限りない哀しみと慈しみからなる「モネルの書」が特に好き。
    『山の人魚と虚ろの王』を読んだ後だから、D. G. ロセッティの作品らしいものが見えて嬉しい。「モネルの書」の「自分を犠牲にした娘」にはもしかしてクリスティナ・ロセッティの影響があるかしら。

  • この世界のいたるところにシュオッブの信奉者たちがいて、
    彼らは小さな秘密結社を組織している。
    ⁂ホルヘ・ルイス・ボルヘス⁂
    「19世紀末のボルヘス」として今大きな注目を浴びる、夭折の天才作家シュオッブの初の邦訳全集。
    『架空の伝記』『モネルの書』『少年十字軍』『黄金仮面の王』『二重の心』をはじめ、
    評論や単行本未収録短編まで収録。
    推薦=皆川博子、山尾悠子

  • まずその分厚さにビビる
    装丁もなんか…優雅~…
    美と醜、けがらわしさと高貴さ…幻想と異国情緒…
    山尾悠子が好きなの、とても分かる

  • 『黄金仮面の王』『少年十字軍』などで知られるマルセル・シュオッブの全集。
    寓話を連想させる短編も多いが、細部まで作り込まれた幻想世界をじっくりと堪能出来る。作風は一貫していて、あまり幅があるタイプではないようだが、逆にそれがいい。

    如何せん高額な上にデカイ本なので万人にお勧めするわけには行かないのだが、国書刊行会のHPで推薦文を寄せている皆川博子・山尾悠子のファンならば買って損は無い。16000円分の価値はあるだろう。

  • TLがこの本の幅の写真だらけになって、はじめて聞く名前だし、16200円もしてるし、買っちゃいけない、買っても読めんと言い聞かせていたのに、一度実物を見てみたくなり、飲み屋会場近くの大型本屋に寄ったのが運の尽き。
    開いて読もうにも薄紙が邪魔をして箱から抜き出せない。
    仕方なく中に押し込み、気づけばレジに持っていっておりました。

    読んでる暇はなくても箱表紙を眺める時間ならある!
    シンプルながら上品な箱、取り出すと薄いラシャ紙に包まれたこれまた美しい装丁が。白と水色に金のラインがあしらわれていて、持っているだけで所有欲が満たされます。

    少年十字軍など、物語も皆川博子好きには美味しくいただけます。

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著者プロフィール

1867年~1905年。フランスの作家。

「2015年 『マルセル・シュオッブ全集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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