天界の眼 切れ者キューゲルの冒険 (ジャック・ヴァンス・トレジャリー)

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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本
  • / ISBN・EAN: 9784336059215

作品紹介・あらすじ

快男児キューゲルのゆくところ、火のないところに煙が立つ! 行く先々で大騒動を巻き起こす、自称切れ者キューゲルの奇想天外・荒唐無稽なる大冒険を描く至福のピカレスク&コミック・ファンタジーここに見参。

舞台は数十億年先のはるかな未来の暮れゆく地球、科学が衰退し、魔法が復活した世界。〈笑う魔術師〉イウカウヌから命じられて、天界を映しだす魔法の尖頭を探す羽目になり北の地に飛ばされたキューゲル、彼は無事に届けて憎き魔術師に復讐することが出来るのか? 襲いかかる食屍鬼やネズミ人間、絶世の美女ダーウェ・コレムとの出会い、〈森羅万象〉をめぐる100万年規模のドタバタ、〈銀の砂漠〉の壮絶極まる踏破……華麗なる小悪党にして稀代の無責任男キューゲルが大活躍する奇想と爆笑に満ちた連作全7篇を収録。巻末附録:ヴァンス全中短篇リスト

感想・レビュー・書評

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  • 「終末期の赤い地球」で描かれたダイイング・アースの世界
    を舞台に切れ者キューゲルの冒険を描いた連作短編集。
    「不死鳥の剣」でキューゲルに触れることが出来たので、
    この際「ジャック・ヴァンス・トレジャリー」を片付けて
    しまおうという算段である。

    と言ってもキューゲルの「切れ者」は自称であり、その実は
    自己中心的で女好きで他人を騙すこと傷つけることを何とも
    思わない小悪党である。端的に言うと「ひどい男」であり、
    とても感情移入できる主人公ではない(苦笑)。例えて言えば
    北欧神話のロキを一回りも二回りもスケールダウンさせた
    トリックスターというところか。従って、タイトルから想像
    されるキューゲルの快刀乱麻の活躍を期待して読み出すと、
    肩すかしを食らうことは間違いない。読む人を選ぶ作品かも
    知れない。

    この作品の読みどころはキューゲルのドタバタによって
    様々な価値観や伝統が相対化されて破壊されていく様を見る
    ところにあるのだろう。最後には自らを、そして物語その
    ものをも相対化してしまうのだから、ぜひ最後の落ちまで
    読んでいただきたい。

  • キューゲルを知ったのは、T&Tのルールブックであった。なによりも機知を武器とするという紹介でどんな魅力的なキャラクターであるかと興味を抱いた。その後、河出文庫で天界の眼を読み、口八丁ぶりに驚いた。
    今回、中村融の訳と解説で出版されたが、キューゲルというキャラクターのいい加減振りが何ともたまらない。悪びれもせず嘘をつき、その場凌ぎで渡って行く。無責任男の魅力があふれる一作。

  • 快男児っていうより怪男児だし、切れ者って云うよりご迷惑男w
    まだまだある未訳な作品を纏めて出版して欲しい。
      

  • 主人公"切れ者"(自称)キューゲルの下衆っぷりが見どころの一つなのはわかっているけれど、小者&せこいキャラを素直に楽しめないまま終わってしまった。女性キャラの扱いがかなりひどくて引いてしまったのが大きい。願わくばこの後の道中、騙したり酷い目に遭わせてきた人々とキューゲルがもれなく感動の再会を果たせますように。(1966)

  • まったく感情移入できない主人公の小悪党ぶり!サイエンス・ファンタシー、面白かったです!

  • だめだ。最初の数ページで、あわない、と思った。

  • ピカレスク・ロマンの意味を知る。

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著者プロフィール

1916年、サンフランシスコ生まれ。カルフォルニア大学バークレー校を卒業後、商船員の職につき航海中に小説を執筆、45年短篇「The World-Thinker」でデビュー。その後、世界中を旅しながら作品を発表、奇怪な世界と異様な文化を活写する唯一無比の作風で息の長い活動を続け、80冊以上の著作がある。主な作品に『終末期の赤い地球』(50)、『竜を駆る種族』(63、ヒューゴー賞受賞)など。ミステリ作家としても『檻の中の人間』(60)でエドガー賞処女長篇賞を受賞。84年には世界幻想文学大賞生涯功労賞、97年にはアメリカSF・ファンタジー協会が授与するグランド・マスター賞を受賞、殿堂入りを果たしている。

「2017年 『スペース・オペラ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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