- Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784336059673
作品紹介・あらすじ
個人性と社会性が肥大化している昨今の状況は心のあり方の問題である。心の奥から生じる倫理・共感・共生はスピリチュアリティに他ならない。
気鋭の宗教家、宗教学者、医学者、哲学者、経営者がそれぞれの立場と実践の現場から個的な心身と社会を結ぶスピリチュアリティにアプローチし、「個人性と社会性が両立する地球社会の実現」に向けて提言する。
第1章では、宗教者が、個人性と社会性を統合している「いのち」について考察する。
第2章では、宗教学者が、スピリチュアリティに瞑想と臨床という実践面からせまり、両者の関係性を解明することで、スピリチュアリティの核心を提示する。
第3章では、医学者が、個人性と社会性を学習する場として医療問題を、科学技術と人類が向き合う例として提起し、患者が主体となって取り組む医療や制度作りについて取り上げる。
第4章では、宗教者が、妙智會の教義に基づき、個人と社会の中にいる目に見えない他者が縁起していることを認識し、それらを思うという実践が慈悲心を向上させると指摘する。
第5章では、哲学者が、コミュニタリアニズムの立場を踏まえつつ東洋哲学の人間観と統合し、地球的なスピリチュアリティとコミュニティへのビジョンを描く。
第6章では、経営者が、スピリチュアリティの定義と盛和塾の〈経営の原点十二カ条〉〈六つの精進〉〈六波羅蜜〉との関係を考察する。
第7章では、宗教学者が、福島原発災害を取り上げて、原発反対運動の流れと、これに対する宗教側からの支持見解について考察し、経済・国家と科学技術を制御する倫理とスピリチュアリティの関わり合いの重要性を指摘する。
第8章では、宗教学者が、世界システム理論を要素に留意して検討し、諸宗教が提供してきた他界的要素の欠落を確認する。そして、社会システムと他界システムを組み合わせるモデルがこれからのパラダイムとして望まれることを原理的に論じる。
第9章には、第2~7章の議論を踏まえ、シンポジウムで行われた本書タイトルと同名のパネルディスカッションを収録する。
スピリチュアリティにはさまざまな位相があるが、個人性と社会性の両立調和と関わるスピリチュアリティについて領域横断的に論じられたことはあったであろうか。個人の幸福と社会の発展調和が両立するより良い地球社会の方向性を見出す、スピリチュアリティ研究の最前線!