アフター・クロード (ドーキー・アーカイヴ)

  • 国書刊行会 (2021年9月18日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (282ページ) / ISBN・EAN: 9784336060631

作品紹介・あらすじ

「捨ててやった、クロードを。あのフランス人のドブネズミ」
あらゆるものに牙を剥き、すべての人間を敵に回す
わきまえない女ハリエットの地獄めぐりがいま始まる……
伝説の作家アイリス・オーウェンスの最高傑作にして
40年の時を超えて現代を撃つ、孤高の問題作!

〈この凄い小説の破天荒な語りを日本語にできるのは
渡辺佐智江さんしかいないと思い、薦めたらたちまち意気投合、
二人でオーウェンス・ファンクラブを結成した。
ぜひあなたも本書を読んで仲間入りを!〉若島正


真夏のニューヨーク、ハリエットは同居するクロードと仲違いしてアパートを追い出される危機に陥る。身を守るために悪戦苦闘する彼女を待ち受けていたさらなる地獄とは……速射砲のように放たれる、宗教・人種・セックス・フェミニズム等々のあらゆる問題を無差別攻撃した過激なセリフ、知的で過剰なユーモアにあふれた筆致で描かれる一人の女の残酷物語。『ロリータ』の版元オリンピア・プレスでポルノ作家として活躍し、スーザン・ソンタグをして「彼女は最先端(ヒップスター)」と言わしめた伝説の作家の鮮烈な第一長篇がついに邦訳!(1973年作)

感想・レビュー・書評

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  • 毒舌を通り越して、壮舌である。映画だろうが、女友達だろうが、自分を救ってくれた恋人だろうが、当たるを幸い突き刺し、捻じ込み、断ち切る言葉たちは、しかし「信頼できない語り手」のものであり、その奥に透けて見える現実は本当の壮絶である。若島正先生の解説も素晴しく、これがなければこの小説はこれほど面白くは読めないほど。

    若島先生が本邦未訳の埋もれた傑作を紹介するドーキー・アーカイヴ全10巻の一冊で、こんなものが配本されていたとは知らなかった。相変わらず、国書刊行会はいい仕事をする。もう 1、2冊読んでみよう。

  • The American Scholar: Sex and the Single Woman - <a href='https://theamericanscholar.org/author/lisa-zeidner/'>Lisa Zeidner</a>
    https://theamericanscholar.org/sex-and-the-single-woman/#.U64nT41dVLo

    「スーザン・ソンタグをして『彼女は最先端(ヒップスター)』と言わしめた伝説の作家」

    アフター・クロード|国書刊行会
    https://www.kokusho.co.jp/np/isbn/9784336060631/

  • うへえなんという自己愛性パーソナリティ障害... 主人公と言動が近い感じの人に悩まされたことあるから、リアルだった、けどそこから先がなくて、小説としての味わいは感じられなかった。「激しい人」のフィクションをフィクションとして楽しめるなら、面白いかもしれない。当人も大変ですねって思うけど、そういう人と仕事するの本当にきついから...

    しかし翻訳者はドンピシャ。あの図々しい攻撃性に満ちた独白群を、渡辺佐智江以外の誰が訳すのか。

  • あのやべえ女の脳内ではこんな感じの思考回路が超速でまわってたのか…となんか納得。
    正そうなんて無理な話である。関わるとこっちがボロボロにされる。
    特に教訓も味わいもないがひたすら毒を被り続けるのもここまでくると価値があるわ。

  • 一人称視点での語りだからこその面白さ
    寒気のするラスト

  • 「おまえはコミュニケーションなんかしない。おまえは他人の気持ちを踏みにじる。だれの言葉にも耳を傾けずに、あんたはバカだと罵倒するだけじゃないか。ともかく、おまえの体験を共有させられるのはもうごめんだ」怒りで声が震えている。
    「ちがうちがう。あたしの熱意を誤解してる。はっきりと意見を持つのはあたしの性分なの」(アフター・クロード)


    ひ、ひぃ~と思いながら読んで、つらくなった。つらかったので、実はあまり細かく読めてない。ブクログで「典型的な自己愛性パーソナリティ障害」とすでに書かれているように、ヒロイン(?)ハリエットは病的なまでに自己主張が激しく、マシンガントークと屁理屈で相手にそれを巻き込もうとする。その行きつく果てが……、というラストで、これは他人と自分、二重の既視感がある。
    こういう風になってしまった女性を数人知っているし、「これはわたしだった」「これから自分もこうなるんじゃないか」と私以外にもヒヤリとする女性が多いんじゃないだろうか。
    ハリエットは頭の回転は早いように見える。しかしその中身はなく、話の内容がどこまでもどこまでも平行線なので、相手の方が折れないとどうしようもない。そういったコミュニケーションを重ねていけば、どうなっていくのは自明の理だ。おそらく、ハリエット自身も「自分の話を傾聴してもらった」経験に乏しいんじゃないかと思われる。あるいは、最初は「自己主張ができる女性」としてもてはやされた末の不幸なのかもしれない。
    わたしもいつか、強弱の差があったとしても「厄介な女性」になっていくんだろう。あるいは、そう思っている時点ですでにその階段を昇っている。そもそも、誰もが誰かにとって厄介な存在であり、お互いに反目し合いながら生きていくしかない時もある。それでも、人間関係で叩きあっていけば、一番弱い立場が一番苦しむことになるのを、自分は忘れないでいられるだろうか。

    参考文献
    痛快無比な罵詈雑言の果てに――高低差の烈しい読み心地(豊崎由美)
    https://www.bookbang.jp/review/article/710325
    アイリス・オーウェンス『アフター・クロード』(国書刊行会)(伊藤聡)
    https://note.com/campintheair/n/n280dd9aec434
    この二つの書評が面白かった。二つともなんとなくハリエットへの温情がある気がする。

  • 圧倒的なドライブ感。なんじゃこりゃ?って思いつつ読んでしまう。
    男にすがる女は惨めだ。ハリエットのプライドの高さと勘違いが痛く、そこが面白い。タカリ体質で性格が悪いので、うんざりしつつ、ざまあみろと思ってしまう。
    ハリエットにとっては、相手を否定することと罵倒することがコミュニケーションだった、ということなんだろう。これでは働けるわけがないし、全方位から嫌われる。
    後半はよくわからなかったな。カルト組織に肯定されるから毒舌が抑えられた? 自分を見下ろす男たちの幻影は幻影ではなかったのか。まともな場所でないところに居場所を見つけた、というならやりきれない。

  • 今だったら病院で診断名がつきそうな性格の主人公だった。頭のおかしい人自身は困らないから病院へは行かなくてそばにいる人が病む、という話を聞いたことがあるけどこの小説はまさにそんな感じの前半。自分の周囲にはいてほしくない人間だけど、こういう人が実際にいるっていうのはインターネットでの情報で可視化されているからなんとなくわかる。書かれた当時はどうだったんだろ。
    巻末の解説は主人公ハリエットに対する視線が優しい。あと皮肉とか悪口とかとにかく文章がいい。

  • タイトルのクロードというのは寄生虫してたフランス人の名前。可愛げなく、憎まれ口ばっか叩いていて、周囲の助言も聞かず、とうとう追い出されてしまう。反省しない。多分クロードの金で何日か分の宿泊料が払い済みだったホテルに住まいを移す。「暑いから」というこじつけ理由で、スイートルーム的な部屋に潜り込む。新興宗教のメンバーの溜まり場に潜り込む。そこでも迷惑しかかけず、結局孤独に自分の部屋に戻る。サイコーにデモデモダッテなんだけど、ちょっとでもそれが通用するのは、「若くてキレイな」外見を持つ人物だけなんだよなー。

  • サイコーの書き出しに惹かれて発売してからすぐ買ったのに、ハリーが悪態をつかなくなってから微妙に読む気が失せて長いこと放置してました、ごめん。
    彼女のあのユーモアがまさしく彼女の世界(幻想)を守る砦だったんだなとわかり、あのラストもあって、興味が薄くなったことがすこし申し訳なくなった。
    どうしようもなくふざけた主人公ではあったし現実にいたら関わりたくはないけど、キャラクターとしては申し分ないほど魅力的だったので、あのまま世界をぶち壊してほしかったという気持ちもすこしある。

  • 今更読んだけど、文章のドライブ感とラストの突き落とされた感すごい。読み終わったあと心理的な乗り物酔いみたいな状態になった。でも最高。
    表紙の写真は著者らしいけど、ルシアベルリンといい、写真がかっこいいというかキマる作家っていいよね。

  • こういう感じがいいなかっこいいなと感じる時期もあったのだけれど、今の自分にはちょっとしっくりこなかった。

  • 脳内に口癖が乗り移り読んでる間強くなれるし(正論なんてなにさ)カバーデザインのカヒミのジャケットかみたいなヒキとかほんとにグーなんだけど、終わり方の不穏さ。後味の悪さ。触れたくないけど「このまま生きていけるわけがない」そう、そのへんの匂わせがずるくなくてフェアで時間をおくと評価できる点と思う

  • 伊藤聡さん推薦

    これを読んでも精神的に一個も成長しない、これを読んでも利口にならない!
    この文章力があるのにこの不毛な議論って何!?
    子供が水鉄砲で遊んでいるのを、マイケル・マンに撮らせているような作品

  • 2021/10/29

  • 九州産業大学図書館 蔵書検索(OPAC)へ↓
    https://leaf.kyusan-u.ac.jp/opac/volume/1378735

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著者プロフィール

生年不詳、ニューヨーク生まれ。父はプロの賭博師。バーナード・カレッジ卒業後、1953年パリに渡り、前衛雑誌の編集人アレグザンダー・トロッキと出会い、彼の仲介によりオリンピア・プレスにてハリエット・ダイムラー名義でポルノ小説を執筆し人気を博す(デビュー作はDarling[56年])。70年にニューヨークに戻り、73年『アフター・クロード』を刊行。84年には2作目Hope Diamond Refuseを執筆する。2008年死去。2010年『アフター・クロード』が〈ニューヨーク・レビュー・ブックス・クラシックス〉叢書で復刊され再評価が高まった。

「2021年 『アフター・クロード』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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