アラブ人の世界観──激変する中東を読み解く

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  • 国書刊行会
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784336061522

作品紹介・あらすじ

現在、世界で最も不安定な地域は、中東である。日々不安感にさいなまれつつある人々の脳裏を巡るものは、何なのか。彼らの世界観を把握することは、激変する中東地域、中でもその大半を占めるアラブ人を理解することと表裏一体といえよう。
この課題に応えるべく本書はまとめられた。全体の要旨は、以下のようになる。
宇宙観や人生観においては、科学や情報の波にもまれながらもイスラーム信仰によって導かれる内容と大きくはぶれていない。しかし政治、経済面では、現実世界の諸事情が迫る中、伝統的な信条や制度の規範力だけで持ちこたえるのが難しい段階に入りつつある。改革や刷新の尽力が払われており、経済面では一歩具体的に進展したが、政治面では結実するのに時間を要している。また文明復興の願望は強いが道遠く、まして将来像として、かつてのイスラーム帝国の大版図の復活は、夢遥かということである。しかしその夢は朽ち果ててはいないので、無視できない。
さらにこれを詰めれば、次のようになる。中東の行動規範の根底にあるものは、コーランの第1章に宣言され、また全巻を通じてもしきりに繰り返される、まっすぐな道を歩みたいという願望である。この正道希求の心情が中東・アラブの思想の支柱であり、最強の底流としてあるといえよう。
報道を見るとすさんだ景色と、凄惨な出来事の連続のように中東は映るであろう。もちろんそれは現実であるとしても、人々とその社会の基層には以上のような大きな潮流が、姿を変えずに存在することが確認できる。

感想・レビュー・書評

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  • 【投票者イチオシ】普段なじみのないイスラム圏における考え方が書かれた本です。イスラム圏における金融の話がとくに興味深かったです。https://opac.lib.hit-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/1001111481/?lang=0

  • 東2法経図・開架 361.42A/Mi97a//K

  • 中東という日本とも関係の深い地域であり、またそれ以上に未知なことの多い地域に関して、様々な側面から丁寧に検証されている本書は、とてもいい学びとなった。まだまだ理解には遠いけれど。

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著者プロフィール

アラブイスラーム学院学術顧問、日本ムスリム協会理事、現代イスラム研究センター理事。1948年生まれ。京都大学文学部卒、カイロ大、ロンドン大を経て博士(中東史、ユタ大)。イスラームを日本になじみやすい形で紹介することを目指す。著書『イスラームの善と悪』(平凡社新書)『イスラーム信仰叢書』全10巻(総編集、国書刊行会)ほか

「年 『集団的自衛権とイスラム・テロの報復』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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