火の書

  • 国書刊行会 (2017年8月25日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784336061751

作品紹介・あらすじ

生誕130年を迎えた、ポーランド随一の狂気的恐怖小説作家グラビンスキによる怪奇幻想作品集。病み憑きの陶酔と惑乱の書。

感想・レビュー・書評

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  •  1922年に刊行された原著収録の9編の短編小説のうち1編を除き、別の1編と、エッセイ2本、インタビュー3本を加えたオリジナル作品集。
     ポーランドの幻想小説家ステファン・グラビンスキの作品はやはり素晴らしく印象的だ。世界的に著名というわけではなさそうだし、邦訳もこの国書刊行会からの5冊の短編集が出ただけだが、もっと有名になり注目されて良い作家だと思う。
     文章はあまり巧くはないのだが、簡潔で、人間の心の強烈でしばしば病んだような欲望や情熱を、鮮烈に抉り出す。
     私が未読なのは残り1冊きりだが、彼の長編小説を含め、もっと翻訳を出して欲しいと思う。

  • ホラー。短編集。エッセイ。インタビュー。
    "火"にまつわる幻想譚。
    エッセイとインタビューはよく分からなかったのでスルー。
    表紙のインパクトが良い。
    いつも通り、狂気を描くのが上手い。
    ホラーとして分かりやすい「白いメガネザル」「有毒ガス」が好み。

  • 火をテーマにしたホラー短編集。火といえば激しいイメージですがそうとも限らず、静かにじわじわと迫りくる狂気というか怖さがあるのは、やはりグラビンスキの味わいなのだなあ、と。
    お気に入りは「火事場」。最初っから「なんでそんなことをする!」と突っ込みたい気持ちでいっぱいだし、まあこうなるのも予想通りだという気はしましたが。それでも少しずつなにかが狂っていく様子はひどく恐ろしく感じられました。「火災荘」って、絶対ダメじゃん……。
    「四大精霊の復讐」もじわじわきますね。メッセージの現れ方が独特で印象的でした。
    「白いメガネザル」はとんでもない怪物が出てくるホラー。ユーモラスなような、しかしやっぱり怖いような。

  • 火は余りに日常的な魔魅である。夜は星に従って燃え盛り、昼は黒衣を纏って息をひそめる。炎上と鎮火の繰り返し。火の中ではすべてのものがその輪郭と形とを失い、それぞれの見分けがつかないように、魂と肉は散り散りに引き裂かれ相剋する。深紅の舌群に肉を舐められるのを愉しみ、肉に受ける灼熱の烙印を心ひそかに希う者。つつましい拝火の使途。恐怖とは隠された熱情の反作用。焦げ爛れた瓦礫の彼方にゆらゆらと遠ざかる魂は人に還らず救いのない闇に帰る。火の中で眼を開けているのは死ではなかったか。光彩の血液を滴らせ、火葬に付されている。

  • 初めて読んだステファン・グラビンスキ。ポーは読んだことないしラブクラフトも短篇集一冊くらいしか読んでないので、ポーランドの・・・と言われてもピンとこないけど、巻末のエッセイ、インタヴューを読むと、さもありなん。という気にさせられる。この本より前に刊行された「動きの悪魔」「狂気の巡礼」も、いつか読みたい。

  • 「火」に魅入られた人々の奇妙な短編集。
    ちらっと出てきた通りすがりの男を狙う中高年にoh・・・ってなった・・・。

  • 火に魅入られた人々の物語が9編とエッセイとインタビューの構成でした。
    小説は面白かったのですがこの本が私には初グラビンスキで他の出版物を読んだことが無かったのでエッセイとインタビューは分からない部分も多く残念でした。他の本を読んでから読む方が色々と味わえると思います。

  • グラビンスキの短編集も3冊目。
    タイトルの通り、本書では『火』が重要なモチーフになっている。小説も面白いが、エッセイとインタビューが収録されているのはちょっと嬉しい。
    さて、プレゼント応募のために3編を選び出さないと……難しいな。

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著者プロフィール

1887年、オーストリア=ハンガリー帝国領ガリツィア・ロドメリア王国のカミョンカ・ストルミウォーヴァに生まれる。ルヴフ大学でポーランド文学と古典文献学を学び、在学中に作家デビューするが、卒業後は教職に就く。1918年に短編集『薔薇の丘』、1919年に連作短編集『動きの悪魔』を発表し注目を浴びる。短篇を本領とし、『狂気の巡礼』『不気味な物語』『火の書』『情熱』といった短編集を次々と出版した。ポーランド文学史上ほぼ唯一の恐怖小説ジャンルの古典的作家。1936年に死去。近年、国内外で再評価が進み、〈ポーランドのポー〉〈ポーランドのラヴクラフト〉として知られる。

「2018年 『不気味な物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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