H・P・ラヴクラフト:世界と人生に抗って

  • 国書刊行会
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本棚登録 : 86
レビュー : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784336061775

作品紹介・あらすじ

『服従』『素粒子』で知られる《世界一センセーショナルな作家》、ミシェル・ウエルベックの衝撃のデビュー作、ついに邦訳!
「クトゥルフ神話」の創造者として、今日の文化に多大な影響を与え続ける怪奇作家H・P・ラヴクラフトの生涯と作品を、熱烈な偏愛を込めて語り尽くす!
モダンホラーの巨匠スティーヴン・キングによる序文「ラヴクラフトの枕」も収録。

感想・レビュー・書評

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  • クトゥルフ神話の始祖、ラヴクラフトの評伝。序文をスティーブン・キングが書いている。自分の作品の評価とか全く気にしていなかったこと、世界に対して諦観していたことなどが綴られている。どちらにしても彼の恐怖の世界はとても惹かれる。

  • ウエルベックのデビュー作。
    クトゥルーの門をくぐりあぐねてる自分には最適な評伝…だったろうか。ズブズブになるであろうしビビっておる。

  • ウエルベックの作品にみなぎる思想がすべて本書に凝縮されている。
    ラヴクラフトが性と金銭を排除した孤高の世界を作り上げたとするならば、ウエルベックは性と金銭の側から孤高へ向かった。啐啄の機とはこういうことを言うのかもしれない。
    つまり親鳥であるラヴクラフトが薄っぺらい卵の殻のような世界を外側から破壊し、ウエルヴェックという雛鳥は、内側から世界を打ち破ろうとした。

    とはいえ、本エッセイで初めてラヴクラフトの一端に触れた者として、ラヴクラフト作品を読みたいという気持ちにまったくならなかったところがすごい。褒め言葉になっているだろうか。
    やはり本作の魅力は、ラヴクラフトを語るウエルベックであり、本論よりも、各節を飾る「見出し」が何とも良い。
    本作がそれほど面白くないのは、ラヴクラフトと同様、ウエルベックは謙虚なことに、ラヴクラフトの系譜に自分がいる輝かしさを差し引いて論じているがためだと思う。

  • ウエルベックのデビュー作であり、ラヴクラフト(クトゥルフ神話)の評伝。
    ラヴクラフトのクトゥルフ神話体系における「宇宙的恐怖(コズミック・ホラー)」という概念、無機質で広漠な宇宙において人類の価値観や希望には何の価値もなく、ただ意思疎通も理解も拒まれる絶対的他者の恐怖に晒されているのだという不安と孤独感、に興味があれば、一読を薦める。

  • 未読でよかったわー。
    いわゆるどんな世界観、どんな人生を
    送ってきたかの入門的なもの。
    あ、あとキング大先生の序文は必読。
    絶対これさ、原文Fワード入ってるだろ(笑)

    彼はジェントルマンであり続けるとともに
    決してこのよのなかではまともに生きることができないことを自ずと理解していました。

    そりゃあ人に関するゆがんだあの
    嫌悪感ですもの…
    あれを抱き続けていろいろ破綻したら
    彼は殺人者になっていたでしょうな。

    少しだけ本文が出ていますが
    何とも言えないまがまがしさ。
    これはいつか邂逅出来る日が来ればいいのぉ。

  • ウエルベックもラヴクラフトも未読の身だったが、なかなかに刺激的な読書だった。ラヴクラフトが金銭およびセックスについてほとんど記述しない作家であったというのが印象に残るが、それ以外の作品を書く際のラヴクラフトのこだわりといったものを、同じく作家であるウエルベックが分析し語っているのが面白い。どちらも読みたくなったけれど、いつになるか…。

  • ・ミシェル・ウエルベック「H・P・ラヴクラフト」(国書刊行会)を読む。ウエルベックは「服従」の作家だと思つてゐる人間には、にはかには理解し難い作家論であらう。さう、ウエルベックが作家論としてラブクラフトを対象として書いてゐるのである。ウエルベックにかういふ趣味があつたのかと思ふ。たぶんない。本書は1999年に初版が出て、更に2005年にスティーブン・ キングの序文付きで出た。しかし、実際には30代初め、つまり1991年に本書を出してゐるから、私がウエルベックはHPLとは無縁だと考へる方がまちがひだと言ふべきであらう。小説を初めて出したのがその3年後である。彼にとつてHPLはむしろ親しくもまた近しい存在であつたらしい。といふことは、ウ エルベックにかういふ趣味があつたと言ふべきなのであらうと改めて思ふ。
    ・本書は最初にステェーヴェン・キング「ラヴクラフトの枕」といふ言はば<頌>を置いて、以下本文が続く。「序」に続いて「もう一つの世界」 「攻撃の技術」「ホロコースト」の三部からなる。三部といつても第二部が少し長い程度であつて、他は短い。大体、本書は「序」を含めて本文170頁弱、しかも各章には必ず扉がつく。つまりはかなり贅沢な設計の書である。詰めることをしない。これには原書の<小ささ>が関係してゐるのであらうが、評伝でこれだけゆつたりした組み方をしている書はなかなかお目にかかれない。少なくとも私は知らないのだが、それでもその中にこれだけの内容を詰め込 んだのはなかなか見事と言ふべきかもしれない。私はラヴクラフトの評伝の類を読んだことがない。以前はそれこそ作品解説がその主なるものであつた。ところが最近はさうでもなくなつてゐるのではないか。私は相変はらず読んでゐないのだが、それでも以前よりはラヴクラフトを論じる人が増えたやうな気がする。その点からすれば、本書はどうなのであらうか。90年代初めといふのが古いのかどうか。古いとしても、その見方が<正しい>のかどうかである。 「ホロコースト」の中にソニア・グリーンとのことが出てくる(155頁)。ソニアはラヴクラフトの妻であつた。初めは熱々だつたが、後に関係は冷えて行き、結局、離婚するに至る。ウエルベックの文章からすれば、これがラヴクラフトの人生に決定的な影響を与へたやうに見える。実際にさうかもしれない。あるいは、さうではないかもしれない。私には分からない。さういふこともあらうかと思ふ。同様なのが人種主義者といふものであらうか。これなどはもしかしたら 正しいのかもしれないと思ふ。「ラヴクラフトは実のところ、つねに人種主義者だった。」(173頁)さうかもしれない。「若い頃は(中略)人種的偏見の軌を超えるものではない。」(同前)それがニューヨーク生活を機に変はつたといふ。「そこで、これでもかというほどの憎悪、嫌悪、恐怖といったものを知る」 (174頁)ことによつて、「彼の人種主義的見解が本物の人種差別神経症に変化」(同前、「見解」には傍点付き)したといふ。これはありさうである。本来的にさういふ人間であつても、それが「神経症」になるにはそれなりの経緯が必要である。これまでかういふ指摘がなされてゐたかどうか。とまれ、本書に於け る「攻撃の技術」の様々は「ホロコースト」以上におもしろい。細かい数字にかこだはるとか、ほとんどいきなり恐怖譚が始まるとかの指摘もあつたかどうか。 「熱烈な偏愛を込めて語り尽くす!」(帯)その偏愛の程度を知りたいと思ふと同時に、「世界と人生に抗って」といふからにはラブクラフトは本当に「世界と人生に抗っ」たのかと思ふ。

  • ラヴクラフトについての解説は創元版の解説などをはじめとして、多数出ているが、ウェルベックがラヴクラフトの人物的本質から彼の作品の特徴と絡めて彼の作品とラヴクラフト自身に熱く「語った」本。
    現在、ラヴクラフトの世界観は「クトゥルフ神話」の名の下に広まっているが、ラヴクラフトの表したかったモノは理解し得ない「何か」であったはず。その意味では彼の作品をよに知らしめたとはいえ、ダーレスらの「クトゥルフ神話」の作成による体系化と、今日の「クトゥルフ神話」周辺における商業的な活用のされ方はラブクラフト自身の追い求めるものとは真逆であったというよう。

  • ミシェル・ウエルベックのデビュー作。ラヴクラフト論であるが著者も言うようにある種小説として読める。ラヴクラフトを主人公とし、主人公しかほぼ出てこない小説として。
    ラヴクラフトの作品が徹底的に性や金といった生臭く人生に横たわる要素を徹底的に排している理由が非常にわかりやすく書かれている。
    資本主義、経済効率、セックスetcをガンガンに作品に盛り込むウエルベック各著作はラヴクラフトの作品を裏返したものだったのだとこの著作によって証明されたと見方もできるであろう。

  • 『服従』などで知られるミシェル・ウエルベックによる、ラヴクラフトの評伝。
    評伝自体はまるで小説を読んでいるようで、ラヴクラフトに対するかなり強い思い入れを感じる。ウエルベックが書いたと言われると凝ったものを想像してしまうが、本書に関してはかなりストレートだった。
    また、スティーヴン・キングの力の入った序文も読み応えがある。

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著者プロフィール

1958年フランス生まれ。ヨーロッパを代表する作家。98年『素粒子』がベストセラー。2010年『地図と領土』でゴンクール賞受賞。15年には『服従』が世界中で大きな話題を呼んだ。『ある島の可能性』など。

「2018年 『闘争領域の拡大』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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