鉄道人とナチス: ドイツ国鉄総裁ユリウス・ドルプミュラーの二十世紀

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  • Amazon.co.jp ・本 (358ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784336062567

作品紹介・あらすじ

古い社会的偏見にさらされた技術官吏の出身ながら、二十世紀史の激しい社会変化のなかで異例の栄達をとげ、戦間期のドイツ国鉄(ライヒスバーン)総裁として国際的な名声を得た鉄道人が、ナチス・ドイツの暴力的な支配に迎合し、ついに鉄道行政の責任者として戦争とユダヤ人虐殺に加担するまでを、ドイツ社会経済史の枠組みで描く。

感想・レビュー・書評

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  • 東2法経図・6F開架 289.3A/D87b//K

  • 1937年2月にドルプミュラーが交通相に就任(ライヒスバーン総裁と兼務)すると、交通省、ライヒスバーンの姿勢は変わった。この年、ライヒスバーン職員は1920年以来17年ぶりに再び名実ともに国家官吏・公務員となった。組織内部での人種主義的政策の一層の締め付けが行われた。個人生活での反ユダヤ主義徹底の義務化であり、ユダヤ人との婚姻禁止、ユダヤ人焦点での買い物禁止やユダヤ人との交際自粛などが通達された。また、ユダヤ人職員の年金支払い停止と同時に、ついに公共交通機関としての鉄道サービスについてもユダヤ人への差別・迫害が制度化されていった。1938年5月、ユダヤ人家庭に対しては子供の多い家族向けの運賃割引制度を適用しないことを決めた。1939年2月には、ユダヤ系専門学校生は学割が使えなくなった。1938年11月以降、ライヒスバーンはユダヤ人の強制移送に初めて手を染め、SSのハインリヒ・ヒムラーとラインハルト・ハイドリヒの命令で、ユダヤ系ポーランド人を当時のドイツ・ポーランド国境まで移送している。

  • 白水社の一連のナチス関連書かと思いきや国書?著者日本人?スピンなし?いろいろクエスチョンマークありつつ。出足に誤植かと思われるのが2ヶ所あって引っかかったんやけど、その後は特に気になるところなく。
    ナチス時代の話が好きで鉄道好きとしては読まねばならんところ。鉄道好きとしては食い足らんところはあるけど、まぁそもそもが日本で言うところの国鉄総裁の伝記だしそれはそれで。

  • ナチス政権下でドイツ国鉄総裁の職にあった人物の評伝。

    主題となっている人物の個人伝を中心に、ドイツ鉄道史や
    ドイツ鉄道文化の領域にも触れています。

    専門の研究書のため、読むにあたっては、
    ドイツを中心とした欧州近現代史と
    多少の中国近代史の知識が必要。

    書店で鉄道本の棚に置かれているかもしれませんが、
    車両の形式や列車の編成あるいは鉄道設備など、
    いわゆる鉄道マニアが好きそうなものは扱っていません。

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著者プロフィール

1966(昭和41)年、大阪生まれ。大阪大学経済学研究科教授。博士(経済学)。大阪大学大学院経済学部卒、同大学院経済学研究科博士後期課程中退。滋賀大学経済学部助手、在ベルリン日本国総領事館(当時)専門調査員、大阪大学経済学研究科助教授などを経て、2010年より現職。
著書:『ドイツ工業化のなかの鉄道業』有斐閣、2006年(第五十回日経・経済図書文化賞)、『西洋経済史』(共著)有斐閣アルマ、2010年、『ドイツ現代史探訪』(共著)大阪大学出版会、2011年、“A Comparison of Railway Nationalization between Two Empires: Germany and Japan”, in: Sawai, M.(ed.), The Development of Railway Technology in East Asia in Comparative Perspective, Springer Nature, 2017 など。

「2018年 『鉄道人とナチス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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