女であるだけで (新しいマヤの文学)

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感想 : 11
  • Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784336065650

作品紹介・あらすじ

ある日、夫フロレンシオを誤って殺してしまったオノリーナ。なぜ、彼女は夫を殺す運命を辿ったのか?

オノリーナの恩赦を取り付けようと奔走する弁護士デリアとの面会で、オノリーナが語った数々の回想から浮かび上がったのは、14歳で身売りされ突然始まった夫との貧しい生活、夫からの絶え間ない暴力、先住民への差別といった、おそろしく理不尽で困難な事実の数々だった……

史上初のマヤ語先住民女性作家として国際的脚光を浴びるソル・ケー・モオによる、「社会的正義」をテーマに、ツォツィル族先住民女性の夫殺しと恩赦を、法廷劇的手法で描いた、《世界文学》志向の新しいラテンアメリカ文学×フェミニズム小説。
解説=フェリペ・エルナンデス・デ・ラ・クルス


上野千鶴子、木村榮一推薦!!
「「女であるだけで」味わう絶望と希望」 上野千鶴子(社会学者)
「われわれが失って久しい世界」 木村榮一(神戸市外国語大学名誉教授)

感想・レビュー・書評

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    『女であるだけで』が各媒体で紹介されました。|最新ニュース|国書刊行会
    https://www.kokusho.co.jp/news/2020/04/202004071206.html

    女であるだけで|国書刊行会
    https://www.kokusho.co.jp/np/isbn/9784336065650/

  • タイトルからもう「痛さ」が伝わってきます。帯の上野千鶴子先生の言葉にも震えます。男性は手に取りにくいんでは、と帯の言葉に思いました。

    マヤの女性が自ら書かれた小説ということで作者はこの作品以前にも様々な賞を受賞されているそう。
    ノーベル賞も狙っているそうです(!)

    国は違えど、そしてその振るわれた暴力の激しさも違うかもしれないけれどもこれを読んで激しく共感する女性は世界中にたくさんいるだろうと思います。

    以前読んだ海外小説でも、字が読めない女性がそのために不利益を被るものがありましたが、それも詰めて言えば「女性であるため」とも言えたかもしれません。殺された人間に少しも同情も共感もここまで出来ないというのも珍しいくらいの悪人ぶりでした。すさまじい。

    内容のすさまじさもさることながら、これを小説にして世界に放とうと思った著者の意志を尊敬します。

  • 先住民として生まれたオノリーナは14歳で身売りされ、酷い男の所有物となってしまった女がナイフで夫を殺してしまう。20年の服役刑を言い渡されるが、ひとりの弁護士の働きかけにより社会が動き、恩赦される…

    その罪は、殺人罪としての法の裁きを受けた。
    法とは、誰の方向を向いているのか?
    法の外にいる人、法に守ってもらえない存在を見つけて、
    法に守ってもらえる側の人間が、贖罪のために社会が動いたのでは?

    弁護士のデリアがいう「あの女性は罪を犯した張本人ですが、 彼女を犯罪者に仕立てたのは私たちみんなですから。」という台詞には痺れた。

    社会に見落とされる存在。
    小川たまかさんの「「ほとんどない」ことにされている側から見た社会の話を。」を思い出す。

    先住民文学の枠を超えて、すべての女たちの物語と言える。この内容を小説というかたちで告発することに賛辞を送りたい。

  • よく耐えてるなーとつらい場面がたくさんある。というか、オノリーナの人生はそんなことばかり。言葉や法でどこまで改善していけるのかと無力感も感じてしまう。でも、どこからでもやっていって改善していくしかない。

    オノリーナが自分でいくらかでもお金を稼ぐようになると、いくらかずつ強くなっていく。経済力が有効なことも、現実的には多いな。

  • 著者はマヤ語先住民(という言葉があることをこの本で初めて知る)。
    先住民であることと女性であることでどれだけ理不尽で差別的な扱いを受けるのか。主人公の女性が14歳で父親に売り飛ばされてから「夫」である男を殺すに至るまでの物語は、彼女が一人の人間として意志を持って自立していくことと重なっているようだった。
    主人公の弁護を引き受けた女性とこの弁護士の両親と仲が良く子どもの頃から弁護士のことをよく知る裁判官のやり取りからは、相手が「目下の」「女性であること」で年配の男性がどのような態度を取りがちかということもひしひしと感じられた。

  • 2021/09/23 読了

    以前、日経新聞の書評頁で紹介があり、気になっていた本。
    ジャンルとしては「先住民文学」というものになる。
    なるほど、作者は史上初のマヤ語先住民女性作家なのか!

    先住民文学というものは初めて読んだ。
    やはり、今までの経歴や環境が全く異なる人の作品は目新しくて面白い!!

    そして、一番心に残ったのは冒頭ではあるが、次の部分だ。
    記者からの「あなたが犯したのと同じ罪で服役している人たちがいます。(中略)先住民ではないというだけで、刑を全うしなければなりません。あなたは先住民であるがゆえに自由の身となったわけですが、あなた自身はこれを正当な恩赦だとお思いですか」という質問に対しての回答。
    「あたしが事故で死なせた男はあたしの体と心を痛めつけていたのに、あんたの言う法は何もしてくれなかったんだ」(中略)「あんたの言う法とやらをきちんと機能させるにはどうすればいいのか教えてもらいたいものだね。」
    という部分。

    いくら形が整っていても、周囲の価値観や雰囲気で助けてもらえないことなんて多々ある。
    きっとこの本と似た内容のことは、向こうではそこまで珍しくもないことなのだろう…
    生まれがマイノリティであるというだけで生きていくのがいかに大変か、そしてそれが直視されにくい世界となっていると考えさせられる本であった。

  • 九州産業大学図書館 蔵書検索(OPAC)へ↓
    https://leaf.kyusan-u.ac.jp/opac/volume/1376183

  • 前回もえげつなかったけど、今回もレベルアップ。淡々としてるのよ。勿論フィクションなんだろうけど、ある先住民族の女性の話。現在進行形じゃないよな?昔の話なんだよな?物語に出てくる女性の1人(先住民)が「未だにこんなことが行われているのか」とショックを受ける記述あり、驚愕。ある女性が二束三文で父親に売られる。精神的にも肉体的にも残虐を繰り返され、旦那を殺害。恩赦を受け出所して、初めて2人の子供を含め、人間としての扱いを受け始める。古くからの伝統を守るのは大事なんだけど、余りに文明から引き離された物では。。。

  • 発展途上国における、女性の地位の低さが分かった。教育が受けられない国では、それが不当な扱いであると気づかない。長く培われてきた文化をそのまま、享受することしか出来ない。女性で生まれた時点で、人生を諦めるしか出来きず、それを全く不幸と思っていないので、とても悲しかった。この本をよんで、国民の三大義務である「子供に教育を受けさせる義務」が大切であることを改めて実感した。

  • メキシコの先住民で女であることの生きにくさ.底辺であること虐げられることを運命付けられているような主人公は夫を殺してしまう.この不幸はしかし刑務所に入ることで逆に彼女にスペイン語の読み書きを教え,子供たちを守り,弁護士の友人も得て新しい世界に目を向けさせる.この主人公の再生の物語に作者の強い希望を見た.

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