ミック・エイヴォリーのアンダーパンツ

著者 :
  • 国書刊行会
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (648ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784336065889

作品紹介・あらすじ

『最高の任務』で第162回芥川賞候補となった現代文学の新星、乗代雄介がデビュー前から15年以上にわたって書き継いできたブログを著者自選・全面改稿のうえ書籍化。
 総数約600編に及ぶ掌編創作群より67編を精選した『創作』、先人たちの言葉を供に、芸術と文学をめぐる思索の旅路を行く長編エッセイ『ワインディング・ノート』に書き下ろし小説『虫麻呂雑記』(140枚)を併録。


◆推薦の言葉

『ミック・エイヴォリーのアンダーパンツ』は下品極まりないものから唐突にピュアな青春ものまで、どのエチュードも強烈なビートを発しているが、「のりしろ」なる書き手は、少なくとも自分の想像上ではいつも真顔だった。己の技術を誇示したいのでもなく、誰かとつながろうとしているのでもない。ただ“書かずにはおれない”人。本で読める日をずっと待っていました。
 髙城晶平(cero)

感想・レビュー・書評

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  • 図書館で借りてきた。分厚いので場所を取るし、高い…。そして全部は読めなかったのだけど、思春期男子必読の書であることはまちがいない。

    ほんっとにヒドイ下ネタ、突然あらぬ方向へ動き出す意識、徹底的なおふざけ、自我、絶望、妄想……。でも、思わず熱中して読んでしまい、思わず吹き出してしまうのは、すばらしい筆力あってこそ。活字で笑かしてくれる。すばらしい文章なのになんもいいこと言ってない。大昔だけど、『マルホランド・ドライブ』を観て得た、わけわかんないけど満たされた感覚に似てる。

    思春期男子必読と書いたけど、ほんと、幼少期にいわゆる「良書」にしか触れてこなかったティーンズたちは、男女問わず読んでほしい。文章力のすごさを感じて笑ってほしい。悩んだとき、元気ないときに読むメッセージ的な本で一時的にしか回復しないなら、こっち読んだほうがいいと思います。

  • 長すぎて一瞬挫けそうになったけど、頑張って読み終えたら、自分の中の中二が、中三くらいになった。

  • サイコー

  • 《「故郷を甘美に思うもの=未熟者」が出てくれば、それを「あらゆる場所を故郷と感じられるもの=力を蓄えた者」として余裕綽々の顔で眺め、ユーモアに変えてしまう。その余裕綽々の顔に語りのピントが合った途端、「全世界を異郷と思うもの=完璧な人間」の仮の姿として母が子に憩いを許すように眺める者を登場させ、冷笑する。かと思えば、その冷笑する姿を「故郷を甘美に思うもの=未熟者」の視線で照射することで、滑稽に露出させてしまう。
     三つの視線は循環し、交錯し、三すくみを構成する。》(p.402)

    《励ましの言葉は、不可能としか今は思えないものを追求している人たちに向けてかけられるべきなのですが、彼らはそんな言葉には耳を傾けません。傾けなかったから、彼らの発する言葉だけが今もなお、異物として残っています。そして、偉大な風よけとでも言うべきこの異物たちにあたらなければ、人は、その先に何かがあることにすら思い至らないのです。もちろん、その先にある何かは、その異物によって隠されています。彼らだけが、それを置く時に、見たかもしれない。》(p.478)

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著者プロフィール

1986年北海道生まれ。法政大学社会学部メディア社会学科卒業。2015年『十七八より』で「群像新人賞」を受賞し、デビュー。18年『本物の読書家』で「野間文芸新人賞」を受賞する。23年『それは誠』が「芥川賞」候補作となる。その他著書に、『十七八より』『本物の読書家』『最高の任務』『ミック・エイヴォリーのアンダーパンツ』等がある。

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