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Amazon.co.jp ・本 (576ページ) / ISBN・EAN: 9784336066749
作品紹介・あらすじ
ジョン・ソーンダイク博士は、20世紀初めに数多登場したシャーロック・ホームズのライヴァルたちの中でも最も人気を博した名探偵である。当時最新の科学知識を犯罪捜査に導入、顕微鏡をはじめ様々な実験器具を用いて証拠を調べ、事件の真相をあばいていく法医学者ソーンダイクの活躍は読者の喝采を浴びた。また短篇集『歌う骨』では、最初に犯人の視点から犯行を描き、次に探偵が手がかりを収集して謎を論理的に解き明かす過程を描く「倒叙ミステリ」形式を発明した。真相解明の推理のロジックに重きを置いた作風は、現在も高く評価されている。本全集は、ソーンダイク博士シリーズの中短篇42作を全3巻に集成、初出誌から挿絵や図版を収録し、完全新訳で贈る、探偵小説ファン待望の決定版全集である。
第1巻は、「アルミニウムの短剣」他の有名作を含む記念すべき第一短篇集『ジョン・ソーンダイクの事件記録』(1909)と、倒叙形式の発明でミステリ史における里程標的短篇集『歌う骨』(1912)に、作者自身による名探偵紹介「ソーンダイク博士をご紹介」を収録。
感想・レビュー・書評
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小学生のとき、オスカーブロドズギー事件を読んで、すばらしく感銘を受けた。今読んで、それほどの衝撃はないけれど、ソーンダイクの方法は今やテレビドラマで鑑識がやっているようなことで、当たり前になってるからだ。でも、始めたのは間違いなくソーンダイクだった。
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本作には『ジョン・ソーンダイクの事件記録』と『歌う骨』という、2つの短編集に収められた短編が完全収録。
どちらもクイーンの定員に選出されている、ソーンダイク博士が探偵として活躍する名短編集です。
この全集には、これまで(英米両国でも)単行本収録時に割愛されがちだった、初出雑誌掲載時に挿入された写真、図版、挿絵が原則としてすべて収録されています。
特に興味深いのは顕微鏡写真。
神経細胞、髪の毛、綿埃(ほこり)、植物などのヴィジュアルな手がかり写真があることで、作者フリーマンの豊かなストーリー・テリングに花を添えています。
付録として、ソーンダイク博士の「探偵略歴」や、フリーマンによるソーンダイク博士の紹介文「ソーンダイク博士をご紹介」がついており、ワクワク感が止まりません。
短編集『ジョン・ソーンダイクの事件記録』では、フリーマンが法医学の手法を推理小説に採り入れ、科学的捜査の重要性を説いています。
収録短編が一冊にまとまったのは、本作が初めて。
少し長めの短編「鋲底靴の男」は、戦前に「謎の靴跡」というタイトルで翻訳されて以来の翻訳です。
「よそ者の鍵」は(商業誌では)本邦初訳です。
「博識な人類学者」は、巻末の解説にもあるように、シャーロック・ホームズ物語のある短編を思い出させます。
意外性では「青いスパンコール」。私はこれが一番好きかもしれません。
「モアブ語の暗号」も、実は…と、ひとひねり加えられているところが面白いです。
「清の高官の真珠」は、清の高官の亡霊のエピソードがやや冗長なのが欠点ですが、訳者の渕上さんのお気に入り作者でもあるヘレン・マクロイが書いていそうなプロットのように思えました。
密室物の「アルミニウムの短剣」は、カーター・ディクスンの某長編に影響を与えたと考えられているそうです。
「深海からのメッセージ」は、本短編集のラストを飾るにふさわしい作品でした。
短編集『歌う骨』は、従来『歌う白骨』というタイトルで知られていたもので、世界で最初の倒叙推理小説「オスカー・ブロドスキー事件」などを収めた粒ぞろいの作品集。
なお、収録作品のうち、1作品は倒叙小説ではありません。それがどれかはすぐに分かりますが、ここでは一応触れずにおきましょう。
『歌う骨』収録作品の中で、私の好きな作品は「ろくでなしのロマンス」。
ただ、タイトルにもあるように内容がセンチメンタルなためか、この作品だけ<ピアスンズ・マガジン>には掲載されず、同じピアスンズ社が刊行するパルプ雑誌に掲載されたとのこと。挿絵もありません。
しかし、長編の『オシリスの眼』を読んだときも思ったのですが、フリーマンの描く古色蒼然としたセンチメンタルな描写は、現代の私たちが読むと逆に新鮮で愛おしく思われるのですが、いかがでしょうか。
https://yuseum-tm.com/qq-042/
https://yuseum-tm.com/qq-052/ -
ホームズ時代のホームズ4大ライバルの一人。
ソーンダイク博士の特徴は、科学分析を駆使した超人探偵。
事件現場に何らかの「物」が落ちていれば、それを顕微鏡で分析し、そこから推理を組み立て、犯人に辿り着く。
現実的な超人度で言えば、ホームズを超えてるだろ、と思うレベルの探偵で、埃一個あれば推理を交えて犯人に辿り着く。
しかし読者には予測不可能であり、「すげえ!」とは思うものの、解く楽しみというものはない。
短編全集第一巻は、その手法に「え!すご!」となり、しかし読者が解くことはできないから「へ~」というパターン化してくるところ、続く短編集『歌う骨』でいきなり倒叙化し、そのストーリーや同じ倒叙でもパターンが違う作品に触れることで、面白さを最後まで辿って終わる、という感想。
前半の科学分析は「凄い!」となり、それがマンネリ化してきた頃にパターンの違う倒叙作品が連発され「面白い!」となる、そんな短篇全集第一巻。
個人的には、倒叙系列の作品の方が好み。 -
2021/04/03
著者プロフィール
リチャード・オースティン・フリーマンの作品
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